宮司お手製のスズメバチのお酒がある!? 西区の伊勢山皇大神宮を直撃した
ココがキニナル!
伊勢山皇大神宮の宮司さん、スズメバチを採取して焼酎漬けにするのが趣味らしいです。以前は鎌倉の鶴岡八幡宮の2番目に偉い宮司さんだったそうです(ナチュラルマンさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
鶴岡八幡宮で「禰宜」を務めていた池田宮司は「ニホンミツバチを見て神道が分かった」と話すほどの自然好き。スズメバチ焼酎はミツバチ飼育の副産物だった
ライター:はまれぽ編集部
スズメバチのお酒、その味は?
見たことのない迫力がある
そもそもスズメバチの焼酎漬けにはどんな効能があるのか?
実はスズメバチは「ヴァーム」と呼ばれる特殊なアミノ酸を作り出す力があり、それが強い持久力を生み出しているらしい。
スズメバチのドリンクをシドニー五輪で金メダルを獲得したマラソンの高橋尚子(たかはし・なおこ)選手が愛飲していたことから世界中の注目が集まり、研究が進められているなど、その効能は確かなようだ。
この焼酎には、そんなスズメバチの力が溶け込んでいるというわけだ。
そうは言われても・・・
黄色く色づいた液体の中を覗くと、生々しいその姿が!
しかし、飛んでいるときほどの恐怖感はない。焼酎に浸かっているうちに、恐ろし気な巨体も少し縮んでいるに感じる。
勇気を振り絞って一気にいただこうとするが、「そんなにたくさん飲むと大変なことになるよ!」と忠告をいただき、おちょこ一杯だけいただくことに。一日これくらいの量で充分なのだそうだ。
いただきます
覚悟を決めてスズメバチ焼酎を口にすると・・・なんとも表現しがたい味。明らかに普通の焼酎とは違う、香ばしいような、発酵しているような、独特の香りを感じる。癖は強いが、飲めなくはない。
取材に同席していた神宮職員の方にも飲んでいただく。
「・・・紹興酒みたいな味がします」
言われてみれば・・・と思ったが、池田宮司に言わせれば、「いや、これは昆虫臭いんじゃない?」とのことだ。昆虫の匂いをまざまざと嗅いだことがなかったので分からないが、これがその香りなのか・・・。
とはいえ飲める。そして飲み干すと、身体の底から熱がせりあがってくるような感覚がある。焼酎のアルコールだけではなく、何かが燃焼するエネルギーが生まれているのを感じる。
個人の感想です
自然の力を体感できるような気がするスズメバチ焼酎。そしてその原点であるミツバチの飼育。これって神道に関係があることなのだろうか?
池田宮司は「私は二ホンミツバチを通して神道を知ったんです」と語る。
神道の原点がミツバチに?
近年、数を減らしているという日本固有のニホンミツバチは、人間と同様、社会性を持った生き物。飼育するときには野生のハチが好むような環境を用意して、移住してくれるのを待つのがセオリーだ。
その「ハチが好む環境」は、「朝日が良く当たるけれど、南は開けていて、西日が遮られ、夏の直射日光は当たらないし、冬の寒い風も山や木で遮ってくれるような場所」だという。
池田宮司が「あなたが家を建てて住みたいところに巣箱を置けばいいんです」と話す通り、これは人間が生活しやすい環境も同じ。神道では、東西南北に割り振られた「四神相応(ししんそうおう)の地」という考え方で表れている。
京都や鎌倉の街も、「南に朱雀(湖沼)で開けている、北は玄武(山)で大きな山がある、東に青龍(流水)で川から朝日が当たる、西は白虎(道が開けている)でどこまでもいく道がある」という地形になっている。鎌倉に至っては、西に道を開くために切通しが作られるなど、神道の考えが貫かれているのだ。
政治の中枢が置かれていた鎌倉。その立地も大切に考えられていた
自然とともにある神道だからこそ、自然を見つめることでその教えが見えてくるということだろう。自分もまた、自然の一員であることを再確認できたような気がする。
そんな横浜で生きる人たちの心の拠りでもある伊勢山皇大神宮は、間もなく創建150周年を迎えるという。