お坊さんと酒が飲める? 神奈川区妙深寺の坊主バーに潜入!
ココがキニナル!
東京に『説法バー』なる僧侶が営む飲み屋がありますが、横浜にも僧侶や牧師が営む飲み屋はあるのでしょうか?(がるしあさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
東京の説法バーとは形態が若干異なるが神奈川区妙深寺にお坊さんによるバーは存在した。若い人にも寺に来てもらおうと始めたらしい
ライター:宮崎美穂
客層がキニナル・・・
開店してすぐに10名ほどのグループがやって来た。話を聞くと、一人の女性は近隣に住む檀家の方で、同伴していたのは彼女の友人と子どもたちという常連さん。毎月日々の愚痴などを言い合うのに利用しているそう。
どんな愚痴が繰り広げられているのだろう・・・
配偶者や子どもがいると外出もままならないであろうが、出かけるといっても行き先は寺なので、家庭でも問題にならないらしい。そういう使い方もあるのか、と感心する筆者。
もちろん坊主バーなので、お坊さんから学ぶこともたくさんあるわけだが、「(僧侶には)独身の人も多いから、家庭のことは逆にこっちが教えてあげるのよ~」と皆さん。互いに助け合い、徳を積むのである。
写真撮影にも快く応じてくださった皆さん。ありがとうございました!!
開始当初は檀家など知り合いが中心であったが、最近はFacebookページの宣伝効果も手伝って、一見さんも増えてきているそう。
「寺だから」「一人だから」と二の足を踏んでしまいそうだが、そういった敷居を取り外し、とにかく寺や仏教に触れる第一歩として機能しているのである。
こちらは2016年の様子。年齢性別問わずさまざまな客が訪れる(提供:妙深寺)
また妙深寺はワールドワイドな活動もしており、海外にある妙深寺の支部から現地に住む僧侶や信徒が研修で来日することがある。今回興味本位で同行した筆者のアメリカ人夫が言葉の面で楽しめるか不安であったが、心ゆくまで英語で仏教の話をすることができたようだ。
無神論者の夫(右)にも丁寧に対応してくれた
なんかスーツの人多いんだけど
ここは坊主バーだ。しかも寺の敷地内だ。そしてこの寺で修行を重ねている僧侶がホストだ。しかし袈裟を着ていない! 作務衣の人はいる。なぜだ?
「じゃあ坊主っぽく合掌で」と、はまれぽステッカーも一緒に
スーツを着用している理由を尋ねると、「坊主界にもいろいろ流行があり、今は袈裟よりスーツがかっこいいという風潮がある。ただ最近はまた袈裟がキテいる」とのこと。
個人的にはスーツだとお坊さんぽくないんだけどな~と感じるが、型にはまらないのも大事なのかもしれない。作務衣姿のホストもいるのは、バリエーションを持たせるためらしい。素晴らしい営業努力である。
お坊さんインタビュー
さて営業時間や料金、そしてバーの雰囲気は掴めたが、ほかにも聞きたいことはたくさんある。そこで妙深寺僧侶で、なんとはまれぽ読者でもある岩澤清従(いわさわ・せいじゅう)さんに、改めて質問をぶつけることにした。
後日本堂にて。この日は信徒が多く集まる法要があり、袈裟でキメている
筆者:坊主バーを始めたきっかけは?
岩澤さん:2005(平成17)年から開催しているのですが、お寺に来る檀家さんはご年配の方が多いので、若い方がお坊さんたちと話すきっかけを作りたくて、このようなイベントを企画しました。
筆者:ロータスという店名の由来は?
岩澤さん:「ロータス」は蓮の花なので、仏教にとって所縁があります。特に私たちの宗派では、お題目で「南無妙法蓮華経」と唱えるのですが、中に蓮の一字も入っています。そこで店名にしました。蓮は泥の中で咲きます。世間の荒波に揉まれながらも、それに染まらず美しい花を咲かせなさいという例えで、仏教ではよくお経の中に登場するのです。
筆者:日本のお坊さんはお酒を飲むイメージがありますが、提供することも含めて、仏教的に酒ってアリなんでしょうか
岩澤さん:基本的に現代では戒律というのはなくて、お坊さんとしてそれを守って徳を高めるというのは、あまり意味がないと考えています。また何かを絶って修行するのは現代人には無理であろうと、お釈迦様も仰っています。厳しい戒律を守るよりも、こうして人と触れ合っていくことを大事にしなさいという教えです。ただもちろん飲みすぎは良くないので、ここのバーでは制限をしています。
筆者:お客さんの男女比は? 深刻な悩みを抱えた人も来るのですか?
岩澤さん:Facebookページを始めてからは特に女性が多めです。男女問わず、皆さん抱えるものはあるでしょうが、ここに来られる方に関して言うと、男性の方が深刻に悩んでいる場合が多いですね。女性は悩みに関わらず、物珍しさでパッと来る度胸があるというか・・・。
筆者:ほかの宗派のお坊さんが来ることはありますか?
岩澤さん:お坊さんは来たことがないですが、仏教を熱心に勉強している方が来られることはあります。
筆者:妙深寺以外にも横浜(神奈川)でこのようなバーをやっているところはありますか?
岩澤さん:お寺としてお茶の会などをやっているところはありますが、坊主バーはないと思います。
筆者:妙深寺の宗派である「本門佛立宗(ほんもんぶつりゅうしゅう)」は日蓮さんが宗祖ですが、「日蓮」の名前が入っていないですよね
岩澤さん:宗派に個人の名前を入れてしまうと、その人が教祖のようになってしまいます。仏教は元をただせばお釈迦様の教えで、日蓮聖人自身も「私はどこの宗派の開祖でもないですよ」と仰っていますので、あえて個人名を入れないという立場を取っています。
また法華経には前半の本門(ほんもん)と後半の迹門(しゃくもん)があり、どちらを取るかによって考え方が変わるので、その違いを明確にし、仏様の立てた宗教ということで「本門佛立宗」とつけられました。
そのほかのイベント
妙深寺では坊主バー以外にも「坊主ヨガ」や「30分無料相談」など、現代人の心を癒すさまざまな試みをしている。ちなみにヨガであるが、前半にはプロのインストラクターと一緒に体をほぐす、いわゆる「ヨガ」、後半は発声をして心のデトックスをする「坊主ヨガ」を体験できるそう。詳細はHPをご覧いただきたい。
皆さんありがとうございました!
取材を終えて
単純に面白そう! と行ってみた坊主バーであったが、こちらが想像していた以上に深い話をすることができた。個人的には特定の宗教に属したいという気持ちは今のところないが、仏教を通して、現代人に必要な「人生について考える」時間を与えてもらう良い機会になったと思う。
―終わり―
取材協力
妙深寺
http://myoshinji.jp/
※バスで行く場合は横浜駅から35・50系統「神大寺(かんだいじ)入口」を利用
othellounoさん
2018年03月09日 14時10分
坊主刈りやスキンヘッドの人は特別サービスとかあるといいのにね !(^^)!
abandonneさん
2018年03月09日 08時26分
「世間の荒波に揉まれながらも、それに染まらず美しい花を咲かせなさい」の言葉に、通勤の電車で涙腺が・・・。時間を見つけて訪れたいと思います。それにしても、ユーモアのあるライターの方ですね!とても楽しく読ませていただきました(^_^)ノ
能鉄拳台さん
2018年03月09日 07時33分
日蓮じたい嫌いなので興味なし。「真言宗信じると国が滅び浄土宗信じると無限地獄に落ち禅宗(曹洞宗)信じると心に魔が入り込む」と言っていた安房鴨川出身の鎌倉時代のキチガイ坊主。