お坊さんと酒が飲める? 神奈川区妙深寺の坊主バーに潜入!
ココがキニナル!
東京に『説法バー』なる僧侶が営む飲み屋がありますが、横浜にも僧侶や牧師が営む飲み屋はあるのでしょうか?(がるしあさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
東京の説法バーとは形態が若干異なるが神奈川区妙深寺にお坊さんによるバーは存在した。若い人にも寺に来てもらおうと始めたらしい
ライター:宮崎美穂
坊主バーといえば、東京・四谷の店が有名である。お坊さんに悩み相談をしたり、ありがたい話を聴いたりできるバーなんて魅力的。ずっと行ってみたかったけれど、さすがの横浜でもこれはない・・・と不安に思いながらインターネット検索を試みた結果、あった。ありました。
神奈川区の妙深寺で月1回のみの開催とのことだが、幸運なことに筆者は今日も暇! 心を弾ませ、その後実際に息を弾ませるとは微塵も思わず、酒が飲める酒が飲める、お坊さんと酒が飲めるぞ~♪ と夜の住宅街へと繰り出した。
横浜市営地下鉄ブルーライン三ツ沢上町駅からは、「普通に歩ければ」7分ほどだが、道中にはグーグルマップでは知ることができなかった、筆者のような中年には少々きつい難関が待ち受けているのである。実はバスでも行けるなんて知らなかった。
お坊さんたちは「功徳(くどく)坂」と呼んでいる。寺まではまだまだ
上り切ったと思ったら次は下る
最後の難関! 暗闇に浮かぶ「妙深寺」の文字
着いた・・・
というわけで途中休憩を挟み、なが~い階段を上って下ってまた上ると、今回お世話になる妙深寺に到着!
写真右に見える建物にバーがある
妙深寺って?
妙深寺は日蓮を宗祖に持つ本門佛立宗(ほんもんぶつりゅうしゅう)の寺で、1943(昭和18)年に創立された。
こちらは昼間の本堂の様子。モダンな建物
開祖の長松清風(ながまつ・せいふう=日扇〈にっせん〉)が「本門佛立講」を開いたのは1857(安政4)年であるが、本門佛立宗と公称するようになったのは1946(昭和21)年からと比較的新しく、南無妙法蓮華経と唱える「口唱行(くしょうぎょう)」によって功徳を得ると説いている。
妙深寺住職の長松清潤(ながまつ・せいじゅん)さん。良い声の持ち主である
これが「BOSE’S BAR Lotus(ロータス)」だ!
本堂より手前の建物には普段会議室として使われている部屋があり、坊主バーはそこで開催される。入口にたどり着く前にいくつか看板が出ているが、それらは全てお坊さんの手作りである。
最初に目に入る看板。ロゴがかわいい
看板2つ目は手書き。Lの字が蓮(ロータス)になっている
入り口脇。これも手作りだそう! 器用なお坊さんの集まる寺のようだ
外から見るとこんな感じ。会議室なのにおしゃれ!
寒いので中に入ります
都内や関西にある坊主バーは、宗派を問わずさまざまな寺から僧侶が集まって経営をしているそうだが、こちらはひとつの寺で全てを企画し、敷地内の会議室を使って開かれる。ただ僧侶がホストとなり、仏教を通じてありがたいお話を聴けるという点では同じであるといえよう。
オープン直後の店内。左に見える長テーブルと椅子は、やはり会議室っぽい
開催は毎月最終土曜日、午後6時から午後10時くらいまで。店内は静かにジャズが流れており心地が良いのだが、このBGMのチョイスは「バーだったらジャズじゃね?」というのと、店長の趣味が一致した結果だそう。
キニナル料金は1000円の会費制で、飲み物3杯と食事1プレートをいただくことができ、飲み物は1杯でも同額となる。アルコールの提供もしているが、居酒屋さんでの飲み会とは違って営利目的ではないので、話が弾む程度の酒ということで3杯までと決まっている。もちろん泥酔状態での来店も喜ばれないので、二次会での利用も控えた方が良い。あくまでも寺ですから。
ドリンクメニュー。チューハイは毎回内容が違うようだ
飲み物は缶ビール、缶チューハイ、ソフトドリンクがあり、注文をすると席まで持ってきてくれる。決して種類は多くはないし、カクテルが出てくるわけでもないが、これで食べ物もあって1000円ポッキリ。ランチでちょっと外食するだけでも、そのくらいはすぐ飛んでしまうのだから、破格である。
シークァーサーのチューハイだけストロングゼロ!!
そして、取材当日のお食事は、鶏肉の煮物、サラダ、ライス、クラッカーなどのおつまみ、缶詰の果物。これらは毎回僧侶の奥様方がメニューを考え、作っていらっしゃるのだそう。
鶏肉は味がしっかりしみており絶品
家族のために日々の献立を考えるのも大変だというのに、頭が下がる。そして非常においしかった。白米もついて腹にたまるので、来る前に食事はしない方が良いであろう。