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保土ケ谷区の崖の上、建設途中で放置されたマンションはどうなる?【後編】

ココがキニナル!

保土ヶ谷区の「ふれあいせせらぎの道」を進むと、建設途中で放棄された巨大な建物がある。マンション建設予定が、会社が倒産し途中で放棄したとか。崖が崩れそうな状態のまま10年以上放置しています(LKさん)

はまれぽ調査結果!

建築会社の資金難や条例改正が原因で建設が止まっているようだ。横浜市は斜面の土止めの改善を開発業者に要望しているが、誠実な対応はない

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ライター:小方 サダオ

「地下室マンション」が原因で工事が止まった?



ところで建築概要書には「地上3階、地下3階」と記され、前出のコメントにも「地下階と地上2~3階のマンションの予定だった」というものがあった。地下3階建てのマンションとはどういうものなのだろうか。

市のホームページには「地下室マンション紛争」というものが問題になったとあり、投稿のマンションもそれにあたるものであった可能性があるのだ。
 


地下室マンションになる計画だったのかもしれない

 
市のホームページよると「近年、市内の斜面緑地において、建築規模の増大から周辺の住環境に圧迫感を与える建築物となる『地下室マンション』に関する紛争が多発していました。これは1994(平成6)年の建築基準法の改正により、住宅の地階部分の容積率(建築物の敷地面積に対する延べ床面積の割合)が全国一律に緩和され、平地では地上3階までしか建築できない低層住宅地でも斜面地を利用すれば、実質、中高層のマンションでも建てられるようになったことによるものです」とある。

 

高度制限以下の建物(青線)が斜面(緑線)に沿って建っていれば特に問題はない(図1)
(『まちづくり条例の実態と理論』内海麻利)
 

「地下室マンション」とは、斜面地など高低差のある敷地に建築された共同住宅で、地下室があるものなのだが、当時は容積率の緩和制度を最大限利用することにより、斜面の下から見た際に高層となり、周囲に圧迫感を与えるなどの問題を生じさせていたようである。

 

傾斜地(地下室)マンションのイメージ(図2)(『追加提案要望書』横浜市財政局)
 

図1のように、以前は高度制限以下の建物を斜面に沿って建てなければいけなかったものが、容積率の緩和から、延べ床面積を増やすために意図的に盛土を行い、地盤面をかさ上げし高さ制限を回避することで、建物を元の斜面上ではなく前方にせり出して建てることも可能となったのだ。

そのため、一番下から数えると同じ階数であっても、図1のものはふもとから見た場合圧迫感はあまりないが、図2のものは高層マンションのような圧迫感を感じさせる。
 


「地下室マンション紛争」について報じた新聞記事があった

 
紛争の実例としては、1998(平成10)年4月22日(水)の新聞によると「4年前の法改正で、傾斜地を利用した階を地下階とした 『地下室』マンションが増え、低層住宅しか建てられない地域を中心に急増、周辺の住民らが『規制緩和の悪用』と反発」 とあった。

さらに新聞記事には、1998(平成10)年、横浜市戸塚区在住の50代男性のコメントがあり、「自宅近くの斜面に7階建てマンション建設の計画があることを知った。一帯は第一種低層住居専用地域で、3階建て以上の建設は建てられない。事業主は、計画は『地下4階、地上3階』のため法律上問題ないという」とある。
 


問題となったマンションSは山の上からは低層住宅に見えるが・・・


山の下からは地下4階、地上3階の7階建てだ
 

そして地下室マンションと周辺の住環境の調和を図ることを目的とした「横浜市斜面地における地下室建築物の建築及び開発の制限等に関する条例」が2004(平成16)年6月1日に施行された。

そこには地下室マンションに対する制限として「地下室マンションの周囲に圧迫感を与えることとなる、ボリュームを増加させるために行う盛土を規制する。低層住居専用地域においては、地下室マンションの形態自体を制限する。 (第一種高度地区内は階数を5以下、第二種高度地区内は階数を6以下とする)」などが規定されている。

そして投稿のマンションと「地下室マンション」について、横浜市建築情報課の担当者に伺うことにした。
 


投稿のマンションの工事完了予定年月日は2002(平成14)年とある

 
「投稿のものは建築計画が2002(平成14)年に出されていて、2004(平成16)年の条例制定の前に計画されたものなので問題がないのか」と伺うと「一般的には計画がされた時ではなく、建築物の工事に着工した時点で条例が適用されますので、建築工事の着手日の問題になります」とのこと。

投稿の場所では第一種低層住居専用地域にあたり、「地上3階、地下3階」の6階建てのマンションが建つ予定だったのかもしれない。ところが2002年に計画したものの、建築着工しないうちに2004年制定の条例の適用になってしまい、工事は建築着工前の造成工事の段階で全て中止になった可能性はある。
 


建築概要書通りの日程で工事が進んでいたのだろうか

 
しかし“工事着手予定は2001(平成13)年10月末”とあり、もし予定通りだとしたら2004年6月1日に施行された条例の適応は受けない。そこで神奈川県にある建築確認に詳しい会社の担当者に伺うと「建築概要書に記載されている着工予定年月日などはあくまで予定で、業者によっては日程通りに行わない場合もあります。また着工などの現場の状況の確認は、代理者・設計者・現場管理者・施工業者が行うもので、行政が立ち入って確認することはありません」とのことだった。

つまり建築概要書に記載された日程通りに進んでおらず、2004年の条例の適応を受ける結果になった可能性も考えられるのだ。

前出の高度制限以下の建物が斜面上に建ち圧迫感を感じさせない、ヴァンハウス上星川の形状を思い出した。建物の幅が狭いせいもあるが、こちらは9階建てながら圧迫感は少ない印象だった。
 


投稿のマンション(青矢印)と斜面に沿って建つヴァンハウス上星川(緑矢印)

 


取材を終えて



緑地内に残るマンションの外壁は、建築法の規制緩和とその後の法改正に左右された結果の姿なのかもしれない。
 


緑地内に立つ建設が止まったマンション



―終わり―
 


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  • マンションを建てるのに、こういった事情があるとは知らなった。

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