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京急線能見台駅近くの線路沿いに建つレンガ造りの壁の正体とは?

ココがキニナル!

能見台駅から横浜高校へ向かい歩き、さらに線路沿いを歩くと、レンガの壁の残骸?みたいなものがあります。線路下がガードになっていて、国道16号へ抜けるところです。何かの跡でしょうか?(こすけさん)

はまれぽ調査結果!

レンガ積みの壁ではなく、ブロックの壁にレンガ風タイルを貼ったもの。レンガ風にしたのは景観上の理由などで当時の工法により作られた可能性がある

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ライター:小方 サダオ

赤レンガの壁について京浜急行電鉄に伺う



京浜急行電鉄株式会社の総務部広報課・飯島学(いいじま・まなぶ)さんに投稿の壁と地下道に関して伺うと・・・
 


京浜急行の線路沿いに立つ投稿の壁

 
「こちらの地下道の名称は『おおさき地下道』といいます」
 


1980年の使用開始時のおおさき地下道

 
「工事は1979(昭和54)年8月から行われ、1980(昭和55)年2月28日から使用開始されました。以前あった『富岡第一踏切道』を廃止して、線路の横断者の安全を図ることを目的に新設されたものです」
 


富岡第一踏切道(『金沢区明細地図 昭和48年』)

 
「同地下道は、線路両側の側道の高さが異なるため、線路山側(横浜高校側)には、スロープと階段をつくる必要がありました。線路山側は、山側に上るスロープが、車道よりも低くなっており、車道側を歩く歩行者の転落を防ぐため、また、線路側の壁は歩行者が立ち入らないようにするため、よって双方に壁が必要になったのです」
 


地下道(青矢印)をはさんで国道16号線側(赤丸)より山側(緑丸)のほうが地面が高い

 
「レンガの擁壁となった経緯については、詳細は分からないものの、新設時からのものと推察されます。一部が赤レンガ貼りとなっているのは、おそらく環境調和的な意味合いで、またブロック積みの工法は当時の標準的な工法のようなものであったのではないでしょうか」とのことだった。

おおさき地下道は、地形の関係上、地下道を通すことになり、線路山側に二連の壁が作られたようだ。
レンガの壁となった理由は不明だが、当時の標準的な工法により作られたとのこと。

次にレンガ工法の事情に詳しい方を探し、話を伺うことにした。



 

レンガ工法の専門家が語る投稿の壁の姿とは


投稿の赤レンガの壁をご存じという、一般社団法人日本タイル煉瓦工事工業会の大野繁幸(おおの・しげゆき)さんに話を伺うと意外なことが分かった。

投稿の赤レンガの壁に関しては「赤れんが積みのものではなく、磁器質のタイル張りで形状及び大きさは小口タイルです。壁上部の構造がブロック積みで、そのブロック面にタイルを張っています。赤レンガが印象的ですが、使用したのは景観上の理由と思われます」という。
 


ブロック積みの面上にタイルを張ったものだ

 
インターネットで調べると「レンガはブロック状の物で、タイルは薄くて平べったい物。レンガの施工は下からモルタルで積み上げていくが、タイルは接着剤などで張り付けたり、モルタルで積み上げていく工法などがある。レンガと全く同じ材質で出来ているタイルを『レンガタイル』といい、形状も施工法もタイルと全く同じで、仕上がればレンガを積み上げたかのように見える」とあった。

また「レンガはタイルに比べ工費と工期がかかり、現在、レンガ積みは一般的に花壇や塀くらいといえ、最近の建物の外壁は、ほとんどが『レンガタイル』」のようだ。
 


レンガ工法はタイルよりも工費と工期がかかる

 
このことに関して大野さんに伺うと「レンガの主原料は、粘土と砂類で、それを混練して焼成したものがレンガです。レンガをタイルのような形状に加工し、レンガ風に表現したタイルを、俗に『レンガタイル』といわれています。最近の建物の外壁は、例えばマンションなどに使用されているのは一般的にタイルです。またレンガタイルは、レンガと同じ材質以外のものもあります」

「またレンガタイルは、ごく一部を除いてレンガと同じ材質ではなく、殆んどの製品は陶磁器質、せっ器質(現在はⅠ類、Ⅱ類、Ⅲ類で区分)で出来ております。セメント質のレンガ調(ブリックタイル)やごく一部にスライスレンガ(レンガをタイルの厚みにスライスをした製品)があります。当時は現在と同じで、構築物はタイルで納めているのが一般的でした。予算・工期・技能者の確保が理由かもしれませんね」とのこと。
 


おおさき地下道の施工時もタイル工法が一般的だった

 
次に現地でキニナッた、線路側壁の両端が上部だけ赤レンガになっている理由に関して伺うと「車道側から見ると線路側の見える所だけタイルを張って一体に見えるようになっていて、見えない部分はブロック積みで仕上げていると思われます。公共事業ですので予算的な問題もあるのではないでしょうか?」とのことだった。
 


車道側から見ると一連の赤レンガの壁に見える


中側の見えづらい部分はブロックの上にタイルが貼られていない

 
予算的な事情で全ての壁にタイルを貼らなかった可能性があるようだ。

また、北側の壁の一部は外側からブロック積みの壁が見えてしまっている。白い鉄製の柵が設けられていることから、この壁の一部が破損したために改修したのかもしれない。
 


北側の壁の一部は内側のブロック積みの部分が見えている