日曜の朝10分だけのマニアックな旅

早朝午前6時前。筆者が歩いているは、横浜市港北区日吉本町4丁目。東急バス日吉52系統、通称「日52」の「東芝日吉住宅前」のバス停を目指していた。これまでにも「淵24」や、廃線となってしまった「川55」系統など、激レアバス路線を紹介しているが、その中でも極めて珍しい路線があったのだ。バス愛好家でも乗車した人が少ないといわれているバス停だ。

　

　近くにコンビニエンスストアや
　

　「オーケーストア」があるが、日曜日の早朝で人影なし

　
その理由は、運行時刻表を見れば一目瞭然。ピンクの時刻表に記されている数字は１つのみ。このバスは、週に1度日曜の午前6時15分にしかお目にかかれない。一体どんな路線なのか、まずは乗車してみよう。

　

　バス停が見えてきた
　

　住宅街に佇む「東芝日吉住宅前」のバス停
　

　時刻表は一段

「東芝日吉住宅前」というバス停なのだから、「東芝日吉住宅」があるはずなのだが、地図を調べても見当たらなかった。周辺を歩いて探してみたが、それらしき建物は見つからない。

　

　バス停（赤丸）の後ろは駐車場

　
時刻が迫ってきたので、バス停で待つことに。バスを待っているのは筆者のみ。周辺に人影すらない。お、きたきた！

　

　東急バスは時刻表ぴったりに現れた

　
運賃の220円を払い、終点の日吉まで乗車する。おや、乗客は誰もいない・・・。

　

　貸し切り状態でバスは出発する

この路線は港北区高田東にある白坂住宅前から始まり、白坂、白坂東を通り、東芝日吉住宅前は4つ目のバス停となる。ここからアリュール日吉本町、コンフォール南日吉、日吉台中学校、大塚製靴前、箕輪町三丁目、箕輪町舟下、箕輪町、終点の日吉駅東口まで運んでくれる。

　

　民家と個人店が並ぶ。外もバスの中も人がいない
　

　コンフォール南日吉でも乗客はおらず
　

　静かに民家が並ぶ

　
住宅街を抜け、綱島街道へ。特徴のある道ではないのだが、激レア路線に乗っているという実感があり、「周りの車は、ふだん見かけないバスだと気付いているのだろうか」などと考え、ワクワクしながら景色を追う。

　

　道が開け、綱島街道にぶつかり左折中
　

　道幅が広くなり視界が開ける
　

　車も人もまばら

箕輪町舟下まで来たが、ここまで乗降者はゼロ。このまま日吉に到着するのだろうか。1つ手前の箕輪町で乗ってくる人はおらず、貸し切り状態のまま10分で終点の日吉駅東口に到着した。

　

　日吉駅が近づいてきた
　

　終点「日吉駅東口」に到着
　

　貸し切り乗車での運転ありがとうございました

時刻は午前6時25分。駅前は学生と思われる若者がまばらにいるだけで、人通りは少ない。バスを利用する人に話を聞きたかったが、利用客が誰もいないというまさかの展開。

　

　爽やかな朝。街はまだ起きていないよう

バス停付近で待ち合わせをしていた慶應義塾大学の学生3人に声をかけ、「日52」の概要を話してみるが誰も存在すら知らず、「学生は、東急東横線か横浜市営地下鉄グリーンラインの日吉駅を使っている人がほとんどだと思いますよ」とのこと。

　

　駅の周辺には大学生や高校生がちらほら

　
これは情報を得るのが難しいようだ。綱島街道を反対側に渡り、帰りのバスで聞き込みをしてみよう。日曜日の朝とはいえ、日吉駅からの出発なら利用客がいるのではないだろうか。そう思い、「東芝日吉住宅前」を通るバスの経路を探してみる。