一般人が立ち入り禁止エリアにある瑞穂ふ頭の風車「ハマウィング」について教えて!
ココがキニナル!
横浜港の海上にそびえ立つ風力発電用の風車が気になります。(浅田真央子さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
瑞穂ふ頭にある風車は通称「ハマウィング」。再生可能エネルギーのシンボル的な役割を担い、2007(平成19)年から稼働している。
ライター:松崎 辰彦
“脱原発”は今後の課題
横浜市には全部署を挙げて取り組んでいる「地球温暖化対策実行計画」があり、ハマウィングもそうした動きの一環である。化石燃料を用いることのない再生可能エネルギーは、二酸化炭素(CO2)を排出することがなく、クリーンな発電として今後いよいよ研究開発が期待される。
そして東日本大震災を経験した私たちの中には、風力、太陽光、バイオマスといった自然エネルギーに“脱原発”の可能性を期待する人もいるが、横浜市当局としては、当面考えていないようだ。
今なお爪痕残る東日本大震災(画像:岩手県釜石市)
「横浜市は地球温暖化対策実行計画に基づいて、2020年までに一定程度の二酸化炭素(CO2)削減を実現しようと努力しています。自立・分散型の多様なエネルギー源は、災害時に電気の確保にも役立ち、自然災害に強く安心安全であると考えます」
「しかしながら現時点では、脱原発というテーマを掲げているわけではありません。そうしたエネルギー政策は、基本的には国が判断していくべきものと考えていますが、私たちはエネルギーの大量消費地として、市民生活や事業活動が原発や化石燃料に過度に依存しないようにするため、低炭素型のまちづくりを進めていくことが必要であると思います」と木村さん。
臨港パークにある啓発表示盤(画像提供:横浜市環境創造局)
ハマウィングが建設されたのは震災前であり、原発の危険性が切迫感をもって論じられる以前のことだった。市民の中には、脱原発の期待をこめて風車の動きを見つめる人も多いだろうが、そのあたりはまだ今後の課題のようである。
見学会を開催してアピールしている
「見学は一応最少人数20名から随時受け付けています。けれど、それ以下の人数ではお断りということではないので、ご相談いただければ幸いです」
ハマウィングの最大の使命は横浜の再生可能エネルギーへの取組みをアピールすること。それでは市民はどれだけこの風車に気づいているだろうか?
「実は今年になって市民の皆さん1000人にアンケートを行ったんです。それによると、ハマウィングが横浜の風力発電所であることを知っていた人は180人で全体の18%でした。そもそもハマウィングの存在を知っていた人は577人で全体の約58%、残り約42%の人はご存じなかったことがわかりました。この数字が、今後の一つの指標になるかと思います」
取材時は内部もご案内いただいた(内部は撮影禁止)
見学会の最中、ときに面食らうような質問もあるらしい。
「あるとき、一人の女性から『風車は風がないときでも、稼働しているように見せるためにブレード(羽根)を風の力ではなく電気を流して回転させているという噂がありますが、本当ですか?』と聞かれたことがあります。これは一種の都市伝説みたいなものですが(苦笑)そういうことは絶対にありません」
今後、一層の啓蒙活動が必要なようである。
ハマウィングの見学について(画像提供:横浜市環境創造局)
風力発電の電気には「環境価値」がある
幸いなことに、これまではローターが折れて落ちるといった大きなトラブルはなかったとのこと。ただ雷が落ちたことは数回あるという。
「もちろん雷の電気を逃がす装置もついていますが、軽微な損傷を受けました」と、木村さん。
また発電機部分が壊れて、1ヶ月間発電ができなかったこともあったらしい。
最近キニナルのは地震である。地震のときに運行が自動でストップするような機能はとくにないというが、東日本大震災のときには機械を停止して、被害がないことを確かめ、48時間後に運転を再開させたということである。
近くにある電気設備
「風車のタワー部分や基礎部分は、建築基準法に基づいて構造を確認しており、大きな地震や台風でも倒れることはありません。
上空の風速が毎秒4メートルから発電を開始しますが、毎秒25メートル以上になると安全のために自動的に羽根の動きをストップさせる仕組みになっています」
ローターは現場でなくても、市役所の中から遠隔で操作できるとの説明であった。
ブレード据付工事。機種はデンマークのヴェスタス社製(画像提供:横浜市環境創造局)
「風力発電のような再生可能エネルギーで作った電力は、物理的エネルギーとしての価値のほかに、二酸化炭素(CO2)を出さないという『環境価値』も付帯しています。そうした価値の理解の浸透を目指して、横浜市では各地に太陽光発電などの機器を設置して、市民の方々の目に触れるように努力しています」
はまれぽ記事「 JR桜木町駅前に1つだけある風車って、一体なんなの?」でも紹介したように、横浜市内には相当数の発電用風車や太陽光パネルが啓発の意味をこめて設置されている。
そうしたPRの期待を背負った瑞穂ふ頭の巨大風車だが、今後、さらに新しい巨大風車を建てるということはないのだろうか。
「風車の技術も進歩しています。今までの機種よりももっと風を感じ、風速毎秒2~3メートルでも発電できるような機種ができたら、さらに建設するかもしれません。しかし当面は、そのような具体的な計画はありません」
再生可能エネルギーの中でも、美しい立ち姿や、回転する羽根の優美さでシンボル的な役割を担うことが多い風力発電。白い巨体は横浜の青い海によく映えている。
取材を終えて
今回は一般の方が入れないエリアにも取材ということで立ち入らせていただいた。大きな風車は、やはり迫力があった。
東日本大震災以降、再生可能エネルギーへの期待が一段と高くなっている。脱原発はひとまずおいて、という説明ではあったが、原発の再稼働の是非が激しい議論を引き起こす昨今、風力や太陽光からエネルギーを採る技術は注目を浴びている。
風力発電は中国やドイツなど、諸外国の方がより進んでいるとのこと。今後日本も負けないよう再生可能エネルギーの研究を進め、より安全で安定したエネルギー供給が実現できるよう、関係者の努力を期待したい。
横浜の風車「ハマウィング」に多くの関心が寄せられることを望みたい。
―終わり―
取材協力
横浜市環境創造局
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/
ひろくんさん
2014年12月22日 10時04分
タワーの高さが78mで、ローターの直径が80mで、ブレードが一番上に到達したときの高さが118m?単なる誤字だと思いますが、キニナりました
セカさん
2014年12月11日 08時44分
当初から地元ではハコモノと揶揄されていたあの風車が売電と協賛金で黒字、税金投入がないというのは耳にしている話とずいぶん違っただけに色々な意味で驚いた。
ホトリコさん
2014年12月10日 12時31分
やはり原発は根っこが兵器開発にあることが完全に否定できないから、日本に関する初めてはアメリカ軍の核兵器に対するイメージチェンジからきていますし、日本に無い燃料を使う点では火力発電と同じだし、ゴミは地方へが前提なのも非常に問題ありですよね。どちらが理想ばかり追いかけているのかは、そう遠くない近い未来に決断しなければならない問題ですよね。