ハマの五輪開催迫る! 2020年オリンピックを支える人々とは(運営編)
ココがキニナル!
開催まで2年半に迫った東京五輪では、横浜や江の島も競技場に! 準備状況は?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
今回はボランティアや大会前の取り組みなど、ソフト面での準備を紹介。全3回のシリーズでお送りします。
ライター:はまれぽ編集部
横浜に残る無形の「遺産」とは
一方、市民を挙げての協力によるオリンピック競技の実施で、市や市民にどんなメリットがあるのかも重要なポイントだ。大きなイベントは行政としての支出だけではなく、周辺の交通機関の混雑をはじめ、住民にとって不都合も大きい。それでも開催するのは、地域にとって利点があるからだ。
大会を契機に改修が進む横浜スタジアム
ひとつは前回でも取り上げた、競技会場や周辺のバリアフリー化やグレードアップが進むということ。大会後も残るレガシー(遺産)としての価値だ。
そのほかにも、会場となることで世界に横浜の名前が知られれば、観光面での集客チャンスにつながるという見方もある。
一例となるのが、海外の選手団が大会前に訪れる「事前キャンプ」の取り組み。
国際交流を進める絶好の機会!(横浜市発表資料より)
各都市に滞在する制度。一つの国から各競技の参加者がこぞって訪れることになるため、国と都市との絆を築く絶好の機会なのだ。
横浜市はイギリスの事前キャンプ地に決定しており、イギリスの選手団全体を受け入れるホストタウンの立場。サッカーをはじめ、多くの競技に優秀な選手を輩出する同国から、選手団が訪れることになる。
市内では「横浜国際プール」や「慶応義塾大学日吉キャンパス」を個人競技の練習場所として提供する。市外では川崎市の等々力陸上競技場が、7人制ラグビーやサッカーの練習場所として使われる予定だ。
イギリスチームの練習場所になる等々力陸上競技場(写真はフリー素材)
海外から横浜への注目度を上げることで、大会後の観光振興など、国際都市としての立場を伸ばしていくことができる。
ライバルになるのは、やはり東京。横浜国際総合競技場のある新横浜駅も東京から新幹線ですぐの立地だ。都内の宿泊場所の不足などもささやかれる中で、いかに五輪観光客を誘客できるかが、横浜にとっての勝負どころだ。
ファンの盛り上がりが大会への期待のひとつ(戸塚区でのPVの様子)
「日本に来る外国人の総数は変わらないとしても、選択肢として横浜を選んでもらえるよう、取り組みを進めていきます。また、海外に関わらず全国から訪れる観光客にも、横浜を拠点としてもらいたいですね」と石川担当課長。
五輪を契機にスポーツ文化の定着も目指す
さらにソフト面では、スポーツの振興による健康の延伸などにも取り組んでいくという横浜市。
スポーツ以外でも「オリンピック文化プログラム」として、芸術の祭典「横浜トリエンナーレ」をはじめとして、ダンスや音楽イベントなどを開催していく予定だ。こうした取り組みが大会後も文化として定着すれば、それも「大会を契機に残された財産」、つまりレガシーになるといえる。
成熟した文化の定着も、2020年を契機に進む
取材を終えて
東京オリンピックの開催期間は2020年7月24日から8月9日までの17日間で、短いといえば短い期間。しかしそのための準備は入念に行う必要がある。
そして、終わった後に何が残るのかが問われることになるのは、2020年のさらにその先。大会が終わったあと、横浜市の人々に何が残るのか。大会のその後を見据えた取り組みが、すでに始まっているようだ。
ー終わりー