ぎょらん工房が販売する「横浜明太子」。博多名物なのに、なぜ横浜なの?
ココがキニナル!
星川駅の近くにある、ぎょらん工房に「横浜明太子」というのが売っているのですが、横浜で明太子とは?気になります。(せったーさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
博多の老舗から技術提供を受け、原材料の一部に横浜の食材を使用したのが「横浜めんたい」。ヨコハマ・グッズ「横濱001」の認定も受け、新名物となるか
ライター:河野 哲弥
博多名物が横浜に?!
「めんたいこ」といえば、誰もが知っている博多の名物。タラなどの卵巣を調味料に漬け込んだもので、このうち辛味のあるものは、「辛子めんたい・辛子めんたいこ」などと呼ばれている。
投稿によれば、相模鉄道星川駅の近くで、「横浜明太子」を販売している店舗があるという。なぜ、博多名物に横浜の文字が使われるのだろう。
早速、ぎょらん工房に連絡をしてみると、ちょうど2月に立ち上げる予定の新店を、現在プレオープンしているらしい。そこで、西区浅間町にある同店舗を訪ねることになった。
現場近くの洪福寺松原商店街を撮影中、同社のトラックが通る
偶然通過した同社の輸送車。よく見ると、「横浜めんたい」という表記がなされている。どうやら、ほかにもいろいろな謎があるようだ。一挙に解決することにしよう。
築地の競り人から一念発起、同社の沿革とは
お話を伺ったのは、工房長の太田さん。まずは、ぎょらん工房の歴史から、説明していただくことになった。
洪福寺交差点角にある、洪福寺店外観
店員のみなさん、右が工房長の太田さん
太田さんによると、正式な法人名称は、株式会社マーケティングイン谷屋であるらしい。創業は1981(昭和56)年、代表取締役である谷屋一好(たにや、かずよし)氏は、もともと築地市場で競り人をしていたそうだ。
あるとき谷屋氏は、海鮮加工品の「子持ち昆布」を取り扱おうと思いついたらしい。主にカナダやアラスカの一部で捕れる「子持ち昆布」は、自然保護の観点から出荷量も限られており、独占できれば大きな商機になると考えたのだとか。
独特の歯ごたえが特徴、同社の「子持ち昆布」
ところが、年間の取扱量は多くても500トン程度のため規模が小さく、谷屋氏が勤めていた会社からはゴー・サインが出なかったという。それならば…ということで独立、自ら起業することになったそうだ。
同洪福寺店、内部の様子
現地での折衝も無事に終え、当時、世界中で流通する「子持ち昆布」の約7割を扱っていたという同社。太田さんの言葉を借りると、かつては、かなり「テング商売」であったようだ。
だが、2010年に転機が訪れる。肝心の「子持ち昆布」が不漁で、例年の半分以下しか捕れなかったのだ。専業によるリスクを痛感した谷屋氏は、ほかの海産品も取り扱う必要に迫られた。
そんなとき、知人から紹介されたのが、博多にある老舗めんたいこ店「西多津」。谷屋氏は、元社長の西吉タツエ氏に直訴し、その製法や技術の提供を受けたのだそうだ。
こうして生まれたのが「横浜明太子」
商標取得時に「横浜めんたい」と名称変更
商品化に当たっては、「横浜らしさを出すために、戸塚産のトウガラシなどを使うことにしました」と太田さん。また、独自の工夫として、「生とんがらし」を使うことで、キレ味の良い辛みが味わえるのだとか。