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かつて港北ニュータウンにあった「巨大迷路」とは?

ココがキニナル!

30年くらい前に港北ニュータウンにあった巨大迷路。あれはいったい何だったのか? 跡地は現在はどうなっているのかキニナル!(ハラオさん/カレー南蛮さん/hisideさん)

はまれぽ調査結果!

1987(昭和62)年10月から1991(平成3)年3月まで、港北ニュータウンPRの一環として期間限定で設置された。跡地は昭和大学横浜市北部病院になっている。

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ライター:平田 志帆

巨大迷路の考案者を直撃!



実はこの取材の半年ほど前、そもそもランズボローメイズとはなんだったのかをすでに調査していた。

“Landsborough Maze”をキーワードにインターネットで検索したところ、スチュワート・ランズボローさんというニュージーランド人が考案し、彼がプロデュースしたPuzzling Worldというアミューズメント施設が現地にあることが判明。オフィシャルサイトにメールアドレスが公開されていたので、ランズボローメイズの成り立ちやコンセプトについて、つたない英語で問い合わせてみた。

 

はまれぽ、ニュージーランドデビューを果たす

 
突然、日本から送りつけられてきた怪しい英語メールを読んでくれるだろうか?

不安に思っていると、なんと3日後には返信が! しかも・・・。

 

まさかの本人登場!

 
ランズボローさんはすでにリタイアしているが、Puzzling Worldのスタッフが筆者のメールを転送してくれたらしい。

先ほど紹介したオープニングセレモニーに写っていた人や日本各地のランズボローメイズの写真を提供してくれた人こそ、このランズボローさん。はまれぽのために写真を何枚も提供してくれた。

 

当時はこんな車もつくられたらしい(撮影場所不明。ランズボローさん提供)

 
ランズボローメイズは「心理学に基づき設計された世界初の迷路」だという。ポイントは、「所要時間」と「目的地の数」だ。

ランズボローさんによると「迷路の魅力は、脱出できたときの満足感です。通常、迷路の出口は1つですが、ランズボローメイズにはチェックポイントを4つ設置し、スタンプを押すシステムを導入しました。出口以外に目的地をつくることで、達成感を何度も味わえます。また、心理学的に考えると、人が迷うことを楽しめるのは30~60分程度。これ以上だとストレスを感じるため、この時間内でゴールできるように設計しました」とのこと。

確かに、スタンプを押して回った記憶がある。

 

「M」「A」「Z」「E」の4つのスタンプを集めてゴールする(提供:石見観光振興協議会)

 
さらに、立体的な構造にして途中で上から通路を俯瞰できるようにしたのも、ランズボローメイズが世界初である。

 

初期のランズボローメイズ。橋などはない(提供:ランズボローさん)


後ろに、全体を見渡せるやぐらのようなものが見える。写真は当時の松井さん

 
ランズボローさんは、横浜を含め20の巨大迷路を日本向けに設計したという。
ただ、日本国内の展開についてはノータッチで、「メイズプロダクツという会社のフクダユウジさんが行っていた」と教えてくれた。

1970年代半ばにニュージーランドを訪れたフクダさんはランズボローメイズを気に入り、日本向けに販売する契約を1983(昭和58)年に結んだそうだ。

 

設計した20の迷路が紹介されている。横浜は最下段の右から2番目(ランズボローさん提供)

 
まさか、考案者本人からこんな丁寧な回答をもらえるとは・・・。つくづく、はまれぽは皆さまの好意で成り立っていると実感する。
お礼のメールを送り、「メイズプロダクツのフクダユウジさん」探しを始めた。



ランズボローメイズを輸入した人物を探せ!



インターネットで「メイズプロダクツ」について検索したものの、ほとんどヒットしない。しかし、フクダユウジさんの息子と名乗る福田裕希(ふくだ・ゆうき)さんという方の書き込みを発見。和歌山県でお菓子の製造・販売する会社の代表を務めているらしい。

突然電話をするのもはばかられたので、手紙で取材を申し入れた。

 

返事が来ますように・・・

 
待つこと約1週間。ついに編集部の電話が鳴った。

やはりフクダユウジさんのご子息で、電話取材に応じていただけるという。さっそくお話を伺った。

フクダユウジさんの漢字表記は「福田宥地」で、残念ながら2010(平成22)年に他界。存命であれば、2016(平成28)年で73歳になっていたそうだ。

ランズボローメイズを日本に紹介した理由について、福田宥地さんはこう話していたという。
「日本人は迷うことがない。迷いながら進むのが人生のはずだ。迷いながらも自力でゴールにたどり着いた達成感は、その後の人生にもプラスになる」

 

迷ってこそ人生。深い言葉だ(提供:ランズボローさん

 
福田宥地さんは非常にパワフルな実業家だったと、福田裕希さんは話してくれた。

「父はじっとしていられない人で、あらゆるビジネスをしていました。たとえば、イタリアから生地を輸入してオーダーメイドのテイラー会社を立ち上げたと思ったら、てんぷら屋、うどん屋、ラーメン屋のフランチャイズ・・・。メイズプロダクツもそんな会社のひとつでした。でもブームになると面白みがなくなってしまうようで、メイズプロダクツも長くは続けなかったようです。でもアイディアはいつも天才的で、何をしてもヒットしていましたよ」

 

愛知県内のランズボローメイズのポスター。全国的なブームになった

 
福田裕希さんによると、ランズボローメイズの入場料は全国一律で500円だったという。ピーク時には、一日の入場者数が80万人に達したこともあったそうだ。
これだけの人数が日本各地で迷っていたとは・・・。

港北ニュータウンの開発を担当していた松井さんにランズボローメイズを紹介したのはNさんだったが、彼がメイズプロダクツの関係者だったかどうかは分からない。
これはもう、迷路入りである。



取材を終えて



軽い気持ちで始めた調査だったが、難航に難航を重ねて要した期間は10ヶ月。ミイラ取りがミイラになるように、迷路調査員が迷路で迷ってしまった。
でも不明点はいくつか残るものの、全体像は把握できたと思う。

ただのアミューズメント施設かと思っていたが、港北ニュータウンのPRが目的だったとは意外だった。

筆者はずっと港北ニュータウンが好きで、2年ほど前から暮らしている。
もしかしたら、約30年前にランズボローメイズ横浜を訪れた際の良いイメージが頭のどこかに残っていたのかもしれない。


―終わり―
 
取材協力

株式会社横浜都市みらい
http://www.ytmirai.co.jp/

LLPまちテラス 
〒231-0023
横浜市中区山下町1シルクセンター923 
TEL:045-323-9257

紀州の名菓 福菱(福田裕希さんが経営する菓子製造メーカー)
http://www.fukubishi.co.jp/

なつかしの国 石見
http://www.all-iwami.com/modules/guide/index.php?action=SpotView&spot_id=417#.WEeTben_rEV
 
Puzzling World(日本語サイトあり)
http://www.puzzlingworld.co.nz/japan

 

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  • 当時ゴールド会員証を持って子供と毎週のように通っていました。迷路の2階から建設中のセンター南駅が見えたことを覚えています。その後迷路が無くなり寂しく思っていましたが、10年ほど前、信州木曽のこだまの森にランズボローメイズが残っていると知り訪ねてみました。規模は小さいものの港北ニュータウンにあったのと同じ造りで感激しました。現在でも冬季以外は営業しているようです。

  • 当時、港北ニュータウンは建設中で、親戚や友人が来ても案内する場所がなく、この迷路を案内しました。何回も言った記憶があります。懐かし場所のレポートありがとうございました。迷路を抜け出た時には確かに達成感がありました。

  • タイトルは合っているのですが、記事の内容で「昭和大学横浜市北部病院」では無く「昭和大学横浜市記念病院」と記載されている箇所がある。名称未定時はそんな名前だったとかですか?

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