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今後市内に増えていく? 50年以上残る旭区白根の謎の環状交差点「ラウンドアバウト」の正体は?

ココがキニナル!

ラウンドアバウト(環状交差点)が、旭区白根の住宅街に存在します。交通量もない合流点ですが、どうして設置されたの?横浜市内で新規導入などある?(ポタリんさん/神絆会さん/町田県民さん/ほっけさん)

はまれぽ調査結果!

5差路の交差点の真中に防火水槽の上部が出ているため、それを中心点にロータリー交差点として使用されている。横浜アリーナの裏にもできる予定。

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ライター:小方 サダオ

周辺住民から話を伺う



そこで再度現場を訪れると、すぐ隣に消火栓があることに気づいた。
ロータリー交差点と防火水槽や消火栓とは、何か関連性があるのだろうか?

 

ロータリー交差点の近くに消火栓がある
 

消火栓の蓋
 

防火水槽の上部も八角形だ
 

40トンの防火水槽の蓋
 

また前出の近くにある防火水槽を目指すと、ロータリー交差点から歩いて数分の距離にある公園内に発見した。
2つの防火水槽間の距離はかなり近い印象がしたが、この程度の区間内に防火水槽は作られているものなのだろうか?

 

金草沢公園
 

公園内の防火水槽の標識
 

40トンの防火水槽を示す蓋
 

そこでロータリー交差点と防火水槽について地元の方に伺うことにした。

通りがかりのご夫婦に伺うと「私たちはここをロータリーと呼んでいて、交差点内で旋回した後、行きたい方向に曲がっています。以前は緑色の柵がなくて、車が気づかないでコンクリート部分にぶつかってひっくり返った事故が2度ほどありました。そのため柵がされ黄色い樽型のクッションが置かれました」

 

交差点内に侵入し、矢印の方向に進行できる
 

ロータリー交差点の手前にある標識
 

道幅が狭いからなのか、標識の柱が曲がっている
 

坂の途中からもう一本が合流し、5差路になっている
 

「また蓋の周りには雑草が生えるので、以前は町内では草を刈ったり、季節の花を植えてオシャレに飾り付けたりしていましたよ」

 

以前は花を植えて上部を飾っていたという
 

住宅地内の道路に関して伺うと「住宅地内の道は以前は私道だったため、道路の端にポールを設置して、よその車が走りにくいようにしていました。しかしそれを面白がって坂の上からスピードを出してすり抜けて遊んだりする暴走車も出ました」

「その後私道だと町内での管理費が大変なこともあり、公道にしたのです。そのため管理費の負担はなくなりましたが、よそからの車の数が増えました。特に抜け道として使用する車はスピードを出すので迷惑しています」と答えてくれた。

話の途中、交差点を右折していった車にご主人が「あんな風に曲がると警察に捕まるよ」と言った。

見ると、中心部を時計回りに旋回せず、手前を曲がって右折していた。車側からすると、中心部を回って曲がるのは面倒なようだ。

 

中心部の手前を曲がって右折する車(赤い矢印)は違反だ
 

続いて防火水槽の上部が飛び出ていて邪魔なのでは? というと「邪魔ではないです。交差点の真ん中にあるため、スピードを落として注意して走ってくれるので助かります。またこの住宅地は広くて迷うこともあるので『ロータリーの先にある・・・へ』といった感じで目印になります」と答えてくれた。

また交差点の近くに住むKさんに伺うと「この防火水槽のあるロータリー交差点は住宅地が作られたときに最初からありました。昔は私道だったのでコンクリートの柱を立て、交通量が少なくなるようにしていました。そのため走りづらい、とよく文句を言われました。その上、交差点の真中にロータリーがあるため、車がぶつかって家に飛び込む事故もありました。そのため黄色い樽型のクッションを置いたようです。今から30年くらい前だったと思います」と答えてくれた。

 

昔は私道のため交通量を減らす工夫がされ、ロータリー交差点もあったので、走りづらかった
 

次に前出の、過去にロータリー交差点があった場所を探してみることにした。

そこは5差路が交差する複雑な交差点であった。
通りがかりの方に伺うと「ロータリー交差点があったころは、中心部分を迂回するように注意して走るために危なくなかったですが、今は走りやすくなってスピード出して通り抜ける車がいるため、ヒヤッとすることがあります」と答えてくれた。

 

以前ロータリー交差点のあった5差路
 

各方向のためのカーブミラーが設置されている
 

投稿のロータリー交差点(青い矢印)と以前ロータリー交差点があった場所(緑の矢印)
 

次に交差点の近くに住む方に伺うと「この交差点には防火水槽が埋まっていたようですよ。今から30年ほど前に道路の下にガス管と水道管を通す工事があったため、防火水槽が邪魔になったのか、ロータリーではなくなり今のようになりました」と答えてくれた。

 

以前ロータリーだった交差点。投稿の交差点のように交差点付近に消火栓が設置されている
 

投稿のロータリー交差点(青い矢印)と以前ロータリー交差点があった場所(緑の矢印)
(1972〈昭和47〉年旭区明細地図)
 

次に地元で50年近く店を構える店主に、投稿の交差点に関して伺うと「以前は私道で、5差路の複雑な道路であったため作ったのだと思います。この住宅地は三菱白根第二団地といいます。三菱住宅の初期のころの事業のようです。そのためまだ慣れていない部分があってあのような交差点を作ったとうわさされています」

「例えば一般的には歩道部分を作ってから家を建てていくのですが、この団地は先に家を作ってしまったため、歩道部分が出来なくなったそうです。そのためバスが通れなくなってしまったのです。となりには東急の団地がありますが、歩道から先に作っていたため、ちゃんとバスが通っています。ベテランの東急との差だ、といわれています」と答えてくれた。

 

東急白根ニュータウン(赤い矢印)と三菱第二団地(青い矢印)
 



ロータリー交差点と防火水槽の関係性とは



ここで菱重エステート(前・三菱住宅)の高梨さんに、ロータリー交差点と防火水槽の関係について伺うと「当時の状況が分かる者がおりませんので詳しいことは分かりませんが、市と協議して許可が出て設置されたものには間違いありません。交差点の真ん中ですと消防自動車を横付けしやすくさまざまな方向に消防活動ができるからといった予測はできます」と答えてくれた。

そこでインターネットで調べてみると、団地内のロータリー交差点に防火水槽を設置している例を写真とともに紹介しているホームページを発見した。
全国のロータリー交差点を巡り、訪問記を書かれている方のもので、筆者により「団地内のロータリー交差点に防火水槽を設置している場合が多い」とも書かれていた。

市営円光寺(えんこうじ)住宅団地内の円光寺ロータリーと呼ばれるもので、金沢市富樫(とがし)公民館のホームページによると、1957(昭和32)年に金沢市が造成した団地だという。

 

ほかの都市にも団地内のロータリー交差点に防火水槽が設置されている例がある
 

そこでこの交差点の防火水槽を管理している、石川県金沢市消防局の警防課の担当者に伺うと「ロータリー交差点内に防火水槽を設置する決まりはありませんが、広い道の真中の交差点では、道路に面していて、消防自動車が周りから寄り付きやすく、防火水槽を使用しての消火活動には理想的な場所として認識されています」

「公道上の交通量の多い道路の場合は、通行車に吸管を踏まれる可能性などがあり、消防活動に支障がでますが、団地内の道路の場合は、交通量も少なく、理想的です。一般的に公園内などに防火水槽がありますが、このような場所の方が効果的と思われます」と答えてくれた。

以前、三菱白根第二団地内の道路は私道であったため、この条件と重なる。また問題の交差点の近くに消火栓があったことも、ロータリー交差点内が消防活動にとって有効な場所であることを認識していたからではないだろうか?

どうやら高梨さんの予測通り、当時団地を造成する上で、ロータリー交差点内に防火水槽を設置することは効果的と思われていたようだ。



道路局の担当者に伺う



次に一般的なロータリー交差点の話に関して、道路局維持課の銀木(しろき)さんに伺った。
すると「元々ロータリーの交差点は、日本では多く作られませんでした」とのこと。

投稿のロータリー交差点は、中央島の周囲にゼブラゾーンの交通表示が描かれていて、この表示の上を通って走行してよいのか疑問に思っていたため、そのことについて伺うと「問題ないです」と答えてくれた。

さらに「今回法改正があり、信号の交差点よりも通過車のスピードが落ちるなどという理由で、環状交差点が注目され、今後増える予定です。2015(平成27)年の3月20日に横浜市金沢区柳町において、環状交差点の運用を開始しました。また新横浜の横浜アリーナの裏にもできる予定です」と教えてくれた。

 

警察庁による環状交差点に関するパンフレット
 

環状交差点の交通方法が2014(平成26)年の9月1日から施行されている
 

今回の法改正について警察庁のホームページを見ると「2013(平成25)年6月14日法律第43号改正の道路交通法により『環状交差点』として現代的ラウンドアバウトが定義され、2014(平成26)年9月1日から本格的な運用が始まった」

「現在、11都府県38ヶ所において『環状の交差点における右回り通行』の交通規制が導入されている。環状交差点の交通規制には、信号機が不要になることでの待ち時間の減少、災害時の対応力の向上等の効果が見込まれるところであり、適切な箇所への導入が期待されている」とある。



取材を終えて



信号による交通整理は分かりやすいが、機械的な交通になる。しかしロータリー交差点の場合は、優先通行帯の車に優先させて交差点を使用する、譲り合いによる人間的な交通方法と言った印象になる。行列で割り込んだりしないなど日本人の国民性にあった交通ルールといえるかもしれない。
これからの日本では環状交差点を使用したゆったりした交通が見られてゆくのだろう。

 

1965(昭和40)年前半に作られたロータリー交差点
 


―終わり―
 
 

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  • 記事冒頭で昨年法改正による環状交差点(ラウンドアバウト)と従来からあるロータリーの違いがほとんど説明されていないと思います。白根のものは環状交差点ではなく従来型ロータリーであるとどれだけの読者が理解できたのか…。判りにくいままに話は防火水槽に移ってしまい、と思えば最後に話が法改正に戻ってくるものの、結局環状交差点と従来型ロータリーの違いの明確な説明なく、柳町や横浜アリーナを挙げたりして(これらは法改正で定義された環状交差点)、ますます読者に対して両者を混同させたままにしてしまう記事だと感じました。

  • これはイギリスではミニ・ラウンドアバウトと呼んでいる類のものですね。宮前区鷺沼のラウンドアバウトは、ちゃんとしたものなので、自然に左回り出来ますが、ここのラウンドアバウトは難しいな。

  • 瀬谷区の三ツ境公園北側にも同様に真ん中に防火水槽がある交差点がありますね。

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