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鎌倉にいるタイワンリスは捕獲処分されているの?

ココがキニナル!

鎌倉の台湾リス問題、市も駆除に力を入れているようですが、捕獲されたリスはその後どうなるの?将来的に台湾リスバーガーなどが発売されたりする?(かにゃさん)/鎌倉へはどのような方法で来たの?(HALさん)

はまれぽ調査結果!

鎌倉の別荘地または江ノ島植物園で飼われていたものが逃げ出し、野生化した。特定外来生物法に基づき年間約500匹を捕獲。その後は焼却処分される。

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ライター:吉岡 まちこ

鎌倉はタイワンリス発祥の地!?



鎌倉の有名な神社やお寺、たいていの緑ある所では普通に見かけるタイワンリス。ハイキングなどで「カッカッカッ」とか「ワンワンワン」という鳴き声が聞こえたら、それはタイワンリスが近くにいる証拠だ。
ちなみにカッカッカッは空の敵、ワンワンは地上の敵に対する警戒声だ。
 


屋外のレストランでも、人を怖がらずウロウロ…


つぶらな瞳。リスだからどうしても愛くるしい動きもする。「可愛い~~!」と観光客にカメラを向けられ、今ではすっかり鎌倉の名物だ。

鎌倉に入って来た経路には2説ある。一つ目は、1930年代に伊豆大島の動物園から逃げ出したものが神奈川、静岡、岐阜、大阪、和歌山、兵庫、長崎などの観光地で飼育され、その一つだった江ノ島植物園から1951(昭和26)年にさらに逃げ出して鎌倉市内に入り込んだという説。
二つ目は鎌倉市内の別荘地でペットとして飼われていたものが逃げたか放棄され野生化したという説。かなり流通していた実績があり、戦前に鎌倉で目撃されていたとも言われることから、鎌倉には2つのルートで入った可能性もある。
 


鎌倉で見かけるタイワンリスは全身がグレーだ(写真提供/鎌倉市)


タイワンリスの正式名は、クリハラリス。その名の通り原産地の台湾では、腹が栗のような赤茶色をしているが、日本に来てからは全身が灰褐色なのが主流となった。日本にもともといるニホンリスよりも一回り大きく、耳が丸くて短いのと、尻尾がやけに大きいのが特徴。

台湾では猛禽類やヘビといった天敵がたくさんいるが、鎌倉は、気候も温暖で緑も多く家庭菜園もさかん、しかも天敵がいないので棲むのにピッタリだったのだろう。
ちなみに鎌倉にはトンビも多いが、トンビは動物の死骸も食すので、リスの個体数を減らすほどの天敵にはならないそうだ。


タイワンリスによる被害は?



外来生物の飼育・栽培等を規制する「外来生物法」が施行されたのは、今から7年前の2005(平成17)年6月。その時、このタイワンリスも“特定外来生物”に指定された。
放置しておくと在来生物の生存を脅かしたり、生態系を崩す恐れがあるので、捕獲処分すべしということだ。

いったいどんな被害があって、どう駆除されているのか、鎌倉市役所環境保全課・動物保護管理担当者を訪ねた。ケガをしたタヌキやトンビなど野生動物の保護もする部署だ。
 


環境保全課の(左から)中丸さん、前田さん、那須さん


「鎌倉はタイワンリス発祥の地、なんていうありがたくない形容詞が付いちゃって…」と、今回主にお話しいただいたのは前田さん。被害の報告は多い日で1日に数件あるそうだ。

「鎌倉市の場合、農家は少ないので、家庭菜園の被害報告が中心です。青柿が全部獲られてしまったとか、ビワがかじられたとかですね」。電線をかじられ、住民からの通報でNTTや東電がカバーで覆う処置をすることもあるという。

食糧が不足する冬、樹液をなめるために木の皮をかじって剥ぎ、ひどい場合は立ち枯れてさせてしまう。
 


樹液をなめるために、輪状にかじられた樹皮(写真提供/鎌倉市)
 

樹皮をはがされた夏ミカンの木(写真提供/鎌倉市)


繁殖力も強く、妊娠期間は40日間。たいていが一度に2匹産み、エサが足りていれば年3回出産することもあるという。そして1年で成体に。寿命は4~5年だという。
「鎌倉市だけで最低でも5000匹。個人的推測では、何万匹もいるのではないかと思っています」と前田さんは言う。

年間の捕獲数は約500匹。一昨年は603匹、昨年は463匹だった。
これは、この数しか獲れないということではなく、あくまで市の予算が許す範囲の限度捕獲数だ。
 


メジロの餌台の果物を食べる、春先に産まれた子リス(筆者宅)


「リス園を作って観光資源にしたらどうかとか、以前は保護しようという意見も耳にしましたよ。10匹20匹ならともかく、年々500匹も簡単に獲れてしまうのに、そんなに飼育数を増やし続けてどうするのかということですよね」(前田さん)

国からの指導は、できる限りの個体数削減だ。
自然にどこまで手を加えるか難しい話ではあるが、「可愛いとばかり言っていられない。本来日本にいる動物ではなく人間が持ってきたものだから、人の手で始末しなければいけないのではないか」というのが、行政の姿勢だ。