長い歴史に幕を下ろした横浜ニューテアトル。伊勢佐木町の映画館の灯が途絶える?
ココがキニナル!
2018年6月1日に閉館した、伊勢佐木町の横浜ニューテアトル。閉館日の様子は? 今後はどうなる?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
多くの人に惜しまれながら閉館日を迎えた老舗映画館。伊勢佐木町のにぎわいのためにも、継続を模索する動きがあるようだ
ライター:はまれぽ編集部
2018(平成30)6月1日、中区伊勢佐木町で映画の灯をともし続けてきた「横浜ニューテアトル」が、その46年の歴史に幕を下ろした。
この日に上映された映画は、伊勢佐木町の伝説的人物「ハマのメリーさん」を扱ったドキュメンタリー『ヨコハマメリー』。はまれぽでは、ニューテアトルの最後の瞬間に密着した。
最終上映にふさわしい作品だ
開館前から大行列が
最終日、開館前の横浜ニューテアトルには長蛇の列ができていた。
『ヨコハマメリー』は午後7時30分から、1回きりの上映。チケットは事前予約できず、当日の窓口でのみの販売だったため、入場券を求める人が集まっていたのだ。
午前9時40分、劇場のシャッターが開かれ、最後の1日が始まった。
時間通りに販売が開始
階段下の窓口でチケットを購入する
最終上映は全席指定で、もちろん売り切れ次第終了だ。
はまれぽでも列に並び、無事にチケットを購入した。ニューテアトルの席数は118席。平日にも関わらず、お昼過ぎには全席完売となったようだ。
日が暮れて夜・・・。ニューテアトルの前には、開場を待つ人で再びごった返していた。
開場前のテアトル前には黒山の人だかりが
チケットを持っていない人も記念に訪れているようだ
通りすがりの人たちも、「芸能人の出待ち?」と首をかしげる。今日でニューテアトルが閉館することを伝えると、「えっ、終わりなんですか!?」と一様に驚いていた。
改めて、この日上映されるのは中村高寛監督の代表作であるドキュメンタリー『ヨコハマメリー』。1995(平成7)年ごろまで伊勢佐木町などに立ち続けていた「ハマのメリー」さんの生涯と当時の横浜の姿を、同時代を生きた人たちへのインタビューを通して浮かび上がらせる作品だ。
メリーさんの存在は、ある年代以上の人にとっては常識
映画には、撮影当時(2004年ごろ)の伊勢佐木町も登場する。そうした縁もあって、横浜ニューテアトルは映画を全面的にバックアップしていた。だが、同館が閉館すれば「伊勢佐木町」の住所に映画館はなくなることになる。
戦後から高度経済成長を迎えた横浜と日本の姿を、その時代を生きた人たちの言葉を通して映し出した映画は、午後9時過ぎに上映終了。満席観客は打ちひしがれたように、席を立とうとしなかった。
しばらくの間館内は立ち入り自由の状態になり、写真を撮る人や思い出を語り合う人、それぞれに映画館との別れを惜しんでいた。
記憶に焼き付けておきたくなる劇場
場内に直結のトイレがついた珍しい構造や、手作り感の溢れる内装・・・。長い間上映を続けてきた館内もこれで見納めだ。
多くの作品が映し出されたスクリーン
思い思いに記録を残そうとする姿があった
映写機用の窓も味がある
館内に残って思い出に浸る方々に、作品や映画館の思い出をうかがうことができた。