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横浜のお花見スポット2017 〜シーン別桜の名所15選〜 [はまれぽ.com]
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横浜のココがキニナル!

「とっつかまえる」は戸塚宿で宿泊させるために呼び込んで、客をつかまえることが語源と聞きました。本当でしょうか?(katsuya30jpさんのキニナル)

はまれぽ調査結果

「とっつかまえる」の語源というわけではないが、「東海道中膝栗毛」の程谷(保土ケ谷)宿の場面で「戸塚前」と「とっつかまえる」を掛けた狂歌が出てくる。

ライター:永田 ミナミ (2013年07月12日)

辞書を引く

「とっつかまえる」の語源が「戸塚」だなんて、本当だったら面白すぎると思いながら調査を開始した。まずは、語源といえば国語辞典だろうということで、手近にある辞書で「とっつかまえる」を調べてみると・・・
 

・【取っ掴まえる】「つかまえる」の口頭語的表現。(三省堂「新明解国語辞典」第四版)
・【取っ捕まえる】「つかまえる」を俗っぽく強めて言う語。(岩波書店「広辞苑」第六版)
・【取っ捕まえる・取っ掴まえる】「つかまえる」を強めていう語。(小学館「大辞泉」第二版)


・・・と、端的な説明しか載っていなかった。

さらに図書館に行って、三省堂「大辞林第三版」、講談社「カラー版日本語大辞典第二版」を調べてもほぼ同様だったが、学研「国語大辞典第二版」と、小学館「日本国語大辞典第二版第9巻」には、「とっ」は接頭語、という説明があった。
 


小学館「日本国語大辞典〔第二版〕」。全20巻で定価22万500円


そこで、あらためて「とっ」を調べてみると・・・
 

・【取】〔接頭〕(接頭語「とり(取)」の変化したもの)動詞の上に付いて意味を強める。「とっ組む」「とっつかまえる」など、やや俗語的表現に用いる。(小学館「日本国語大辞典第二版」第9巻)

・(接頭)(1)【取っ】動詞の上につけて言う「取り」の口語形。「―つかまえる」(2)【突】名詞の上につけて強調する意を表す。「―始(パジメ)」・「―外(パズ)れ」・「―端(パナ)」・「―拍子(ピョウシ)」( 三省堂「新明解国語辞典」第五版)


・・・とあった。ここで早くも「とっつかまえる」は「戸塚」に由来するというような小粋な語源は存在しないことが判明してしまった。

そこでまた角度を変えて調べてみたところ、ヒットしたのが十返舎一九の「東海道中膝栗毛」である。
どういうことだろうと見てみると、どうやら作中に
 

おとまりは/よい程谷と/とめ女/戸塚前ては/はなさざりけり


という狂歌が出てくるらしいのである。

参考までに、狂歌とは「日常卑近の事を題材に、俗語を用い、しゃれや諷刺(ふうし)をきかせた、こっけいな短歌。万葉集の戯笑歌(ぎしょうか)、古今集の俳諧歌(はいかいか)の系統で、江戸中期以後、特に流行。ざれごとうた」(小学館「大辞泉」)のことである。

「東海道中膝栗毛」の「膝栗毛」とは、膝を栗毛馬の脚に見立て、徒歩での旅を指す。つまり江戸時代の庶民の旅は基本的にすべて「膝栗毛」なのである。

「東海道中膝栗毛」は小学生の時に読んだが、現代語訳かつ児童書で内容が改変されていたためか、狂歌が載っていた記憶はまったくない。のちに実際の内容は猥褻(わいせつ)かつ下品なエピソード満載であると知ったが、原典で読み直したわけではなかったので、まずはなるべく原典に忠実な「東海道中膝栗毛」と歌川広重の「東海道五十三次」、その他いくつか関連資料を手に入れることにした。



原典を読む
 


下段中央が小学館新編日本古典文学全集81「東海道中膝栗毛」(校註:中村幸彦)
 

狂歌が詠まれる部分


程谷(保土ケ谷)宿に着いたところで、弥次郎兵衛と喜多八の2人(通称・弥次喜多)は、街道の両側にお面でもかぶっているかのように顔を真っ白く塗り、井の字絣(いのじがすり/細かい「井」の字を白く染め抜いた模様が入った織物)の前掛けを締めた留女(とめおんな/宿屋の客引きの女)が立って、しきりに旅人に声をかけているのを見かける。

留女が、旅人を乗せた馬方(馬を引いて人や荷物を運ぶ職業の者。馬子とも)や旅僧、参詣を目的に田舎から出てきた旅人に次々と声をかけ、滑稽(こっけい)で軽妙なやりとりを交わす様子が描かれたあと、弥次郎兵衛が
 

おとまりは/よい程谷と/とめ女/戸塚前ては/はなさざりけり


と、こじつけた狂歌を詠み、笑いながら歩いていくと品野(品濃)坂に至る、ということになっている。

留女が「お泊まりには程(ほど)よいでしょう」と、「戸塚(の)前」の保土ケ谷宿で客を「とっつかまえて」しきりに誘っている、という内容である。
 


現在の品濃坂(階段)。坂は環状2号線に削り取られて残っていない


当時、東海道を旅する人たちは、早朝に日本橋を出発して、初日は戸塚宿まで歩いて一泊するというのが一般的だったという。弥次喜多の2人も、住んでいた神田八丁堀を出発し、江戸の南の玄関口である高輪を過ぎると、いよいよ旅が始まる感じで描かれており、やはり戸塚で最初の宿をとっている。

参考までに各宿場の距離を挙げておくと、
 

日本橋~品川(2里≒7.9km)
品川~川崎(2.5里≒9.8km)
川崎~神奈川(2.5里≒9.8km)
神奈川~保土ケ谷(1里9町≒4.9km)※日本橋から32.4km
保土ケ谷~戸塚(2里9町≒8.8km)※日本橋から41.2km
戸塚~藤沢(3.5里≒13.7km)


である。神奈川~保土ケ谷の距離が他宿間と比較してかなり短く、戸塚の次の藤沢までは13.7kmとかなり遠いことが、旅人に「初日は戸塚まで」と思わせたのかもしれない。

ちなみに、遅く出発した旅人や年配の旅人などは保土ケ谷に宿泊する場合も少なくなかったようだ。


一九が狂歌に込めた思いとは・・・続きは次のページ≫
 

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