「道がある」と勘違いして車が突っ込んでしまいそうな謎の「壁」が日ノ出町にあるってホント?
ココがキニナル!
日ノ出町1丁目信号の次の信号を左に曲がる正面に、道があるなと思い進むと壁だった。夜に飲んでていい気分だったのですが、車とか突っ込まないの?なんでこんなにリアルな絵なの?(むっちーさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「道があると思い進む」ほどリアルな「壁」の正体は2012年の黄金町バザールで描かれた「街の隙間」というタイトルの絵。車が突っ込んだことはない
ライター:橘 アリー
黄金町バザールで制作された絵!?
「黄金町エリアマネジメントセンター」に行ってみると、すぐにお話しを伺うことができた。
この日は、李智希(イ・ジヒ)さんが対応して下さった。
李さんによると、この絵は、2012(平成24)年の「黄金町バザール」で制作されたものであるそうだ。
対応して下さった李智希(イ・ジヒ)さん
「黄金町バザール」とは、アートによるまちの再生に取組んでいる、NPO法人「黄金町エリアマネジメントセンター」が主催するアートフェスティバル(芸術祭)のこと。
2012の「黄金町バザール」の冊子に載っている絵の様子
吉野さんは、2012年の「黄金町バザール」に応募して実際に展示する作家として選ばれ、この作品を制作されたそうだ。
そして、「黄金町エリアマネジメントセンター」から連絡を取っていただき、吉野さんにお話を伺うことができた。
作品は自分の子どものように可愛い存在!
吉野さんは、現在は都内にお住まいであるが、とても有り難いことに、今回の取材のために、わざわざ黄金町まで来てくださった!
吉野ももさん
久し振りに「街の隙間」と対面したご感想を聞いてみたところ、「思っていたよりも元気そうで良かった」とのこと。
自分の作品は、自分の子どものように可愛い存在なのだそう。
愛おしそうに絵を見上げる吉野さん
久し振りのご対面を果たしたところで、今回の作品についてなどお話しを伺った。
―「街の隙間」の制作意図について聞かせて下さい
最初は道路に、と考えていたのですが、道路は管理がさまざまで難しいので、バザールの方から「この場所はどう」と提案いただいたのが、今の場所です。建物の壁に描く前に、試作として、ブロック塀に絵を描きました。
試作品は、現在も残っている!
最初は、建物に描くことは考えていなかったので、何を描くか悩みました。
そして、ただ実物のように描くだけではなく、黄金町の歴史を勉強し、絵にその意味を込めました。絵は、耐水性で屋外でも問題なく普段使い慣れている、アクリル絵の具で描いています。
赤と青と、本当はゴールドだけど黄色に見える3つの線に、黄金町のこれまでの経緯の意味を込めました。
赤は、赤線の合法地帯、青線は、違法地帯だった以前の黄金町で、ゴールドは黄金町の金です。「この町の記憶を残したい」という意味を込めています。
―「街の隙間」というタイトルにした理由は何ですか?
当時「隙間」というタイトルのシリーズ作品をつくっており、その流れでつけました。
「隙間」シリーズは、展示壁のど真ん中に展示するようなものではなく、色んな場所の端っこの方にさりげなく置く、という作品シリーズ。普段意識しない場所に意識を向けるという意図でした。
―「街の隙間」のようなトリッキーな絵を描こうと思った理由は?
リアルなものを描きたいと思ったのですが、ただそれだけではなくて、何か仕掛けのようなものを作るようにしたためです。
穴は、グラデーションで徐々にぼかして行くそうだ
―今のような作風になったのはなぜですか?
二つあって、一つ目は、子どものころ、図鑑が好きで図鑑に描かれているリアルな絵、とりわけ植物図鑑のリンゴの絵がすごいと思い、リアルな絵を描きたいと思いました。
二つ目は、直線や曲線、幾何学模様を、描こうとしていたから。分かりやすく明瞭なものを描きたかったからです。大人でも子どもでも、誰もが見て分かりやすいものを描きたかった。
赤や青の線は、はみ出さないようにマスキングテープをして描いたのだそう
―作風は「トリックアート」でよいのでしょうか?
いいえ、トリックアートとは少し違うと考えています。ただリアルな絵だけではなくて、いつも、そこに何か意味を込められたらと思って描いています。
ですので、呼び方としては、「トリックアート」ではなくて「トリッキーな絵」というようになると思います。
―絵の制作期間はどれくらいだったのですか?
約1ヶ月間です。その間は、「黄金町マネージメントセンター」の近くに滞在していました。
―制作中に苦労したことなどはありますか?
7月から8月の真夏だったので、蚊が多くて困りました。
制作中の様子(撮影:笠木靖之)
―描き上がった後の感想は?
描いている最中は、足場があったので、足場を取った後に絵を見た時は、感無量の想いでした。時間がけっこう、いっぱいいっぱいでニスを塗れなかったので、今度はニスを塗りに来たいです。
制作中の様子(撮影:笠木靖之)
―作品を仕上げた後、「車が突っ込んできそう」だと思いましたか?
見てくださった方がそうおっしゃっていて、「なるほど!」と思いましたが、言われるまでは思いつきませんでした。
―今後の制作についての思いを聞かせて下さい
ただ「面白い」と言うだけの見ただけで終わってしまうものではなくて、「街の隙間」のように、作品に自分なりに考えた意味をこめて行きたいです。
―最後に、絵の穴はどこに続いているのでしょうか?
永遠です。
取材を終えて
リアルでただ面白いだけではなくて、絵には黄金町の経緯が込められていると分かった。
今回の取材途中に、実は「街の隙間」以外にも何ヶ所か壁に描かれている作品があると教えていただけた。
これらの絵が黄金町の何処かに描かれている!
「街の隙間」とこれらの作品を探しながら、黄金町を訪れてみてはいかがでしょうか?
―終わり―
尚、「隙間」シリーズは、吉野さんのホームページで見ることが出来る。
「隙間」シリーズ
yoshinomomo.com/wp/?cat=17
こたろじさん
2014年09月20日 10時06分
なくなって残念だ〜
majyuさん
2014年01月08日 05時25分
とてもユニークで斬新なアートに心惹かれました。JR桜木町の新しい改札とコラボできるような、今はなき東横線桜木町のガード下にもぜひお願いしたいですね。
Theoさん
2014年01月07日 23時56分
いやー!吉野もも さん 凄い新星アーチィスとだあ!その感性や良し!いや知らなかったのは自分だけだっただろう!今にもっと大きくなるアーチィストだと思う。吉野さんも良いが、目利きの よこれぽ さんも いいね!