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磯子の横浜プリンスホテル跡地「ブリリアシティ横浜磯子」と横浜の歴史的建造物「旧東伏見宮別邸」の様子を一挙公開!

ココがキニナル!

三島由紀夫の小説に登場する洋館のモデル「旧東伏見宮別邸」を取材して!(ねこぼくさん)磯子プリンスホテル跡地のエレベーターはなぜ有料?(kikkeさん)ブリリアシティーからの眺めは?(ゆがみ小僧さん)

はまれぽ調査結果!

旧東伏見宮別邸・旧GHQ首脳部邸宅・旧プリンスホテル・現レストラン。外観は現代でも残っていた。エレベーターの利用料50円は維持管理費とのこと

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ライター:人見 静馬

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外見は保存しているという。では中は完全に作り変えているのかというと、そういうわけでもないようである。使える所はそのまま使っているらしい。
 


写真奥の非常用扉以外は当時のまま
 

この電灯も当時の物
 

今でもモダンに感じるデザイン


筆者には照明など、調度品のデザインのことはよく分からないが、現在では使われていないデザインなのだろうと思われる。技術的な問題か、単純にセンスなのか。さまざまあるだろうが、あらゆる物が人間とともに移り変わっていくことを考えると、デザインも深いところでは不可逆性を持っているものなのかもしれない。
 


これは性能の面で無くなった「窓の鍵」


玄関から更に進む。ここは東京建物と都市デザイン室の協議により、当時のまま残されている。
 


暖房が組み込まれているのは元暖炉
 

階段の手すりだけは安全性を考慮し、鉄柵が備えられている
 

シャンデリア。よく形を留めていたものである


ここまでシッカリと形を残してくれていると、当時の暮らしぶりがありありと目に浮かぶようだ。

さて、中村孝明貴賓館は、その中で3店舗が経営されているという形式をとっている。
 


天婦羅の「花衣」
 

カジュアルダイニング「茶膳KOUMEI」 
 

日本料理「中村孝明」


である。
それぞれ特徴があり、中村孝明貴賓館を訪れる方の層を固定してしまわないようになっている。これも心遣いか。

で、肝心の我々が何を食べるかである。筆者が行きたいのは当然「中村孝明」である。責任者の名を冠している店舗。一番力を入れている場所であることはまず間違いない。が、何しろ一般的にリーズナブルと言い難い。同行していた編集部・山岸も悩む。

しかし中村孝明貴賓館にて料理を取り仕切り、中村孝明をして右腕と言わしめる神之村泰規(かみのむら・ひろき)料理長のオススメとあらば行かざるを得まいとさすがに決心したようである。
 


神之村泰規 料理長。中村孝明氏の信頼も厚い


とはいえ、よく使われる接待の席としては良心的な料金である。法外な値段設定をしているわけではない。念のため。



いざ、実食!



「中村孝明」は2階にある。当然景色も1階とは様変わりする。だが、これがなかなか不思議な光景なのである。当時は無かったであろうマンションにぐるりと取り囲まれているため、1階にいた時のようなタイムスリップ感を覚えないのである。全く時代の違う物が同居しているというのは、かえって時の流れを強烈に感じさせる。
 


不思議な光景である


さて、いよいよ実食。
「中村孝明」はコースで料理が出てくるスタイル。なので、こちらで指定するのは飲み物くらい。さすがに取材開始早々、ということで2人とも烏龍茶を選択。
 


烏龍茶(500円)がこれである。綺麗
 

ランチコース「彩重ね(4752円/消費税・サービス料込)」お品書き
 

先附(湯葉蒸し煮)
 

椀盛り
 

主皿


品書きは、写真中央奥から右回りに鮪の山掛け(造里)、海老芋唐揚げ(焼物)、水菜と黄韮の浸し(猪口)、金柑ワイン煮、蕪(かぶ)いくら、慈姑(くわい)カステラ、天然ぶりの照り焼き(焼物)。
 


主皿(温物、上海蟹味噌の茶碗蒸し)
 

食事(百合根ご飯と赤出汁と香の物)
 

デザート(コーヒーぜんざい)


それぞれ、本格的な和食というよりはひねりを加えた創作といった感じで「美味しい」と同時に面白いといった感想が浮かんでくる品ばかりであった。全て神之村料理長のアイデアとのこと。こういった形式の料理で満足感を得たのは久しぶりである。



料理人・中村孝明



食事後、貴賓館にレストランを開くことになった経緯などを聞く。さまざまな質問に真摯(しんし)に答えてくださる料理長。
 


食後、神之村料理長にさまざまなお話を聞く


と、そこに中村孝明氏登場! あの人だ!
 


お忙しい合間を縫ってのご協力


ここで取材先は料理長から孝明氏にバトンタッチ。現在でもご自分の各店舗を飛び回り、貴賓館にも週3回は訪れているという孝明氏。この後も予定があるというのに、満点のサービス精神で語ってくださった。

氏いわく、貴賓館の外見の修理は勝手にできないので気を使う、当然室内との兼ね合いもあるから迂闊(うかつ)な業者を使えない、外見は全くいじれないので、看板も多く出せない、苦労をあげればキリが無い。 

なるほど。筆者は文化財に比べて「認定歴史的建造物」はハードルが低いようなことを先述したが、それはあくまでも文化財と比べたらというだけの話であって、普通に建物として使用するのは大変だということなのだろう。なにせ70年前だからなぁ・・・。
 


酒ならなんでも飲むよ! という孝明氏、アルコールで口の滑りを良くしてゆく


筆者も甘えてビールをご馳走に。

しかし、ではどうしてそこにレストランを? との質問に、孝明氏の目が変わった。
確かに良い場所ではあるが、正直ほかに儲かりそうな場所があるのでは――程度の筆者の思いと、孝明氏の思い入れは全く次元の違うものだったのだ。

貴賓館を管理している団体からレストランを出さないかとの打診があったことがきっかけとなった。しかし、その際には中村孝明レストラン以外にも競合店が同じく打診を受けていたのだという。言っても「認定歴史的建造物」である。店の品や代表者の格、さまざまなコンセプトが建物と合うかどうかが吟味される。選考過程を筆者は知らぬが、それが生半可な吟味ではなかったことくらいは分かる。

それで選ばれたのがたまらなく嬉しいんだ、と孝明氏は言う。先の時代、昭和の痕跡を今に残すこの建物に見合う料理人とされたことが嬉しいのだと。
 


好きなことは食べること、貪欲であれ!


新しい物を求めない料理人はダメになる! そう言い切る孝明氏が最後に築き上げた城が、1937(昭和12)年竣工の建物だというのも実に面白い。自らを反逆児と語る孝明氏の巡り合わせなのだろう。
孝明氏は、このお店を自身の集大成と位置付けている。



取材を終えて



今回は取材したことの半分くらいしか本文に書き出すことができなく、非常に悔しい思いをしている。まだまだ面白い話や思わず感心してしまうお話がいくつもあったのだが、力量不足で披露できずにいる。是非、現地に行って見て、確かめて貰いたい。

しかし、こんな時三島由紀夫だったらさらりとまとめられるのだろうか。でも三島由紀夫がはまれぽの記事を書くことは天地がひっくり返っても無いので考えるだけ無駄か。
 


お話が終わるころには、外はすっかり暗くなっていた


ちなみに、本稿内で触れた坂道は思ったより長い。
だんだん変わりゆく風景と健康を愛する方は坂道を、近未来感と合理性を愛する方はエレベーターを。どっちを選んでもこれは無駄ではありません。
 


上を見れば辛いが、下を見れば楽しい坂道


―終わり―
 

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  • 家が近く、両親の結婚した場所もここだったそうで…。ちなみに歴史建造物に関する横浜市の制度は問題大いにあり、と思ってます。もちろん維持費用考えれば…なんでしょうが、寄付金制度(税金控除)等もあっていいはず、横浜市ってどこまで金の亡者なんだろう。

  • 約30年前にここで結納をして無事結婚しました。素晴らしい内部に全員感動しました。でも5年前に離婚しました。まあ、そんなものです。

  • 15年前に山王台に住んでいました。その時はよくホテルのプールやレストランを利用しました。変わってしまいましたね。

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