横浜市が「危険な天井」のある107の公共施設を改修! その詳細は?
ココがキニナル!
横浜市が公共施設などの「危険な天井」を改修するというけど、なぜ? 該当する施設は何ヶ所? いつまでに終わって、総工費は?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
東日本大震災でつり天井の落下事故があったことを受け、市内107施設の天井を2022年度までに改修する。総事業費は約120億円を見込む
ライター:はまれぽ編集部
107施設が「危険な天井」
2011(平成23)年3月の東日本大震災によって全国で大規模施設の天井が崩れ、建築基準法施行令が改正されたことなどを受け、横浜市は公共建築物の天井を改修する工事計画を策定した。
横浜市内では「ららぽーと横浜」などの民間施設で天井の崩落があったが、計画はあくまでも横浜市内の公共施設が対象で、民間施設は各自の判断にゆだねられる。
民間施設の改修は各業者の対応による
事態を重く見た政府は2014(平成26)年4月に天井に関する基準を改めた改正建築基準法を施行。新たな施設を作る際、建物の多くで一般的に採用される「つり天井(=天井の裏のコンクリート部分をボルトを付け、表面を石こうボードなどで固めたもの)」で、かつ
(1)天井の高さが6メートル以上
(2)天井の水平面積が200平方メートルを超える
(3)天井の部材の重さが1平方メートル当たり2kgを超える
という3つの条件すべてに該当する「特定天井」と呼ばれるものについては、ボルトを増やしたり、接合用の金具の強度を上げることを義務付けた。
従来と新基準の比較
これらの基準は新たに施設を作る場合に適用され、既存施設については基準を満たしていなくても(=既存不適格)改修の必要はない。
しかし、横浜市では改正建築基準法施行令が施行されるより前の2013(平成25)年8月から天井落下の危険性がある公共施設について調査を実施。その結果、既存の107施設(147室)で落下防止対策が施されていないことが分かった。
市ではこれらの施設の修繕を計画的に行うため、2015(平成27)年3月に「横浜市公共建築物天井脱落対策事業計画」を策定。計画の中身を横浜市建築局公共建築部営繕企画課の恵美須望(えびす・のぞむ)課長に聞いた。
取材対応してくれた恵美須課長
恵美須課長によると、計画は災害時の防災機能が十分に果たせるようにすることが大きな目的。
そのため、対象となる施設を危険度や災害時に果たすべき機能の役割などを勘案し、重要度が高い順にS、A、B、Cの4グループに分類。
さらに使用用途によって「最も重要な拠点」を(1)、「都市インフラを支える施設」を(2)とした。
施設の分類
最も重要度が高いSグループには青葉区総合庁舎(青葉区)、消防指令センター(保土ケ谷区)や拠点病院となる横浜市立大学附属病院(金沢区)、同大学附属市民総合医療センター(南区)のほか、帰宅困難者一時滞在施設となる中央図書館(西区)や関内ホール(中区)など47施設(63室)が選ばれた。
消防本部や
横浜市大附属市民総合医療センター
中央図書館などがSグループ
改修工事は施設の稼働状況や市民サービスを万全に確保できることなどに配慮しながら、3年度以内(2015~2017年度)に事業着手する「第1群」と、それ以降(2018~2022年度)に着手する「第2群」に分け、いずれも2022年度までに完了する。
上記の表にあるように、学校施設については2014(平成26)年に改訂した「横浜市学校防災計画」で対策工事を行っているため、今回の計画には含まれていない。
第1群では34施設(50室)、第2群では73施設(97)室の工事を行い、総事業費は約120億円を見込んでいる。
第1群と第2群のグループの数
2015年度は消防指令センター、神奈川公会堂、保土ケ谷公会堂、十日市場地区センター、大正地区センター(戸塚区)、磯子スポーツセンター、港北スポーツセンター、関内ホール、磯子区民文化センター・杉田劇場の9施設(10室)で設計を行う。
恵美須課長は「既存不適格で改修の必要がないとはいえ、施設を利用する市民の安全安心が第一。なるべく早く、全ての施設の工事を終わらせたい」と話した。
取材を終えて
政府の研究では、30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率が最も高い首都圏の都市は横浜市で、78%とされている。
地震は、いつ、どこにいるときに発生するか分からない。
2022年度完了と言わず、恵美須課長の言うように「なるべく早く」市民の安全安心のための工事をしてほしいと願う。
―終わり―
横浜市公共建築物天井脱落対策事業計画
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ホトリコさん
2015年03月17日 12時22分
横浜アリーナのエントランス高天井は、見上げる度にスゴいな~と感心していたのですが、あまり落ちてきた場合の危険性は意識していませんでした。