【横浜の名建築】重要文化財 神奈川県歴史博物館
ココがキニナル!
横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第6回は、神奈川県立歴史博物館。創建時には、世界有数の為替銀行だったこの建物は、それにふさわしい威厳と堅牢さでさまざまなものを守っていた。
ライター:吉澤 由美子
馬車道の海岸寄りにある神奈川県歴史博物館の旧館は、もともと1904(明治37)年、「横浜正金銀行」の本店として創建された。
馬車道で圧倒的な存在感を放つ
威厳を感じさせる建物のたたずまいは、ネオ・バロック様式の本格的な西洋建築。
重要文化財の碑が正面入口にある
案内してくださったのは、神奈川県立歴史博物館の主任学芸員である丹治雄一さん。
建物にまつわるエピソードを次々に教えてくださった
世界三大為替銀行の一つだった横浜正金銀行
横浜正金銀行は、貿易金融や外国為替を専門とする特殊銀行。
福沢諭吉と大隅重信大蔵卿の力添えを受け、国立銀行条例に準拠して1880(明治13)年に開業。
正面玄関の上に横浜正金銀行のエンブレム(紋章)である16弁の花
創業24年目に横浜正金銀行本店として竣工したこの建物は、当時、日本銀行とともに国内で最も重要な金融機関であり、後に世界三大為替銀行の一つに数えられるほど隆盛を誇った銀行にふさわしく、風格と威厳を感じさせる。
エンブレムは横の昇降口にも飾られている
第二次世界大戦後、この建物は東京銀行横浜支店として使われた短い期間を経て、神奈川県に売却され、「神奈川県立歴史博物館」となり現在に至る。
最大の特長 ドームとコリント式大オーダー(複数階をつらぬく柱)
歴史博物館でまず目にとまるのは、印象的で巨大なドーム。
緑青が雨に濡れた風情も美しい
基底部の長辺5.5mと短辺4.5mが交互にくる不等辺八角形で、直径は12m、高さ9.5m。
ドームの上に高さ9.2mの尖塔飾があり、それを含めた屋上床から塔先端部までは18.7mもある。
建物本体の高さは17m程度なので、いかにドームが大きいかがわかる。
丸窓に施された装飾も見どころのひとつ