横浜港のシンボル「横浜ベイブリッジ」沖で遺骨を撒く「海洋散骨式」に密着レポート!
ココがキニナル!
散骨の際にベイブリッジの真下に遺灰をまいてくれるプランがあります。散骨は外洋や山奥でするものと思っていた。本当にベイブリッジ下での散骨は行われているの?(はまっこ61号さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
海洋散骨は港から1.85km以上離れた場所で可能。「ベイブリッジの下」での散骨はできないが、ベイブリッジを望む場所で多く行われている。
ライター:大野 ルミコ
それぞれの想いをのせて――散骨式
遺族との会話も進む中、船は散骨ポイントに到着。遺骨を海に還す時がやってきた。
遺骨と一緒に海へと捧げる、花やワインなどの準備も万端
遺骨はパウダー状に加工されているため、そのままの状態で散骨しようとすると風に吹かれて予期せぬ方向へ飛ばされてしまう可能性も・・・。
そのため、遺骨は遺族からの最後のメッセージがしたためられた水溶性の袋に小分けされ、そのまま海へと放たれる。
遺骨の入った袋を海へと放つ
抱きかかえるように海へと送り出す遺族の姿に心を打たれる
故人がお好きだったのだろうか。遺骨と共にワインも捧げられた
遺族全員で遺骨を放ったポイントに向け献花
遺骨や花を海に放った後、船は散骨ポイントをぐるっと旋回し、故人との別れを告げる汽笛を鳴らす。
汽笛とともに祈りをささげる遺族の姿、散骨ポイントを知らせるように漂う花びら――遺族の哀しみ、寂しさが伝わってくるようで、心が締め付けられる。
最後の別れを惜しむように散骨ポイントの周りを旋回
花びらが散骨ポイントを包み込むように広がっていく
天気にも恵まれ、波も比較的穏やかだったこともあり、捧げた花びらがいつまでも散骨ポイントを囲むように漂い、まるで遺族にその場所を教えてくれているよう。海の神秘と故人、遺族それぞれの想いが交錯する不思議な光景に、胸を締め付けられる。
海洋散骨ってすごく感動的――。筆者の胸にそんな気持ちが浮かんだ瞬間だ。
供養は一人ひとりの心の中で
散骨式を終えた船は、出港地でもある「ぷかりさん橋」への帰路を急ぐ。
速度を上げ、みなとみらいを目指す
帰りの船内では、今井さんは遺族との献杯を交えながら、今後の「ご供養」について語る。海洋散骨には「お墓」のように「ここに行けば(故人に)会える」という場所がないため、今後、どのように故人を弔ったらよいのかと悩む遺族もいらっしゃるのだという。
今後、故人に会いたくなった時はどうすればいいのだろう・・・
今井さんは「祈りの対象は海でもお墓でもありません」と話す。
「お墓や遺骨が目の前になくても、皆さんが日々、心の中で故人のことを思い出してあげることが本当の供養ではないでしょうか」
筆者も亡き家族や友人を思い出して、ちょっぴりセンチメンタルに
遺族の哀しみや笑顔を織り交ぜながら、船は無事に「ぷかりさん橋」に到着。
目の前に迫るインターコンチネンタルホテルを見ながら、今井さんは「あのホテルの上部には女神像があり、みなさんが今日、散骨をしていた場所を見守ってくださっています。それを信じてください」と、ご遺族に最後のメッセージを送っていた。
その言葉に、きっと遺族の方も「横浜を散骨の場所に選んでよかった」と思ったのではないだろうか。
上部の女神像が散骨ポイントをいつまでも見守っている
出港から約1時間。とても心に残る、濃密な時間だったように感じられた。
珊瑚礁で海洋散骨をお願いする場合、今回のように遺族が同乗し、ベイブリッジ沖で自らの手で散骨を行う「チャーター散骨」で18万円(乗船10名まで)。そのほか、遺骨を預けて遺族の代わりに散骨する「委託散骨」の場合は5万円、複数の遺族が合同でチャーターした船で散骨を行う「合同散骨」が9万8千円と、プランも金額もさまざま(金額はすべて税抜き)。
委託散骨の場合も、どの地点に遺骨を撒いたか、その場所を記した証明書を必ず作成し、きちんと額に入れて後日遺族にお届けするという。――遺族の方からの感謝のお手紙が絶えないというのも納得の心遣いだ。
散骨後、ご遺族の姿が見えなくなるまで手を振り続ける今井さんの姿に感動
最後に、今井さんに(失礼とは思いつつ・・・)「失敗しない散骨委託会社の選び方」についてお話を伺った。
「まずは、問い合わせの際に、気になること、不安なことはどんな細かいことでも質問をぶつけてみること。その際に言いよどんだり、すぐに答えられず『確認します』などというような業者はちょっと・・・と思ったほうがいい。あとは、日本海洋散骨協会のホームページを利用したり、葬儀会社の方に紹介をしてもらったりするのも一つの方法かもしれません」
どんな質問にもイヤな顔一つせずお答えいただいた
今井さん、本当にありがとうございました。
今、利用者の増加に伴って、散骨を請け負う会社は急激に増えている。
しかし、残念ながら、中にはちょっと危険な施行を行う業者があるとも言われている。「価格を抑えたい」「大勢で楽しく見送りたい」――遺族の想いはざまざまだと思うが、やはり、大切な人を送る、大切な時間。しっかり選択して心残りのないようにしたいものだ。
取材を終えて
実は筆者には子どもがいない。自分が死んだ後、お墓を守ってくれる人もいない。
そういった事情もあって、海洋散骨には以前から強い興味を持っていた。
しかし、どうやって業者を選ぶのか。どんなセレモニーになるのか。そして散骨を選択することによって、かえって遺族に迷惑がかかるのではないか――といった不安も感じていた。
そういった疑問や不安が、今回の取材で払拭されたように思う。
ただ・・・
「ここがいい!」と考えていたポイントが、思いっきりルール違反の場所のようなので(陸からの距離が近すぎ)、それだけは考え直さないと・・・。
―終わり―
取材協力
株式会社シー・ドリーム
海洋散骨プロデュース珊瑚礁
住所/神奈川県座間市南栗原6-31-71-4
電話/0120-44-3540
日本海洋散骨協会
www.kaiyousou.org/
bubukaさん
2018年05月09日 09時27分
柳ジョージの唄で亡骸を小さな舟に乗せて沖に流してくれ という歌詞があって憧れていた。少子化だからこれもアリだなと。インターコンチのイメージが落ちるなんてことも全然ないし。
まゆ2さん
2015年06月11日 19時57分
嫌なことを知ってしまった。インターコンチネンタルは休養によく使ってたホテル…この記事を読んでインターコンチネンタルホテルはもう使いたくなくなった。お葬式ホテルのイメージがついた。
角さん
2015年06月10日 00時28分
良かった~。私みたいに死んだ後お墓を参ってくれる人もいないという理由で散骨を選ぶ人が他にもいることに安堵しました。後は、散骨様の資金を残して死ぬことを考えます。