横浜市・鎌倉市で盛り上がる「リビングラボ」って何?
ココがキニナル!
最近、横浜市や鎌倉市などでリビングラボという活動が発足されているみたいですが、一体どのような活動をしているのかキニナル!(慶さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「リビングラボ」とは、企業、NPOなどと行政が議論をしながらアイディアを出し合う、少人数での対話の場。議論をもとに各エリアの地域活性化施策が続々と出てきている
ライター:吉田瞳
「都筑リビングラボ」のディスカッション
「リビングラボ」では、どのように話し合いを重ねているだろうか? 実際に「都筑リビングラボ」のディスカッションに潜入した。
「都筑リビングラボ」が取り組むのは「病気や障がいを持つ人たちが、生き生きと働ける社会にするために、どうしたらよいか?」というテーマ。
1月23日のセッションでは、東京都市大学で、ユーザーにとって分かりやすい情報デザインの研究に取り組んでいる、小池情報デザイン研究室や、NPO、企業のメンバーら約20名が参加した。
ここでは、なかなか働き続けられないという課題のなか、障がいを抱える人たちが生き生きと働けるような環境を作るためにアイディアを出し合った。
今回は、冒頭で発達障がい当事者である鈴木仁(すずき・じん)さんが過去約1年のディスカッションを経て練り上げた「都筑リビングラボからの提言」について発表。「障がいを持つ人と企業との雇用マッチングアプリを作る」「東京都市大学の協力を得ながら、プログラミングや3Dプリンターなどテクノロジーを活用した幅広いものづくりの方法を学び、そのノウハウを社会に還元していく」という「都筑リビングラボ」の方向性を伝えた。
発達障がい当事者である鈴木さんが発表した「都筑リビングラボの方向性」
この発表をもとに「さらによくしていくためにはどうしたらよいか」「『リビングラボ』を通しての学び」などを、各自が意見や感想を述べた。
ディスカッションの様子
鈴木さんの発表に対して「マッチングアプリを作るだけではなく、まずはコミュニティーを広げることに注力した方がよい」「いきなり大きなプロジェクトを立ち上げるよりは、小さな成果を積み重ねて、『リビングラボ』を大きくしていくべきではないか」などといった意見が参加者から出た。
東京都市大学の学生も、鈴木さんの発案を受けて、気持ちを安定させるようなアプリを開発中だという。
「最初はよく分からなかったけれども、議論に参加しているうちに、少しずつ自分のこととして捉えられるようになった」
「自分が何をするべきか考えられるようになった」
という声も出ていた。
熱心にメモを取る学生たち
NPO、企業、学生など様々な主体が集まるディスカッションだが、20名という少人数。発言しやすい雰囲気があり、異なる立場からの意見も聞ける。特に、学生にとっては刺激となりそうだ。
「平沼リビングラボ」発「知産地消マルシェ」で地域について考える
とはいえ、ディスカッションだけではなく、市民の声から生まれた現場の様子も見てみたい・・・! そう考えていたところに飛び込んだ知らせが、西区の「平沼リビングラボ」のイベント情報。
「平沼リビングラボ」は「平沼商店街や街を活性化させたい」という思いから、2018年に発足。週1ペースで、関口さんや地元企業、NPOなどが話し合いを重ねている。
そんな「平沼リビングラボ」が開催するイベント「平沼知産地消マルシェ」に参加してきた。
「街に昭和のお茶の間を蘇らせる」をメインコンセプトに、平沼商店街ゆかりの食材や地野菜でできた「平沼のひとさら」を味わったり、ワークショップに参加できたりと、楽しそうなイベントだ。会場は平沼小学校の体育館。会場が小学校ということもあり、ファミリー層が多い。
子どもたちが自由に走り回れる会場
会場には大きな平沼の地図が床一面に貼られており、誰でも地図の上にあがり自由に書き込みできるようになっている。自分の家を探したり、自分の地域の情報を書き込んだりすることで、平沼のよいところや課題点を改めて考えるのが狙いだそう。
なにを書いているのかな?
色をぬったり、マークしてみたりと、地図の書き込みは自由
とはいえ、勉強ばかりではおなかもすく。平沼ゆかりの食材でのオリジナルメニューが味わえるという「平沼のひとさら」ブースを訪ねた。
「平沼のひとさら」を提供する、フードクリエイターの亜妃琉(あひる)まことさん
本日のメニューは、「けんちんそば」と「ジューシー! 焼き鳥丼」。
筆者は「けんちんそば」をいただいた。平沼商店街のそばの名店「田中屋」が提供したそばに、横浜野菜を使って、神奈川の郷土料理であるけんちん汁をあわせたという。野菜たっぷりのけんちんそばは優しい味。午後1時には売り切れとなった。
けんちんそば
このように、今回提供しているのは平沼商店街のお店の商品が中心だ。伊藤園による急須でお茶を淹れるワークショップでは、平沼商店街にある平沼園のお茶と寿々喜家(すずきや)の和菓子が提供されていた。
もちろん、マルシェということで野菜も販売している。こちらは瀬谷区の岩崎農園さん。横浜ビールとのコラボ商品「瀬谷の小麦ビール」に小麦を提供している岩崎良一(いさわき・りょういち)さんだが、今回は小麦ではなく野菜を提供。野菜を目的にやってきたという参加者も多く、人気コンテンツのひとつとなっていた。
岩崎農園のブース
主催者である「平沼リビングラボ」の平沼五郎成基(ひらぬま・ごろう・なるき)さんも、「多くの人が来場してくれてよかったです。平沼小学校の子どもたちにチラシを配ったり、新聞やテレビに取り上げてもらったりしたことが大きかったのでしょうか」と手応えを感じている様子。
今後は、さらに地域の人たちを巻き込んで「リビングラボ」に取り組んでいきたいとのことだ。
取材を終えて
ボランティアではない、新しい地域への関わり方という「リビングラボ」の活動は、地域活性への大きな可能性を秘めているようだ。今後も「平沼リビングラボ」のように、話し合いを起点とした事業やイベントが多数生まれそう。これからの動きが楽しみだ。
―終わり―