新横浜のコンビニ脇にポツンとある「蛇骨神社」の歴史に迫る!
ココがキニナル!
新横浜のファミリーマート脇にポツンとある小さな神社。蛇骨神社と言うらしいが掲示板に由来や拝殿の新築が云々書かれている。この神社の由来や今後について調べてほしい(mirrorさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
一度はなくなった神社だが、地元有志によって13年前に再建された神社。由来は諸説あるがヘビを葬った塚に建てられた神社との説が最も説得力がある
ライター:田中 大輔
再興された蛇骨神社
今から13年前の2001(平成13)年、Tさんをはじめとする地元の有志が「蛇骨神社再建委員会」を組織した。現在、お社が建っている土地をメンバーの家族が購入したのがきっかけだ。Tさんたちは、地域のためにと蛇骨神社の再建を決意した。
お社の脇に建てられている碑に「蛇幸都神社」と彫られているのは、同じ読みで蛇の骨よりも縁起の良い字を当てたからだそうだ。
より験のいい字を当てられ、今ではこう書く
13年の月日の中で小さな神社は地域の人に親しまれるようになり、今ではお参りに訪れる人も少なくないという。毎年9月ごろには例大祭が開かれ、篠原八幡大神の神主さんが祝詞(のりと)を上げている。
地元の人が多く集まる例大祭では、お神輿も繰り出される
奈良の東大寺二月堂の近くにも「蛇骨」と名のつく神社があるそうで、Tさんは関連を調べに行ったそうだ。
残念ながら調査は上手くいかなかったが、当地でネパール由来という仏像を購入し、これを蛇骨神社の神像としている。仏像の持つ琵琶の先が蛇の頭となっていることに、運命めいたものを感じたとTさんは話してくれた。
像は神社そばの倉庫に安置されている
一度はついえた神社の歴史が、13年前に心ある有志の手で甦った。それが蛇骨神社の歴史というわけである。
果たしてその名の由来は
さて、気になるのはその特徴ある名前だ。「蛇骨」と呼ばれるようになった由来には、いくつかの説がある。
ひとつは、琵琶法師が悪さをする大蛇を封印した場所という伝承で、地域の古老から聞いた話として神社前の掲示板に張られている。
神社脇の掲示板。琵琶法師と大蛇にまつわる話も
もう一つは、より現実味を感じる「隣の篠原村の蛇袋と呼ばれた場所で殺した蛇を埋め、祠を建てて供養した」という説だ。この説は、『新編武蔵風土記稿』にも載っている相当古くから伝わる話。「蛇袋」という地名は現在でも字として残っているし、『新編武蔵風土記稿』にも載っている地名なので実際にあった場所であることは疑いようがない。
なお、『新編武蔵風土記稿』には、神社が今の場所にできた由来について、岸根村の開闢(=かいびゃく、切り開くこと)の際、空に向けて弓を放ち落ちたところを村境とすると決め、その矢が落ちた場所神社を建てたのが始まりという話も載っている。
今となっては、正確なことを知るのは難しいが、Tさんは「ヘビの骨を踏むと、足の裏から体の中に入って心臓に達して死んでしまうと信じられていた」と話し、そのため「ヘビの死骸を集めて葬り、祠を建てたのが始まりじゃないか」と続ける。
ヘビの骨を埋めたから「蛇骨神社」になったのだろうか
この不思議な神社について、もうひとつ面白い話がある。実は、そもそもの御祭神がなんだったのか、今では誰も知らないのだそうだ。
御祭神が分からない神社というのも妙な話ではあるが、それこそが民間信仰色の強いお社だったことを象徴しているのかもしれない。
お社にはお札が。今でも民間信仰の色が失われていないことが再建の経緯からも分かる
しかし、かつては杓子(しゃくし)、つまりしゃもじが祀られていたことがあるそうだ。社宮司社と呼ばれる神社でよくある風習で、社宮司(しゃぐうじ)などを“しゃくし”ともじったことに由来する信仰だという。
この蛇骨神社は「蛇苦止明神」とも呼ばれていたとのことで、もともとは社宮司社だった可能性も感じるわけだ。
社宮司は、石神(しゃくじ、しゃくじん など)が元とも言われているので、総合して考えると石に対する信仰が根底にはあるのかもしれない。
直接の関係はないが、神社には「うろこ石」と呼ばれる巨石も
また、社宮司の祠の下には測量で使われた縄が埋められている、という伝承が多い。もし、かつての一本杉の塚に縄が埋められているとすれば、これをヘビに見立てたという考えも頭をよぎらないではない。
江戸時代にはすでに「蛇骨神社」と呼ばれていたくらいだから、それ以上前のことなど知る由もない。ハッキリと分かっていることの方が少ないとも言えるが、だからこそいろいろと想像を掻き立ててくれる神社には間違いないようだ。
取材を終えて
Tさんに神社の今後について聞いてみると、「もうひとつお社を建てようと思ってます」という答えが返ってきた。
現在あるものの裏側に今よりも大きめのお社を建てる計画があるそうで、そう遠くない将来に具体的に動き始めるつもりなのだそうだ。
一度は姿を消し再び建てられたお社は、さながら神出鬼没なヘビのように現代に甦った。
さらに、脱皮をして成長するかのように、新しいお社が建つことで規模を増していくことになる。
それでも、まだまだ謎の多い蛇骨神社。
あの小さな神社には、想像をぐんぐんと膨らませるだけの不思議が詰まっている。
そう、まるでヘビという生き物そのもののように。
―終わり―
カニさん
2014年05月22日 18時35分
神社に仏像?
mirrorさん
2014年05月22日 12時23分
気になるの調査、ありがとうございます。由来は不明だけど、過去にも存在し、真面目に復興しようとしている方がいらっしゃるのですね。