金沢文庫の重要文化財に空調の不具合続きでカビが生えたって本当?
ココがキニナル!
金沢文庫の書物が空調の不具合続きでカビが発生。「宋版一切経」に白カビが発生してしまった件!空調設備工事に2億円かかるそうだが県教委が見送りをし続けてきたが今後が気になる(mapaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
国宝や貴重な歴史的資料を数多く所蔵する金沢文庫は、平成27年度に空調の改修工事予算6000万円を県へ申請。劣化した空調を今年中には取り換えられる
ライター:山崎 島
金沢文庫へ
次へ向かったのは県立金沢文庫。現場が実際どのような場所で、どのような対応をしたのか具体的に聞きに行った!
で、降り立った京急金沢文庫駅
海が咲き始めた麗らかな日、すっごい咳してる編集部・山岸と歩く
ごめんくださいまし
お話をお伺いした副文庫長の佐藤さん(右)と学芸課長の西岡さん
まさに現場の人であるお二人に詳しいこと聞いていきましょう。まずはカビの被害にあった『宋版一切経』ってどんなものか詳しく教えてください。
『宋版一切経』は、仏教に関わる全ての書物を集め、宋の時代に印刷された出版物。宋の時代は木版による出版が盛んに行われていたそう。大きなお寺は刷られたものを大体持っているそうで、日本にある全ての「宋版一切経」は重要文化財に指定されている。全てそろうと7000点にもなるとのこと。なるほど、金沢文庫だけにしかないものではないんですね。
「『宋版一切経』はもともと印刷された紙を張り合わせ、裏に別の紙を張って補強し、折りたたんで一冊の蛇腹のような本にまとめています」
こんなかんじで
「金沢文庫にある『宋版一切経』は北条実時が、称名寺の僧に命じて中国から取り寄せた貴重な資料です。今回カビが見られたカバーの役割をしている帙(ちつ)は、江戸時代に日本橋の経師屋(きょうじや/表装をする店)で貼り直されたものです。紺色をしていますので、白いカビがはっきりと見られました」
これは1990(平成2)年にできた収蔵庫の様子。綺麗!!
おーい!!
カビを発見した経緯についても話を伺う。
学芸員が収蔵庫内の机を動かしている際、机の端に白いカビが発生しているのを発見。慌てて収蔵庫内を確認したところ、その机のすぐそばに置かれていた『宋版一切経』のみにカビが発生していた。
「2014(平成26)年6月22日に外部研究者による原本閲覧がありましたが、その際には異常がなく、その後に発生していたことが考えられます。原因は教育委員会も言っていた通り、空調設備の老朽化による能力不足と、箱をきっちり積んでいたために、空気が澱んでいたことが挙げられます」とのこと。
現在はサーキュレーターで空気の対流を起こし、カビの被害を防いでいる。
収蔵庫入口
カビを発見してからの具体的な動きとしては、カビを殺す特殊なガスを使った燻蒸(くんじょう)を行い、学芸員さんが二人一組で、刷毛を使って1つずつ丁寧にカビの後を落としていった。
「1日3箱作業するのがやっとで、2ヶ月半かけてようやく作業の終わりが見えてきました」と振り返られた。現在は様子を見ながら、何かあったらすぐに対応できるようにしているそう。県への予算が通れば空調の主要な部分は改善される。
建物の裏手にある
空調「チラー」
山崎の一歳年下
24歳が館内全ての空調をまかなっている
「日ごろから気をつけていたとは言え、重要文化財にカビを生やしてしまったことの重さを、全職員が受け止めています。今後こういったことが一切ないようにしていきたいです」とお二人はおっしゃっていた。迅速な対応をしてくださいますよう、よろしくお願い致します。
取材を終えて
古いものを維持していくって、作るよりも難しいなあと、つくづく感じた。重要文化財など、古いけども未来に残していきたいモノモノの価値の優先順位が、現在の日本の社会の中では、まだあやふやなのでは、と感じるところもあったので、早く定まってほしいです。
―終わり―
jellyfishさん
2015年02月27日 16時42分
ちがうんだな。問題は空調でも管理でもないんだな..。電動の空調はもちろん無く、一時は管理もされないまま放置されても800年間カビが生えなかった宋の時代の本に、なぜ今カビが生えたか?それはバブル時代、先人の自然空調の建造物の知恵をないがしろにして、電源必須の空調に頼った建造物を建てたのが最大の過ち。