旭区の三叉路のド真ん中にある邪魔な像の正体は?
ココがキニナル!
旭区の今宿南町1848番地付近の三叉路の中心に墓なのか地蔵なのかよく分からない石でできた古い物体が置かれています。周辺は道が狭くこの物体のせいで通行しにくいです。あれは何ですか?(ねこみくさん)
はまれぽ調査結果!
古くからこの地域で祀られてきた庚申塚。像の鎮座していた塚を削って道を拡張したために、交差する道路上にあることが際立って見える形になった
ライター:小方 サダオ
道の真ん中に設置された交差点の守り神?
道路上に置かれた古い石の物体とは何なのだろうか? 交通に不便になる場所に置かなければならない理由でもあるのだろうか?
投稿の像のある場所(青矢印、Googlemapより)
まずは現地を確認してみることにした。
神奈川県横浜市と東京都八王子市間にある国道16号線を、旭区今宿西町付近で南側の脇道に入り、住宅地内の曲がりくねった細い道を進む。
国道16号線
住宅地の中の道
曲がりくねった道を進むと・・・
あるカーブの先に、交差する道の真ん中に土台にのった石像が立っているのが見えた。
交差する道路の真ん中に何かが立てられている
見通しが悪いからか、コンクリートの土台にカーブミラーが・・・
古い像のようで、風化したのだろうか、顔などが削れてしまっている。
何かの像のようだ
近くに住む農家の男性Aさんに像について伺ったところ、この像は「庚申塔(こうしんとう)」だと教えてくれた。
「あれは庚申塔です。60日に1度の庚申の日には、近所の庚申講の講中が像の近くでお祭りを行っていました」。
庚申塔とは、中国の道教で信じられていた風習から生まれた塔のことだ。
中国の道教では、人間の体内には「三戸(さんし)の虫」という3匹の虫が住んでいると信じられていた。その虫は庚申の日の夜、人間が眠っている間に、体内から出て天帝(※中国で信仰される最高神)にその人間の悪行を報告しに行ってしまうという。
天帝に悪行を伝えられると寿命が縮められてしまう。そのため、庚申の日の夜は「庚申待(こうしんまち)」といって、眠らずに過ごすという風習があった。庚申塔は、庚申待を18回続けた記念として建立されることが多く、全国各地に存在している。
庚申待の本尊・青面金剛(しょうめんこんごう)
「また12年に一度の観音巡り(旧小机領三十三所子歳観音霊場、江戸時代の1732(享保17)年に開かれた横浜市・川崎市麻生区・町田市所在の観音霊場の札所の巡礼)の道しるべとしても使われていました。27番目の札所・上川井の長源寺と28番目の札所・二俣川の三佛寺の間に当たります」
二俣川くわんおん(観音)の刻印
川井くわんおんの刻印
狭い道にもかかわらず大型のトラックも通る
庚申塔は明治時代、庚申信仰は迷信だとする政府によって撤去が進められ、それ以降も街道の拡張整備などの理由で減っていった。
生活道路上にあるこの庚申塔は、そういった撤去や破壊を免れ、今も残されているようだ。