「シーフードドリア」発祥店は横浜にあり!現在に至るまでの歴史や、味へのこだわりは?
ココがキニナル!
ホテルニューグランド発祥と言われ、初代料理長サリーワイルが発明した『シーフードドリア』の話はあまり聞いた事がありません。発祥店のこだわりなどの情報が知りたい(ミューさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
シーフードドリアの発祥地・ホテルニューグランドでは、誕生当時と同じ味を現在も堪能できる。こだわりの3種類のソースが織り成す味は芸術的!
ライター:コハル
ホテルニューグランド1階の「ザ・カフェ」へ
今やほとんどのレストランやファミレスで食べることができるドリア。国民的人気を誇る洋食メニューの一つだが、実は横浜が発祥の地なのである。
この名作を生み出したのは、ナポリタンが誕生した場所としても知られる山下町の「ホテルニューグランド」の初代総料理長である、サリー・ワイル氏だ。
ホテル、ニューグランド発祥の料理はまだまだたくさんあるのだが、ナポリタンとドリア、国民的人気料理が二つも生まれるなんてすごいホテルだ。
弟子に囲まれるスーツ姿のサリー・ワイル氏(提供:ホテルニューグランド)
ドリアはいったいどんな経緯で生まれたのか? 発祥店のドリアはいったいどんな味なのか?
そんな疑問を解決すべく、早速現地へ取材に行くことに。
伝統あるホテルニューグランド(提供:ホテルニューグランド)
みなとみらい線「元町・中華街」駅1番から徒歩1分。歴史と風格を感じさせるホテルニューグランド内のコーヒーハウス「ザ・カフェ」は、広々としたスペースに上品なソファとテーブルが置かれたラグジュアリーな空間だ。
さすが老舗、落ち着いた上品な雰囲気です
今回取材に対応してくださったのは、同ホテル広報室支配人の和田さん。
早速ドリアを作り始めていただくが、ドリアが完成するまで、いろいろとお話を聞かせていただくことに。
ドリアは体調不良の外国人客のために生まれた?
ホテルニューグランドは、関東大震災後の横浜の再復興のシンボルとして1927(昭和2)年に開業。
オープン時のホテルニューグランド(提供:ホテルニューグランド)
開業と同時にパリのホテルからシェフとして招聘(しょうへい)されたのが、「料理の貴公子」として有名だったスイス人のサリー・ワイル氏。「シェフは厨房から一歩も出ない」という風潮を打ち破り、ワイル氏はお客様の前に登場して気軽にリクエストを受け入れることでも知られていた。
当時の調理場の様子
そんなワイル氏に、1930(昭和5)年ごろのある日、スイスから訪れた一人の銀行家がリクエストをする。
「体調があまりよくないので、体に優しいメニューを作ってくれないか? 喉の通りのいいものならベターなのだが・・・」
オファーを快諾したワイル氏が生み出したのは、野菜と一緒に炊いたライスに小エビのクリーム煮をかけて、オーブンでこんがり焼いた料理。
「この料理の名前は?」という質問に対し、ワイル氏がアドリブで考案した名前は、世界的に有名なイタリアの貴族「ドリア家」からとった「ドリア」。これがドリアが誕生した歴史的瞬間だ。
シェフとしての腕前はもちろんだが、ユニークな発想力と機転の速さでもワイル氏は評判だったという。
お客様のリクエストに応じて作ったのがきっかけ