南区中村町にある廃墟のような建物の正体とは!?
ココがキニナル!
南区中村町にある、「神奈川県立高等学校教職員組合」という表札がかかったものすごーくレトロな建物の詳細を教えてください。戦前からある建物のようですが…(浅田真央子さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
今年で築85年。元は衛生研究所で、細菌の研究が行われていた。現在は神奈川県教育委員会が管理し、主に倉庫、時にロケ地として活用されている。
ライター:沢村 友美
実態を確かめるため現地へ
市営地下鉄ブルーライン「阪東橋」駅から南へ徒歩約8分。中村川を越えた先に建つのが、今回の調査対象だ。
遠目にも、古い建物だと即座に分かる
初めて訪れたのにすぐにそれだと分かるのは、尋常ではない程に色あせた外壁のせいだろう。薄いというのとは明らかに違う、実際に何十年も太陽の光を浴びなければ決して作り出せないような色味や風合いがすっかり染み付いている。
正面の門扉は閉じられ、中に人がいる気配もない
近づくと、ひどく劣化している様子が見てとれた。
玄関口上部に見られたヒビ割れ
表札には、投稿の通り「神奈川県立高等学校教職員組合」(以後、県立高教組)と書かれてある。
壁面の古さと不釣り合いな真新しい表札
それにしても、表札がなければ廃墟としか思えない風貌だ。
表札と異なる、真の所有者が明らかに
建物の裏手に回ると「神奈川県埋蔵文化財センター」があった。同団体は県内にある遺跡の発掘調査や資料等の管理業務を行っている神奈川県の機関。さらなる手がかりを求め、建物の中へ入ってみた。
ひっそりとしたセンター入口
そこで係の方に事情を説明したところ、意外な事実が判明した。何と、調査対象の建物は同センターが管理をしているという。現在はセンターの文書保管倉庫として利用しているらしい。表札にあった県立高教組には、たまたま建物の一部を会議や物置用スペースとして貸し出しているだけ、というではないか!
建物の主は同敷地内にいた!
偶然にも取材の「本命」に辿りつくことができ、ひと安心。と、ここで担当者から思ってもみなかった言葉が。
「中を見てみますか?壁や床が劣化しているので危険もありますが、それでも構わなければ…」「え?いいんですか?見ます!ぜひ、見せてくださいっ!!!」と、だいぶ喰い気味に返事をする筆者。後日に出直して、建物内に入れてもらえることと相成った。(注※一般には開放されていません)
古地図から歴史をたどる
潜入レポートの前に、建物の歴史について触れておこう。
詳細は管理者でも分からないということで、複数のルートから調べてみたが、やはり確実な情報は得られなかった。それでも、図書館などにあった各機関の報告書や古地図などから概要はつかめたので、それらをまとめてご紹介する。
参考資料の一つ「新版 日本近代建築総覧」
なお以下は、資料によって異なる記載があるため、今回の調査や取材を通して総合的に解釈した結果であることをご了承いただきたい。
建築名:県埋蔵文化財資料保存整理館(旧中央衛生研究所)
所在地:横浜市南区中村町3-191-1
建築年:1927(昭和2)年
構造:鉄筋コンクリート造、3階建て
設計者:神奈川県営繕課
経歴:以下にまとめ
幾多の変遷を経て、現在に至る
歴史が曖昧なのは、時代によって組織名が次々と変わったせいか?はっきりしているのは、ここが戦前から県によって所有・管理されており、長らく本庁とは別の出先機関になっている、ということ。
門柱や外壁には旧管理組織の看板跡が残る