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ビール屋の厨房から世界王者へ! 東洋太平洋王者防衛戦に挑む大竹秀典選手に直撃インタビュー!

ココがキニナル!

横浜市内のシェフがボクシングをやっていて、世界チャンピオンを目指しているそう。どんな人?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

「横浜ビール」のレストランでシェフとして働くボクシング王者は2度目の世界挑戦へ向け、まずは7月19日の東洋太平洋王者初防衛戦に挑む

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ライター:はまれぽ編集部

支えてくれるみんなのため



大竹さんと横浜ビール・太田久士(おおた・ひさし)社長との出会いは6年前にさかのぼる。そのころの大竹さんは、所属する「金子ボクシングジム」がある東京・下北沢の飲食店でアルバイトをしながら厳しいトレーニングを重ねて日本王者を目指していた。

ところがジムの金子健太郎(かねこ・けんたろう)会長が「大竹が働く店、働く店が次々と閉店していった」と苦笑い交じりで振り返るように、決して恵まれた環境ではなかった。
 


当時を追懐する金子会長
 

そんな折、太田社長がたまたま大竹さんの試合を観戦した。試合後、食事をする機会があり、大竹さんと話をした太田社長はその実直な人柄に惹かれ、「ぜひうちで働いてほしいとスカウトしました」という。

当時は社内で「変な奴が入ってきた」、「ボクサーを入社させてどうするんですか」という反対もあったそうだが、太田社長は譲らなかった。
 


「みんな、大竹と働けば分かる」と反対意見を押しのけた
 

大竹さんが職場になじむのに時間はさほどかからなかった。横浜で働いた後に下北沢で練習。太田社長との出会いから約1年後、2012(平成24)年8月に大竹さんは念願の日本王者のタイトルを手にした。

横浜ビールでの仕事もこなし、ボクシングでも結果を残した大竹さんは「変な奴」から「みんなの誇り」になった。彼の実直さがそうさせたのだ。
 


決起大会には職場の仲間も仕事の手を止めて駆けつけた
 

金子会長は「ボクサーは強くなってボクサーとして稼げるまでアルバイト生活を送っている選手がほとんど。その職場でいい環境・いい仲間ができると選手は伸びる。横浜ビールの皆さんの協力に対し、感謝にたえない」と話す。

これに対して大竹さんは「太田社長はじめ、『帰ってくる場所』を作ってくれて、今まで支えてくれた人すべてに自分のボクシングで応えたい。みんなに喜んでほしい」と決意を新たにした。
 


自分のためではなく「支えてくれたみんなのため」に戦う大竹さん
 

決起大会では、太田社長はじめ、大竹さんの支援者約50人が集結。大竹さんがミット打ちを披露すると、世界レベルのスピードで繰り出されるパンチと華麗なステップに出席者の視線はくぎ付けとなった。

これが世界レベルのボクサー


決起大会の司会・FMヨコハマレポーター、穂積ユタカさんは悶絶

その後、決起大会のイベントの一環として、支援者を代表した太田社長から大竹さんへ、東洋太平洋王者のベルトを贈呈した。
 


ベルトを肩にかけ、支援者に囲まれる大竹さん
 



世界王者への道のりは?



大竹さんが世界王者となるには、7月19日の東洋太平洋王者初防衛戦の勝利が前提だ。そのうえで、WBA世界スーパーバンタム級王者の久保隼(くぼ・しゅん)選手、IBF世界スーパーバンタム級王者の小國以載(おぐに・ゆきのり)選手の両日本人がターゲットとなる。

だが、2人はいずれも9月に防衛戦を控えているため、「現実的な日程としては12月以降では」と金子会長。そこで大竹さんが世界王者に輝けば、36歳5ヶ月以上での初戴冠は、複数階級制覇を除けば日本人最高齢記録となる。
 


国内最高齢の世界王者初戴冠も視野に入れる
 

「大竹ほど自分を律し、気配りができて、人間として成熟しているボクサーはいない。日本一努力する男だし、きっちり仕事をしてリングを下りてくる日本一の職人。本人にとって2度目の世界戦は必ず勝てると信じている」と金子会長も期待を寄せた。

かねてから「大竹が世界王者になったら『大竹ラベル』のビールを作る」と公言していた太田社長は「もちろん、その約束は守る。彼が飲んでみたいビールを作るつもりだが、まずはケガなく無事に帰ってきてほしい」と親心をのぞかせた。
 


次は世界のベルトを!
 



取材を終えて



大竹さんは「モタモタしていられないんです」という言葉を口にした。その真意をたずねると、年齢的な問題ではないという。

「今まで支えてくれた人に早く喜んでほしい。そういう意味で、僕はモタモタしていられないんです」のだという。

「日本一の努力の人」に「頑張ってください」とは声をかけなかった。ただ「楽しみにしています」と伝えると、大竹さんは笑顔で「見ていてください」と力強く、そしてはっきり応えてくれた。
 


 

決起大会はわずか3時間足らずだが、同じ時間を共有できたことを誇りに思えるような「人間・大竹秀典」だった。


―終わり―
 

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