横浜市認定歴史的建造物ってどんな制度?
ココがキニナル!
横浜市歴史的建造物認定という横浜市独自の文化財登録制度があるそうです。どんな制度なのか取材してください。キニナル。(にゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜らしさを感じさせる歴史的な建物を、外観を中心に使い続けながら守っていくための制度。専門家の意見を聴きながら市によって、認定されている
ライター:田中 大輔
開港以来、日本の主要都市としてその歴史を歩んできた横浜市。
新しいビルがどんどん建っていく中で、歴史的に価値のある古い建物の保護も同時になされ、それが横浜独特の“異国情緒”あふれる街並みを演出しているのはご存知の通り。
例えば、現在の県立歴史博物館(旧横浜正金銀行)や開港記念会館(旧開港記念横浜会館)は、国の重要文化財に指定されている。
おなじみの県立歴史博物館は国が認めた重要文化財
これらの文化財はわりと知られたものだが、実は横浜市にはそれとは別に「認定歴史的建造物」という制度もあるらしい。
どういう制度なのか、文化財とはどう違うのか。今回はその辺りの“キニナル”に迫ってみた。
赤レンガも長屋門も
横浜市のサイトを見てみると、確かに認定歴史的建造物が紹介されている。
メジャーどころでは赤レンガ倉庫などが含まれているが、リストで初めて名前を見るようなものも多い。
横浜の象徴のひとつ赤レンガ倉庫。2棟そろって認定されている
建造物の種類も、いわゆる普通のビルだけでなく、教会や古民家、さらには橋にトンネルとバラエティに富んでいる。
「はま旅Vol.21 三ツ境編」でも登場した古民家・長屋門も認定
どうやら都市整備局が管轄しているようなので、詳しい話を聞くべく取材をお願いした。
使いながら守るために
取材に応じてくれたのは横浜市都市整備局、都市デザイン室の長谷川さん。
市庁舎のオフィスで話を聞かせてもらった
さっそく制度の概要について聞いてみた。
「横浜らしさを感じさせる歴史的な建物を街づくりの中で大切にしていこう」という認識のもと、昭和63年に始まった制度だと長谷川さん。
横浜の歴史的建造物は、学校や教会、個人の住宅など日常的に利用されているものが少なくない。
ところが、当時の文化財制度では建物を使い続けながら保護していくには規制が厳しかったんだそうだ。
中区の指路教会も認定歴史的建造物だが、現役の教会
文化財に指定されると建物の内側も対象になるため、簡単な改修でも制約が大きかった。
そこで、市独自の認定制度を作り「建造物を使い続けながら、歴史的な景観を守っていく」という主旨でこの制度が施行されたんだそうだ。
そのため、認定によって保全しなくてはならないのは主に建造物の外観だけで、内側の改変はある程度許容されるようになったとのこと。
つい先日の9月7日には、山手に建つ2件の西洋館が新たに認定を受け、現在全部で84件の建造物が認定されているそうだ。