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横浜の凄い会社5・世界初の超微細孔式ナノバブル発生装置を開発!安斉管鉄

ココがキニナル!

横浜にこんなすごい会社があった! 第5回は世界初の超微細孔式ナノバブル発生装置を開発し「世界の海をきれいに」を目指す株式会社安斉管鉄をご紹介!

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ライター:吉田 忍

世界一や日本一、日本でここだけという企業が横浜にもたくさんある。世界に名だたる有名企業もあれば、知る人ぞ知るという会社もある。
そんな企業を訪ねて、一番やここだけの製品や技術を紹介するシリーズ。「横浜のすごい会社」第5回は、世界初の超微細孔式ナノバブル発生装置を開発しさまざまな分野で新しい可能性に挑戦する「株式会社安斉管鉄」をご紹介。
 


世界初の超微細孔式ナノバブル発生装置を開発



現在、八景島シーパラダイスで、海をきれいにし生物を増やす実験が行われていて、とても良好な結果が出ているという。
なんでも、「ナノバブル発生装置」というものを海域に設置して行われている水質改善実験らしい。

調べてみると、鶴見区にある小さな会社が世界で初めて開発した装置だとのこと。ぜひお話を聞きたいと伺ったのは鶴見区駒岡の株式会社安斉管鉄(資本金1000万円、従業員29名)。安斉管鉄は主にガスの配管設計や設置を行っている会社で、「ナノバブル発生装置」は同社の一部門であるMCS事業部が扱っている。
 


鶴見区駒岡の株式会社安斉管鉄

 


ナノバブルとは?



ナノバブルとは小さな泡だが、いったいそれはどのくらい小さい泡で、何の役に立つのだろう? そして世界初のナノバブル発生装置とはどのようなものなのだろうか。
 


取締役事業部長の安斎さん


「実は学会でもどこからがナノバブルなのかについては意見が分かれていて、決まっていないのですが、特別な物理的特性がある直径50ミクロン(0.05mm)以下が適当だと思います」と、安斎さんの説明が始まった。

50ミクロン以下の気泡は気液界面(泡の表面)のイオンの力により対面が引き合い収縮する。収縮することで気液界面のイオン濃度が高められ、また内部の圧力と温度が上昇しさまざまな現象が引き起こされるそう。
つまり、ナノバブルは、直訳すると単に小さい泡という意味だが、直径50ミクロン以下になると普通の泡とは違う特別な物理的特性が現れる。そのような特性を持つものをナノバブルと呼んでいるのだ。
 


ナノバブルには時間とともに気泡がさらに小さくなるという特性がある(※画像提供 株式会社安斉管鉄)
<クリックして拡大>


同社の装置で作った「小さな泡」の直径は、できた直後の大きさが直径20~30ミクロンだが、数分で1ミクロン以下に小さくなる。

普通の泡は水中では浮き上って、水面ではじけてしまうが、ナノバブルは、徐々に小さくなるので内部の気体の密度が高まる。密度が高くなることで質量が増え、泡は浮き上がることなく水流に乗って水中を漂う。つまり、水の中に空気や酸素などの気体を留めることができるということ。

さらに、ナノバブルは負に帯電しているので、互いが反発してくっつかないので、小さいままのサイズを保つことができるなどの特性もある。ナノバブルが持つこういった特性に多くの可能性が期待されている。

このようなナノバブルの特性は、「殺菌」「洗浄」「生態活性化」「成長促進」「細胞保護」「熱伝達能」「気化促進」「環境浄化」などに応用することができるので、大学や研究室でそれぞれについてさまざまなな検証が行われている。

例えば、オゾンには殺菌効果があるので、オゾンのナノバブルを水中に混入させることで殺菌作用のある水にすることができる。牡蠣の養殖では体内に含まれるノロウイルスの殺菌が大きな問題だが、出荷前の2日間オゾンを含んだナノバブル混入水で処理(飼育)すると体内のノロウイルスを駆除できるそう。
 


(※画像提供 産総研)


「成長促進」の例では、チョウザメの養殖所で同社のナノバブルが実際に使われていて、30%程度速く大きくなっている。また、ナノバブルが溶け込んだ水を使用することにより、植物の成長促進にも効果があり、さらに糖度も高くなるという結果が出ている。

驚いたのは、ナノバブルが入った海水中で牡蠣をマイナス20度で凍らせた後、解凍すると死なずに生きている(生き返る?)ことが確認されているという。下の顕微鏡写真の左が通常に冷凍したもので、右がナノバブルを使用したもの。
 


牡蠣の細胞は凍結後にも形を保っている(※画像提供 産創研)


超微細気泡は生物の細胞の隅々まで入り込み、細胞を活性化させ凍結時にも細胞を壊さないのだそうだ。

「この技術を応用すれば生食の流通革命が起きます。新鮮な物を生きたまま簡単に食卓に届けることが可能になるでしょう」と安斎さん。

このように様々な効用が実証されているナノバブル。同社の画期的なナノバブル発生方法とはどのようなものなのだろう。

「ナノバブルを発生させる方法は、超音波振動を液中に伝えるやりかたや、ビールを開けた時に泡が出るように、液中に気体を過飽和状態にしておいて、圧力を下げる方法などいくつかあるのですが、私が開発したのは、一番簡単で最もコストのかからない、超微細孔式です」

超微細孔式、それは「小さい穴から気体を出す」という誰でも思いつきそうな方法だった。それが、どうして世界初なのだろう?
 


事務所にある水槽にその装置が取り付けてあった。


泡がすぐに浮き上がらず、まず漂っているのがわかる。安斎さんが開発した装置以外では、小さい穴から出た泡は出た直後に泡同士がくっついて大きくなってしまうそう。
 


水槽から出して見せてもらった。鉛筆の芯のような部分が特別なセラミック
 

水の中で水流を当てると水流と一緒に流れて進む


「株式会社西研デバイズという会社が作っている特殊なセラミックを使っているのですが、実は偶然の発見だったんです」と、世界初の超微細孔式ナノバブル発生装置に至るまでの歩みを話してくれた。