横浜市内の貨物駅を徹底調査!【前編】
ココがキニナル!
横浜に現存する「貨物駅」が気になる。安善、横浜羽沢、東高島、根岸、横浜本牧、本牧埠頭。普段は見たり乗ったりできません。どんな貨物が取り扱われ、どんな機関車や貨車が走っている?(横濱マリーさん)
はまれぽ調査結果!
前編は、一般人でも見られる外側をまわった様子を全6駅分お届け。後編では、うち1駅を内部から取材し、取扱貨物なども調査する。
ライター:紀あさ
2. タンク車いっぱい「根岸駅」
続いてJR根岸駅に到着。
ホームすぐ横に石油タンクの貨物車両が見えた
鉄道石油輸送区間は国内に8箇所(交通新聞社刊『貨物列車の世界』より)
根岸駅からは、八王子、宇都宮、遠くは長野県の南松本などへ運ばれる。
ホームから見える青い屋根は、専用線内の荷役をする場所だ(※)
駅の南側には国内最大規模の製油所であるJXTGエネルギー・根岸製油所が存在し、青い屋根は製油所の専用線内にある。
根岸駅航空写真(GoogleMapに筆者書き込み)
専用線と、旅客ホーム側の貨物の着発線との間には、授受線がある。製油所内の専用線で石油を積んだタンク車は、授受線を介して着発線へと入れ換えが行われる。その後、機関車と連結したタンク車は、着発線から本線へと出発する。
専用線内では緑の入換用機関車(スイッチャー)、NDD56形がタンク車を牽引(※)
本線では見かけない車両との遭遇が嬉しい。
ここで、貨物用語の基礎知識。貨物輸送は大きく「コンテナ輸送」と「車扱(しゃあつかい)輸送」に分けられる。横浜羽沢駅で見かけたような鉄道用コンテナを貨車に載せるのが「コンテナ輸送」だ。
貨車1両の上に複数のコンテナが積載されるコンテナ輸送
これに対し、タンク車のように貨車を1両単位で貸し切って輸送する形態が「車扱」とよばれる。コンテナと違いそれ自身に車輪がついているのが特徴だ。
車扱輸送
昭和の時代、「4セ」と呼ばれた石炭・石灰石・セメント・石油が鉄道貨物の主流だったころは、「車扱」の方が多かったが、今では石油以外で目にする機会は減った。貴重な車扱を根岸でたっぷり見ておきたい。
タンク車には「タキ」、コンテナ貨車には「コキ」と書かれている
「タ」はタンク車、「コ」はコンテナ車、「キ」は車両の重さを表し、25トン以上ある場合が「キ」となる。
ずいぶん重い(貨物時刻表より)
貨車には動力がないため、本線内では通常、機関車がタキやコキなどの貨車を牽引して進む。入換作業中に、機関車が貨車を引くのではなく押す、貨物駅ならではのシーンも目撃できた。
機関車「ブルーサンダー」が「押す」タキ
貨物、面白い。
根岸駅の着発線から、機関車「桃太郎」がタキを引いて本線に出発(※)
3. 神奈川臨海鉄道、横浜本牧駅
根岸駅から横浜市営バスで横浜本牧駅に向かう。ここでも右側に座りたい。
車窓に根岸製油所が見える
三菱本牧工場前で下車
貨物線は一般道(南本牧はま道路)の西側
横浜本牧駅と本牧埠頭駅の2駅は、旅客駅ではなく神奈川臨海鉄道の貨物駅だ。
バス停から降りて歩き出す。早速コンテナが間近に!
駅事務所に到着
営業案内、車扱の文字が消されている
過去には車扱の工業用塩輸送が日常的にあったと聞くが、現在この駅と隣の本牧埠頭駅の位置づけは、JR線コンテナと車扱の、臨時取扱駅及び社線内取扱駅である。
駅事務所を過ぎて振り返ると、右に白い三角屋根が見える
「神奈川臨海鉄道所有の国鉄C56形蒸気機関車(C56-139)が、中に静態保存されていると言われています」と今井さん。
調べてみると2013(平成25)年5月の神奈川臨海鉄道50周年記念イベントでは、姿を披露していた。
写真撮影が入れ替え制になるほどの人気だった
見てみたかった。
さて、「ダイヤ通りなら10分後に、根岸駅から機関車が貨車のお迎えにくるはず」
期待し待ったが現れず「もし平日なら、貨物の載せ替えが近くで見られると思うのですが」との結果に。
働いている人も見かけず、列車との遭遇もなかったが、この線路と歩道の近さ! もし会えていたらと想像するだけでも楽しい。
大型のコンテナを掴んで持ち上げることができるトップリフターが見えた
4. 本牧埠頭駅へ
横浜本牧駅が稼働していないということは、その先の本牧埠頭駅でも貨物列車に出合わない可能性が高いが、全駅制覇のため、向かう。距離は2㎞弱。歩こう。
横浜本牧駅コンテナホームのさらに先へ
海上輸送の拠点、コンテナがインターナショナル!
線路沿いでなくなる所で、左折
すぐに再び線路にあたる
道で出会った人が「本牧埠頭駅はこの先にある」と教えてくれた。
到着
片側3車線の広い道の向こうが、本牧埠頭駅だ。
ところで、ここには踏切がある
車道を6車線挟んで、両側に遮断機があり、同名の踏切
つまりひとつの踏切なのだが、道が広すぎて遮断機の長さがとても足りない。
遮断機は歩道部分だけで、車は信号で停める仕組みらしい
踏切信号機
通過列車が少ない貨物線間の踏切だから成り立つのだろう
豆知識としては、踏切信号機設置の踏切は、信号があるので、踏切通過の際の一時停止が不要だ。さらにいうと、この踏切はもともと信号だけで、あとから歩行者部分だけに遮断機をつけたそうである。
本牧埠頭駅、目の前は海(※)
貨物駅の先に広がる埠頭には山積みの海上コンテナ。海の向こうに思いを馳せた。
残る2駅へは、バスで横浜駅に戻ってから向かおう。
バス停は駅から道を挟んだショッピングセンターのそばにある
余談だが、立ち入り禁止なのか怪しい感じのショッピングセンターに入って、
惣菜屋さんでコロッケを食べたら
「ヤバイ! コロッケおいしかった! 関東で一番おいしいかも!」
広大郎くん大絶賛。揚げたて、とてもおいしかった。
また来たい。今度はカレーも・・・
さて、本牧ポートハイツ前から26系統横浜行きのバスに