横浜寿町・日本三大ドヤ街の今
ココがキニナル!
労働者の街とも言われた寿町は2018年現在、どのような変化を遂げているのか。ドヤに泊まって調べてみた(ライター・小林たかしのキニナル)
はまれぽ調査結果!
日本3大ドヤ街の一つに数えられる横浜寿町。2018年現在でも、街には簡易宿泊所(以下ドヤ)が立ち並び、独特の雰囲気は健在だ。だが、内部は大きな変化を遂げていた
ライター:小林 たかし
1泊2200円のドヤ
残念ながら外観、宿名など場所が明確になるものの撮影はNG。ドヤの内部は古いし、管理人の男性曰く「南京虫が出る」らしい。だが定期的に掃除もされているようで、見た目は清潔に保たれている。
南京虫(トコジラミ)の注意書きが張り出されている
エレベーターに管理人と一緒に乗り込み、滞在する部屋に向かう。
内部の写真。ドアは丈夫なつくりだ
筆者にあてがわれたのは、301号室。しばし周囲を見た後、鍵を開けて部屋の中に入る。内部は3畳ほど。想像していたよりも広い。布団を敷いてもいくらかは余裕がある。床はフローリングだ。いたるところに傷があるが、汚くはない。
フローリングの床は意外ときれいだ
部屋の上部には、収納用と思しき板が釣られている。荷物を南京虫がでるという床に直接置かなくて済むわけだ。
入口付近にはテレビと冷蔵庫が置かれている。テレビの映りはよくなかったが、冷蔵庫は想像に反して清潔な状態、冷凍機能も使え、十分な性能である。
テレビは・・・まともに映らない
部屋にはエアコンがついていて、少し汚いが十分に動く。机があれば完璧だが、やはり1泊2200円、わがままは言えない。
トイレは個室になく共用なものの、清潔に保たれている。横には炊事場があり、コンロや電子レンジもある。長期滞在の人はここで調理をしているようだ。
ちなみに、夜ゴキブリが数匹、冷蔵庫の裏から出現。結局このことが全てを吹き飛ばしてしまったのだが、それを除けば快適だった。
ドヤ滞在者を直撃
部屋の外でこれからどうするか考えていると、「どうしたの?」と前の部屋から優し気な笑みを浮かべた高齢の男性が出てきた・・・パンツ一丁で。
このパンツ一丁の男性、名前は「吉村さん(仮名)」というらしい。話を聞けば、年金だけではやって行けず生活保護を受給、このドヤで生活しているそう。
吉村さんによれば、滞在していた3階は筆者が入って満員とのこと。滞在者の中には吉村さんのほかにも生活保護受給者が多くいるらしい。来た時には全く人の気配がしなかったが、しげしげと周りを見てみると、ところどころ扉が開いていて中の光が漏れている。
トイレに書かれていた張り紙。パンチは効いているがトイレはきれいだった
吉村さんによれば、滞在者の中には若者から外国人までいるらしく、筆者の隣の部屋には“インド人”が住んでいるという。
「引きこもっているから」という吉村さんの言葉の通り、筆者がこのドヤに滞在していた2日間は“インド人”に会うことはできなかった。
ただ、後で別のドヤの管理人に聞いた話によれば、寿地区でも外国人労働者、留学生は増えているらしい。中にはドヤを1棟丸ごと購入し、留学生寮として運用している元ドヤもあるそうだ。
ドヤの管理人を直撃
もう少し、ドヤの現状を知りたい。そのため、ドヤの管理人に話を伺ってみることに。滞在先ではインタビューを断られたが、ある別のドヤ管理人が取材に応えてくれた。
介護施設も寿町にはある
ライター:この街の変化って感じたりします?
管理人:そうだねー、簡単には言えないけど、静かにはなったかな。
ライター:高齢者が多くなったことも関係があるんでしょうか
管理人:それもあるけど、ここに来る人が変わったよね。日雇い労働からそのままここに居ついている高齢者も確かに増えてるんだけど、最近は若い生活保護受給者が増えているんだよ。
ライター:街では全然見かけなかったですけど・・・
管理人:そりゃそうよ、なんていうの、精神的な病気でさ、部屋にこもってるんだよ。うちにも結構いるよ。
ライター:そういう人が増えてどういう影響があったんですか?
管理人:昔は血気盛んで、酒飲んで暴れてという騒動も多かった。人が変わって、そういう、うるさい、危ないっていうのはなくなった。
ライター:確かに僕も夜うろうろしたりしたんですが、本当に静かでした。身の危険を感じることもなかったです。
夜のことぶき保育園。周囲に人はほとんどいない
管理人:でも、別の意味で危険は増えてるかな
ライター:それはどういう・・・?
管理人:爆発しちゃうって言った方がいいのかなぁ。精神的な病気を持っているやつがいるって言ったでしょ。そういう人が突然ナイフもって暴れだしたりさ、上から飛び降りたりとか、ニュースではやらないけどそういうのもたくさんあるよ。
ライター:え、それは頻繁に?
管理人:年に数回はある。あとさ、昔ながらのっていうと今でもクスリ持ってたり、うちもあったけど、警察が乗り込んできて、住んでいる人を連れていっちゃったりとかね。
ライター:何をしたんですか、その人
管理人:空き巣。やっぱりここさ、ドヤによっては違うんだけど今でもお金払ってくれれば誰でも泊めてるところが多いわけ。住んでる人の中には何やってるかわからない、本当の名前がわからない、そんな人いっぱいいるよ。だから今でもそういう危なさは残ってるね。
取材中、筆者とそれほど年齢も変わらなさそうな男性が中へと消えていった
ディープな話も聞きたい、そう思い筆者が少し踏み入った質問をしたところ、管理人の男性はにこやかな顔こそ崩すことはなかったが、
「そういうのはほらちょっと、話すのも嫌なんだよね」と語り、そこから先を話すことはなかった。
取材を終えて
飲み屋街。明かりはついているが中から声は聞こえてこない
夜の寿町も散策してみたがとても静かだ。別の意味での不気味さはあったが、決して治安が悪いわけではないようだ。学校が終わるような時間には近所の住宅街に住んでいるらしい子どもが、無邪気に自転車で走る姿も見かけた。
確かにこの街は着実に変わろうとしているのだろう。だが、ドヤの管理人への取材で一瞬垣間見えたような、“容易に踏み込んではならない一線”は未だに残っているのかもしれない。
ー終わりー
かにゃさん
2019年01月14日 10時27分
悪い意味で昔からのはまれぽにありがちな、「行ってみた」記事ですね。そっとしておいてあげたい場所にあえて足を踏み入れたけど、表面しかレポートしないので訴えたいことが伝わってこない。だから興味本意と捉えられてしまうのだと思います。行政の対応とか、ここに集まる人の考え方とか、テーマを持ってもっと細部まで切り込んだほうが良いと思います。
chrisさん
2019年01月09日 13時10分
記事はおもしろい(あったら読んではみたい)んですけど、ちょっと雑な面もありますよね。いくつかの方がコメントしているように...。「ディープな話も聞きたい」というのは無理な相談だと思います。自分が逆の立場だったらどう感じるか、考えてみてもらえたらと思います。
peachpurinさん
2019年01月08日 12時34分
駅前一等地の無駄遣い。地元民としては区画整理と再開発を希望