午前中には完売!? 伊勢佐木町の老舗甘味店「銚子屋」の入手困難な「白玉あんみつ」ってどんな味?
ココがキニナル!
伊勢佐木町商店街の銚子屋さん、白玉あんみつは午前中に行かないと売り切れるほどの人気商品。上大岡にも店舗があったようですが、現在では伊勢佐木町のお店のみ。キニナル。(ヒイロ・ユイさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
素材をすべて手作りしている「白玉あんみつ」は生菓子なので、売り切れる分だけを販売。そのため完売する日もある。現在、店舗は伊勢佐木町のみ
ライター:たなか みえ
すぐ完売してしまう「白玉あんみつ」とは?
午前中に売り切れるほどのおいしいあんみつですって!?
甘味屋さんに行ったら、夏でもかき氷じゃなくてあんみつを食べる、あんみつ好きの筆者。私が取材しなくて誰がすると、早速銚子屋さんに取材依頼したところ「いいですよ。でも作っているところを見たいなら朝7時には来てくださいね。9時の開店に間に合うように店頭に並べなくてはなりませんから」とのお返事をいただく。
オープン直前の銚子屋さん
ということで、朝7時、眠い目をこすりながら銚子屋さんへと向かう。
京浜急行線黄金町駅からは徒歩2分。伊勢佐木町商店街7丁目の中に銚子屋さんはある。
朝7時。準備中の銚子屋さんへ。
「ああ、聞いています。どうぞ」と迎えてくれたのは、長く銚子屋で働く美恵子さん。毎日、午前7時には出勤して、白玉あんみつに入れる「白玉」をゆでたり、蒸し羊羹を蒸したりされているそうだ。
朝早くから厨房で店頭に並ぶ商品の仕込みをする美恵子さん
実は、白玉を作っているのは、戸塚にある工場。伊勢佐木町の厨房では、工場から冷凍の状態で運ばれた白玉を販売数分だけゆでるだけ。店舗では、同じく工場で作られた寒天や餡、求肥(ぎゅうひ)とともにパックに詰めているのだそう。投稿にある「午前中に売り切れてしまう白玉あんみつ」は、この日、24個が店に並ぶという。
きっちりあんみつ24個分の白玉をゆでる
ゆであがってきた白玉
白玉を水で冷やす
その日に販売する分のあんみつをセット
日付シールを貼る
できた商品を店頭に並べる
そこに常務取締役でこの店を取り仕切る銚子屋3代目の若菜美恵さんが登場。改めて銚子屋さんの歴史を伺うことにする。
「創業は1935(昭和10)年。創業者は私の祖父です。2代目は父、現在は夫が社長を務めています。創業当時は4、5軒先の場所で営業していましたが、戦争で焼けてこちらに移ったと聞いています。それ以来ずっとこの場所で営業しています。上大岡駅再開発前には、今の店舗以外に鎌倉街道沿いとその裏道の2店舗、再開発後は駅ビル(京急ウイング地下)で数年間営業しておりましたが、1999(平成11)年に開店し、それ以来ずっとこの場所で営業しています」
店に飾られた1952(昭和27)年ごろの写真
「銚子屋は昭和50年代後半に、それまで日持ちしなかった寒天やところてんを常温で90日保存可能にしました。寒天やところてんは加熱すると溶けて液体に戻ってしまいますが、弊社では溶けないように加熱殺菌する技術を開発したんです。それまでは、桶に寒天やところてんを入れて、伊勢佐木町や元町、遠くは横須賀あたりまで配達していたと聞いています。
現在は全国展開する大手ファミリーレストランで業務用食材として使っていただいたり、家庭用にパックした商品をスーパーマーケットに卸したり、頒布会(はんぷかい:取扱い店舗のおすすめ商品を、月替わりで届けるシステムのこと)で扱っていただいたりしています。そうそう最近は、amazonでも販売しているんですよ」
常温商品は店舗でも購入できる
「店頭で販売しているのは、消費期限のあるいわゆる生菓子です。なかでも一番売れているのは、こし餡、つぶ餡、白玉、ダブル餡の4種類のあんみつです。蜜も、黒蜜、赤蜜、抹茶蜜、ほうじ茶蜜からお好きな蜜を選んでいただけます。そうそう、今年の夏には百貨店で全国のあんみつ屋さんが日替わりで出店する催事があって、当店からは、粒とこしの2種類の餡が入った『ダブル餡あんみつ』を出しました。催事には久しぶりの出店だったのですけれど、あっという間に売れちゃいました。ありがたいですね」
午前中には売り切れるという「白玉あんみつ(330円)」
一度で二度おいしい「ダブル餡あんみつ(350円)」
「こし餡あんみつ、つぶ餡あんみつ(各330円)」を加えたラインアップ
それもそのはず。手作りの寒天に求肥、餡がカップに入って、こし餡とつぶ餡が330円。白玉とダブル餡は350円というから、売れるのは当たり前のことだろう。ほかのお店であんみつを買おうとすると500円くらいはするんだけど・・・ちょっと安すぎませんか!?
「そうですか? 安いですかねぇ? これでも増税と原料高騰に耐えきれず、思い切って春に値上げしたんですよ。それまでは税込300円だったんですけど・・・」
店頭に目をやって筆者はまたまたびっくり! 「蒸し羊羹」がなんと100円!!
「ああ、昨日天気が悪くて残っちゃったんです。通常は250円で販売しているんですけど、消費期限が短くなるので、お安くして店頭に並べました。雨が降ったからといって、必ず商品が残るわけではないので、いつも100円の蒸し羊羹があるとは限りませんけど(笑)」
「蒸し羊羹」が2本入りで100円
通常は250円
筆者はもちろん買いました! 100円の蒸し羊羹。もちもちと弾力があって、控えめな甘さ。とってもおいしかったです。このお味なら、250円出したとしても納得できる。ちなみに、店頭で買える生菓子は、あんみつのほかに串団子、玉羊羹、大福、芋羊羹・・・。その中でも若菜さんのイチオシはこの「葛みつ豆(330円)」。
若菜さんお勧めの「葛みつ豆」
常温保存可能なあんみつやくずきり、ところてん、1キロ入りの業務用の寒天や餡、蜜、赤えんどう豆などの甘味材料など、バラエティーに富んだ商品が並んでいます。
「みたらし団子」、「草団子」は2本入り240円
よもぎ大福120円
懐かしい「玉羊羹」8玉入400円
生菓子ラインアップの中に・・・、お地蔵さん?
銚子屋さんのすぐ先にあるお地蔵様にちなんだ新商品、5枚入500円
「お地蔵さんの瓦せんべいですよ。すぐ先にあるお地蔵さんがあるんです。最近、建物がリニューアルしてきれいになったので、当店でも何かできないかと、作り始めたんです。ご自分の具合の悪い場所からかじってくださいね。ご利益がありますから(笑)」
若菜さんの言葉に、頭? 目? 腰? どこから食べるか真剣に悩んだりして・・・。