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横浜ランドマークタワー向かいの横浜銀行本店にある謎の巨大オブジェ「水時計」が設置された経緯とは?

ココがキニナル!

ランドマークの前にある横浜銀行の水時計がキニナル。どうやって時間をみるのか、メンテナンスとかどうしているか調査を!(gekiatsusibosanさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

水時計は左右の球状・円盤状メモリで確認。見ているとつい時間を忘れてしまう。メンテナンスは専門業者によって水の交換と水量調節が行われる

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ライター:人見 静馬

ランドマークタワー(つづき)

しかし、この意味ありげな形状からして何か読む方法があるような気はする。ただ砂時計のように滴るだけの形ではないからである。時折、下のフラスコから急に水が吸い上げられたりもするのだ。
 


複雑な機構。理科の実験を思い出す
 

吸い上げたり滴ったり

 
単純に水の巡回する時間が重要ならば、ここまで複雑な機構は必要ないだろう。
と、そこで広報の方に1枚のプレートを指し示される。
 


なるほど※クリックして拡大※

 
フランスのベルナール・ジトン教授という物理学者が設計しているだけあって、物理的な反応を利用して水が巡回しているらしい。

プレートに書かれている「サイフォンの作用」というのは要するに、灯油などを吸い上げる時に使う赤い蛇腹ポンプのアレである。隙間のない管であれば、出発地点より高い地点を通らせて液体を移動させることが可能なのである。

ここで使われている機械的動力は、下部フラスコから上部タンクに水を戻すポンプのみだという。単純な原理で5リットルもの水を巡回させていたのだ。すっかり全てが機械の力で動いていると思い込んでいた筆者は実に驚いた。

さらに説明によれば、左の球が「時」で右の円盤が「分」らしい。円盤1枚につき2分とのことなので・・・
 


これは午後4時12分

 
説明されてみれば実に単純な話である。が、その単純を実現するために裏で複雑な計算がなされているというあたり、スイスの職人が作る時計を彷彿とさせる。
 


上部を覆うタンクから
 

左のフラスコと
 

右のフラスコに流れ込み

 
時間の管と分の管の水量が干渉しあって時間を刻んでいるとのこと。ついついボウっと動きを眺めてしまう。
 


小刻みに水が移動しているのが確認できると思う(Youtubeにリンクしています)

 
取材を忘れて見入ること数十分、気づけば時間は午後5時ちょうどを迎えようとしていた。そのタイミング、是非とも確認したいのが人情というものである。

が、筆者はあまりに惚けてしまっていたため、その瞬間を見逃してしまった。なんとも罪作りな時計である。

ちなみにではあるが、現在この時計は振り子が破損してしまっている。もしかしたら、それで時計が早まるか遅れるかして見逃した、のかもしれない。

あまり大きなズレは感じなかったが。
 


振り子は止まっている

 
本来であれば、この応急処置された先にも丸型のフラスコがぶら下がっており、揺れる度に左側のフラスコ内でスプーンが動いているはずであった。
 


中にあるスプーンを確認できるだろうか?

 
現在振り子の修理を業者に依頼しているという。さらに年4回、専門業者によるメンテナンスで水交換と水量の調節を行っているそうなので、完全な作動をしている姿を見られる日はそう遠くないだろう。

近場の方々は、お仕事のお昼休みにでも見学してみてはいかがだろうか。お昼休みの時間をオーバーすること請け合いである。



取材を終えて



実に見ごたえのあるオブジェだった。故障箇所があって完全ではないものの、目を楽しませてくれるという点では完全に機能していたように思う。

このベルナール・ジトン教授がデザインした水時計は、アメリカのインディアナポリス博物館やイギリスのマルバーン・シアターなど世界中にあるらしいが、日本にも名古屋市の矢場町駅など10数個存在しているという。
 


アメリカ合衆国インディアナ州最大の都市、インディアナポリス(フリー画像より)

 
世界各地にある物は別として、日本に設置されている物は基本的には同じ時間を刻んでいるはずである。それらは、寸分たがわず同じ時間を刻んでいるのだろう か――実際には、多少の差は出ていると思う。だが、時計として機能しているのならば、故障でもない限りそう大きくズレはしないだろう。

そうすると、日本全国で水は大体同じ動きをしているということになる。このように原始的な作用で大きなズレもなく足並みそろえて動くということに、なんだか不思議な感銘を受ける。

ならば、筆者が時計を眺めて惚けてしまっている時に、日本のどこかで誰かが同じように惚けていた可能性もある。
 


最初に時計を考えたのは、一体誰なのだろうか(フリー画像より)

 
同じ時間を共有するために存在する時計は、いうまでもなく人類の発明の中でもトップクラスの大発明である。が、そこに感情の共有まで持ち込んだこれは、実はとても意義深いものなのではないだろうか。

この時計を見ながらそんなことを考えていて、つい時間を忘れてしまった。


―終わり―
 

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  • これ20年前くらいに平塚でも見たことがある!

  • いまの時代、貴重なオブジェだと思います。昔は伊勢佐木町に人形が動く時計があったり、ポルタ前に水車があったり、人形が動く時計など、いろいろ目をなごませてくれるオブジェがあったものですが、バブル経済崩壊後に、どんどんなくたっていったと思います。エンジニア、アーティスト、ものづくりの原点でもあるので、匠の意匠を後世に伝える意味でも、遊び心や心の余裕を企業も個人ももってほしいと思います。

  • 記事を見て実際に見に行ってみましたが、大きくてびっくりしました。ライターさんのいうとおり時間を忘れて見入ってしまいました・・・

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