廃線となった川崎市営バスの激レア路線「川55系統」とは?
ココがキニナル!
川崎市営バスの系統名:[川55]川崎駅行のバスは1週間に1本(休日のみ)しか運行されていないようです。いったい何のためにあって、どんな人が利用しているのでしょう?(河童丸さん)
はまれぽ調査結果!
川崎市バス「川55系統」は1980年から江川町―川崎駅東口を走っていたが、西口の発展などの理由で2015年に廃線となった。
ライター:福原 麻実
「川55系統」ルートはどんな場所なのだろう?
「かつて『川55系統』の走っていたルートを歩いてみます」
そう言った筆者に高木さんは「それはそれは・・・」と失笑気味。
歩くにあたり、注意事項も教えていただき早速現地に行ってみる。
いってきます(提供:川崎市交通局)
高木さんから頂いたルートマップ。赤丸がスタート地点の江川町、マップ右側が川崎駅
緑ラインが「川55系統」と「川83系統」どちらも通る道。南幸町二丁目で西口に向かう「川83系統」(青ライン)と東口に向かう「川55系統」(ピンクライン)でルートが変わる。
まずは「江川町」まで、現在走っている「川83系統」で移動。
筆者が川崎駅に到着した午前11時台でも1時間に4本バスがある。
反射で見えにくいが
途中でJR南武線の線路を越え、JR横須賀線新川崎駅を通り、終点の江川町へ。30分弱で到着した。歩くとどれくらいかかるのだろう。
「川55系統」のルート、ここから辿ります!
うすうすお気づきの方もいらっしゃると思うが、この「徒歩でルートを辿る」ことに、それほど意味はない。この7kmを越える路線のほとんどが、「川83系統」と同じ道だからだ。
歩くと言い出した筆者に、編集部・広瀬はどう思っただろう・・・。
そんなことを思いながら歩いて3つ目のバス停「南加瀬交番前」まで来たが、高木さんからの「注意事項」である「どこで曲がるかが分かりにくいので、バスが曲がる場所をしっかり見ておいてください」という言葉を思い出して焦る筆者。
そうだった、その曲がる道を確認するためにバスでここまで来たのに、さっぱり分からない。「狭い道だった」としか思い出せないが、該当する道は多い。まさか開始10分で迷うわけにはいかないので、交番で尋ねてなんとか歩き続ける。
曲がってすぐ、次のバスに追い抜かれた
狭い上にカーブしている道を歩き、しばらく歩くと、
小倉神社だ!
何か祈願したいところだが、願い事が浮かばなかったのでそのまま歩くと、広い道路に出た。横須賀線と平行している道路のようだ。
「小倉陸橋」バス停。複数のバス路線が通っているようだ
この道路沿いの3停留所を歩いている時が、ルートマップで見るよりも長く感じられていちばん辛かった・・・。
そしてようやく10個目の停留所である・・・
新川崎駅だ!
ちょっと元気が出たので、「東小倉」まで早足で歩き・・・
「東小倉」と「塚越」の間で、南武線を越えて
カーブしている道を通り・・・
正教寺(17個目のバス停あたり)
ここからはかなり駅に近くなる。「幸警察署前」を過ぎ、ついに「南幸町二丁目」に着く。
今は臨港バスのみの停留所になっている
「川55系統」の痕跡が残る「南幸町」バス停。7kmのうち、ここからのわずか7区間だけが、今回歩いた意味のある区間と言えよう・・・。
ピンクラインの区間
そしてついに、到着したのが「いさご通り」。
全長約250m
ここと次の「砂子(いさご)二丁目」は、「川55系統」だけが通っていた場所である。言い換えると、駅に近いこの2停留所と川崎駅東口以外は、ほぼ「川83系統」と同じなので、「川55系統」が廃線した影響はあまりない。
この通りが、旧東海道だと、この取材で知った
ここで30人ほどに聞いてまわったのだが、「川55系統」を利用していた方には出会えなかった。バス停の所在についても、「ここにバス停ってありましたっけ?」とおっしゃる人がいたほどの認知度だ。利用しなければ気にならないものかもしれない。
バス停の位置を探していたら、スーツ姿の男性(残念ながら写真NG)が「確かこのあたり」だと教えてくださった。廃線をどう思うか尋ねてみたところ「駅からここまで歩けるし、逆方面に別のバスで行けるのなら、廃止も仕方ないと思います。車内アナウンスなどで広告料を稼いでいても、結局は税金が投入されているはずですし」と話してくださった。
このあたりに「いさご通り」バス停があったという
取材を終えて
長らく走り続けていた「川55系統」。ルート上を歩き、周辺の方にインタビューをした筆者は「不可欠な路線だった」とは思えなかった。しかし廃線が「歴史的瞬間」になる路線ではあったようで、ラストランでは50人ほどがカメラや録音機材を持って乗車したのだという。
はまれぽ上に、わずかでも情報が残れば良いな、と思った。
もしこの路線に乗った方がいらっしゃれば、情報をお寄せください。
―終わり―
park ocyaryouさん
2016年09月28日 18時30分
川崎市高齢者特別乗車証明書をもっています。私の住む麻生区は川崎市の最北に位置し、市営バスの路線は殆どありません、あっても、日に1~2便で、日常生活の足としては使えません。区役所からは10年程前から毎年送ってきますが、利用したのは記憶で2回です。貴重な情報でしたので、何か無理に川崎駅に用事を作り、往は川崎市営で、復は横浜市営で挑戦してみたいと思います。近所の人の中には川崎駅に行ったことがない人が何人もいます。新宿、渋谷のほうが、交通の便が良く早いからです。
まゆ。さん
2016年09月15日 22時28分
懐かしい!車を持たない学生時代は、川崎へ塾や遊びに行く際に、東小倉小学校バス停(当時は操車場入口)から、敢えてこの路線を使っていました。もっと以前はこの路線、終点は全て川崎駅東口でしたが、アゼリアなど開発の段階で西口行きに変更されたと記憶しています。開発後に東口着に戻るのを期待していたのに、西口のままでそれは不便でした。当時の西口はおにぎり屋さんくらいしかなく、連絡橋もボロボロで子供ながらに嫌でした。。今は西口が大きく開発されたのでむしろ良かったと思いますけどね(*´∇`*)
マッサンさん
2016年03月02日 00時48分
「免許維持路線」とは絶妙なネーミングである。お役所仕事が取り決めた臭いがプンプンとする。ところで、バスは決められた運行ルートしか走ってはいけない法律があるのだという。営業運行外であれば「回送」表示を出して走らねばならない。また、こっちのほうが近道だからとルートを変えると運転士はクビに。決められた運行ルートを走らねばアウトなのだ。厳しいのだ。