鎌倉の建長寺に梶原景時の亡霊が現れる?
ココがキニナル!
鎌倉の建長寺では、昔々、施餓鬼会に遅刻した梶原景時の亡霊が現れた為、通常の儀式に追加した景時用の施餓鬼会が今も行われるとか。霊が現れた時の状況が具体的らしいので気になります(tamaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
梶原景時の霊を慎めるために行った「三門梶原施餓鬼会」は建長寺創建当時から毎年7月15日に行われている。施餓鬼棚が設けられ、30名を超える僧侶が読経する様子を参列者が見守っている。
ライター:ほしば あずみ
これが三門梶原施餓鬼会
建長寺派管長 吉田正道老師(中央)の入堂
読経は先導と鐘にあわせて進む
歌うような独特の抑揚の読経は聞き慣れないものだった。「陀羅尼(だらに)」というサンスクリット語のお経だ。
総勢40名近い僧侶が一斉に唱えているのだが、高低さまざまな音程が入り混じりゆったりした速度とあいまって、簡単に迫力と一言でくくるわけにはいかない荘厳さが周囲に満ちていた。
吉田老師の「水向け」。桶の浄水を撒いて回向する
他のお坊さん方は2人一組で「水向け」を順番に行う
「水向け」は三界万霊への供養で、水を撒くことで餓鬼に水や食べ物を施した事になるという。
施餓鬼会の法要は全体を通して途中に一切の休憩もなく、説明もない。
やがてお経の調子が変わり、「行道(ぎょうどう)」という作法での読経がはじまる。
全員がお経を唱えながら三門をぐるぐるまわる
このお経を浴びる事で私欲が祓われるという
列が元いた場所に戻ってくる。特に区切りもなく説明もあるわけではないが、ここからが梶原施餓鬼会で、梵語(サンスクリット語)の「般若心経」が読まれる。
梵語の「般若心経」は開山の大覚禅師(蘭渓道隆)が宋から持参したという
お経の中では比較的身近といえる「般若心経」だが、歌のような節まわしとサンスクリット語でやはり聞き慣れないものだった。
声をそろえて誦経(じゅきょう)される不思議な「般若心経」を耳にしているとどこかに梶原景時が立っているような気がしてくる。
「般若心経」を読み終えると三門梶原施餓鬼会は終わる。やはり特に説明もないままお坊さんたちの解散でそれとわかる。開始から一時間あまりだった。
法会が終わるとお坊さんたちはぞろぞろと引き上げていく
修行僧のみなさんは法会が終わった後に「水向け」をし・・・
急いで僧堂のある嵩山門(すうざんもん)へ駈け込んでいった
三門では一般参列の人も「水向け」を行うことができる
取材を終えて
あまり知られていないが、建長寺開山当時から欠かさず行われてきたという「三門梶原施餓鬼会」。
源義経の敵役として悪く描かれがちな梶原景時という武将を、ずっと供養してきた歴史の奥深さに触れる事ができた早朝のひと時だった。
鎌倉の社寺ではまだ、知られざる祭事や儀式がひそかに行われているかもしれない。
キニナル行事があればぜひ知らせていただきたい。
―終わり―