横浜市における生活保護の実態は?
ココがキニナル!
いま何かと話題の生活保護の状況について横浜市はどうなっているのか聞きたい。(Ichiさんのキニナル)/外国人の生活保護受給の実態を調査して下さい。(リキさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜では大規模な不正受給はないとのこと。横浜市の生活保護受給者数は、49,968世帯・68,451人で、そのうち、外国人受給者数は2,855人。
ライター:吉田 忍
区別被保護世帯及び人数の状況
寿地区は特殊事情のため、特に分けて記されている
区別で見ると寿地区を含む中区が多く、青葉区、都筑区という新しい街で少ない。
生活保護は常住している場所で受けることができるので、そこに住民票があるとは限らないが、横浜市では受給に際して基本的に住民票を移してもらうようにしているのこと。
生活保護は世帯で受けるものなので、被保護者数の世帯数と人数に差がない地区は独居の方が多いということになる。
年齢別受給者数は以下のとおり。
基本的に年齢とともに増加している
20歳代は最も少ないが、増加傾向にあるという。
外国人の受給状況
外国人であっても、一定の在留資格などを取得して日本に定住していれば生活保護を受けることができる。片山さつき議員が外国人の不正受給について問題提議したが、上記のように日本全体の保護率が1.65%に対し、外国人の保護率(総外国人に占める保護者数)は、5.5%になっているのだという。横浜ではどうなのだろう。
被保護者のうち、2,855人(4.17%)が外国人
元々外国人が多い横浜市は外国人の受給者も多い方で、全受給者の4.2%ほどになるが、大阪市では1万人を超えており、7.1%にも及んでいるのだそう。
生活保護は世帯を対象としているため、この数字は世帯主が外国人の数。世帯主が日本人の場合、外国人の家族はここには含まれないし、世帯主が外国人であれば日本国籍の家族も含まれる。
横浜の外国人のうち、およそ3.7%が被保護者
参考までに外国人登録者数を元に外国人に占める受給者数を出してみた。横浜市に住む外国人のうち3.67%が生活保護を受けているということ。この比率は日本人のおよそ2倍にあたるが、日本全体の5.5%よりは低い。横浜市では大阪市のように入国直後にも係わらず支給するような例はなく、生活保護受給を企んで横浜に大挙しての入国はないという話だった。
不正受給
残念ながらお金がからむと必ず不正が起きるのが世の常である。東大阪市では市の職員約30人の親や兄弟などが生活保護を受給していたという報道もある。同居しておらず、仕送りができないという状況であれば不正ではないが……。
横浜市での不正受給状況についてうかがったところ、
平成22年度のデータでは、1,239件で6億2,400万円だとのこと。内容は稼働収入の無申告が584件47.1%、同過小報告(一部申告もれ)が115件9.3%、その他、年金や他手当の申告不備が194件15.7%など。
ただし、巻口課長によると、高校生のお子さんがアルバイトをした分などという例が多く、横浜市では悪質なものは少ないということだった。
悪質な例を聞いてみると、偽装離婚によるものだそう。子どもが生まれたのをきっかけに、戸籍上離婚して女性が生活保護を受給していたが、実は前夫と同居していたというもの。調べてみると、この事例は特に外国人に多く、横浜市ではないが、同国人コミュニティで仲間に手口を伝授しているという例もあるのだとか。
横浜市は不正受給分の返還はもちろん、偽装離婚のような悪質なケースでは告訴・告発の検討を行い厳しく対応している。また、神奈川県、県内の政令市そして神奈川県警で連絡協議会を作り悪質な不正について対策を強化している。
そして、横浜市では受給者をケアするケースワーカーを社会福祉職として採用しているので、モラルが高く熱意があるとのお話だった。
さらに、横浜市は被保護世帯への就労支援プログラムに力を入れており、他都市に先駆けてハローワークとは別に各区に60名の就労支援専門員を配置している。
このような対応、対策が横浜市における被保護者数を比較的少なくしているようだ。
最後に
生活保護については連日のようにニュースなどで取りざたされているので、ものすごく不正が多いように感じていたが、横浜市では不正とされた額は0.5%だった。もちろん、これは発覚した分だけであるが想像していたより少なかった。そして返還や刑事告発も行なわれているので、被害額としてはさらに少ないと思われる。
現在の状況は、モラルのない一部の受給者のせいで、生活保護受給者全体に不必要なプレッシャーがかかっていると言えるのではないだろうか。
もしも病気になって働けなくなったらどうしようという不安は誰にでもある。誰もが安心して生活できる国であるために生活保護制度が存在する。不正をなくすための適正な運用が望まれるが、福祉制度は本当に必要としている人を取りこぼすことは許されない。
「過熱報道によって、本当に困っている人が相談に行きにくくなるような事につながってはならない。この点が気がかりです」と巻口課長。さらに、保護辞退の強要や窓口での門前払いで餓死者が出てしまった他都市の例についておっしゃった以下の言葉が特に心に残った。
「横浜市ではそのような例は一切ない。死者を出すような行政は最悪です」
― 終わり―
健康福祉局 生活福祉部 保護課
電話: 045-671-2404
生活保護制度
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/hogo/hogo.html
Nicksさん
2012年07月17日 00時29分
失業、病気、高齢など、自らの努力ではどうにもならない事情で保護を必要としている人が、受給できないような事がない社会が望まれます。ただ、健康で仕事ができる人達には、仕事を通じて自立してもらうことが求められるでしょう。そこの切り分けというのは実は大変難しいのかもしれません。大きな視点にたつと、生活保護受給の増加というのは、高齢化と経済低迷という2つのマクロ要因があるのではないでしょうか。かつて横浜経済を切り盛りした世代が引退し高齢化したり、経済のパイが縮小する中で就労機会そのものが縮小していることがあると思います。横浜に様々な業種の企業が集積され、互いに刺激し合い、下請けや元請けのピラミッドが拡大し、高齢者や若年層を含む就業機会が増えることが望ましいでしょう。その起発点がMMや関内や新横浜などへの企業誘致だと思うのですが、経済成長政策こそ市全体で最優先で取り組むべき検証事項であると思います。
yummyさん
2012年07月15日 18時14分
市政についてテーマごとに調べて報告されていますので、非常に役にたちます。 ただ今回掲載の中に就労支援専門員が各区に60人とありますが、それほど多くないと思います。http://yatarou.tumblr.com/post/3451038996/3 また外国人の生活保護受給状況について、外国人支援をしている関係上 もっと自分たちでも調べなくてはとおもいました。ありがとうございます
浜の住人さん
2012年07月12日 17時43分
大変興味深かったです。ただ違法では無いが、脱法的な需給が結構あるという話を関内の社労士の方に聞いた事があります。大阪で問題になった、病気認定を乱発して、生活保護者の受診で稼ぐような例が横浜には無い事を祈りたいですが、もし良ければ追加で取材願いたいです。違法、脱法含めて、多くのケースが明らかになる事で、根本的対策にもつながりそうですし・・。期待しております。