綱島駅周辺は新業態のチェーン店1号店が多いって本当?
ココがキニナル!
綱島駅周辺には、ほかで見たことがないチェーン店が多い。もしかしたら綱島は、チェーン店の新業態1号店を出店しやすい場所なのでしょうか?調査をお願いします(あおむしさん)
はまれぽ調査結果!
綱島駅周辺は、バス路線を利用する通勤客やファミリー客など、幅広い客層の飲食店利用が多く、それでいて突出した人気店が無いため、新業態1号店の出店に適した場所だといえる可能性がある
ライター:桑原 恵美子
綱島は幅広い客層が利用する!?
この仮説が当たっているかどうか、「やきとりスタンダード綱島店」を運営しているエー・ピーカンパニーに1号店を出店する理由を伺ったが、答えていただけなかった。ただし「やきとりスタンダード」のターゲット層など、ヒントになることは教えていただけた。
エー・ピーカンパニーが主力である「塚田農場」で目指しているのは、高品質な料理を中価格帯で提供する店。そのため30代以上のビジネスパーソンを中心に、予約を前提とした3~4名のグループ利用が多いという。それに対して「やきとりスタンダード」は、低価格で高品質な焼き鳥を楽しみたいファミリー層や単身者、シニアなど幅広い客層に向けた新業態だそうだ。
低価格を感じさせない「やきとりスタンダード」の料理
また、「銀だこ鉄板道場綱島店」を運営している株式会社ホットランドの丸山美嘉(まるやま・みか)さんによると「綱島店ではファミリー層から学生まで幅広いターゲット層にご利用いただいております」とのことだが、こちらでも1号店を出店する理由をお答えいただけなかった。
しかしながら「やきとりスタンダード」や「銀だこ鉄板道場綱島店」は、ファミリー層を含んだ幅広い客層をターゲットにしているという。新業態を出店する理由は伺えなかったが、綱島駅周辺は立地的に幅広いターゲット層の利用が見込まれるため、もしかしたらサンプルなどを取得しやすいエリアなのかもしれない。
「なぜ新業態1号店が綱島なのか」ズバリの回答は得られなかった。そんな時に目にしたのが、新しく綱島にオープンした「綱島漁港」。個人営業の飲食店のようだが、店名に「綱島」とつけているということは、何かしら綱島でなければならない理由があるのではないだろうか。それを伺うことにした。
新業態の個人経営の店に聞く!
綱島漁港がオープンしたのは2018(平成30)年7月7日。このお店がオープンする前は「完全個室 居酒屋 たすき 綱島店」、その前はもつ鍋店「もつ真路 綱島店」が入っていたビルで、どちらも綱島駅前にある店としては席数が多い大型店だった。チェーン店の大型店のイメージが強かったので、まったく関係のない個人の店がオープンした時は意外に思ったものだ。綱島に住んで20年以上になるが「綱島漁港」という店名を見たことがなく、この店が新業態1号店であることは間違いない。
「綱島漁港」は「天丼てんや」「金串」が入っている「オークラ綱島ビルⅡ」の2階と3階
店の中央に突き出している板場では毎日、お客による競りが行われている
店内に入るとすぐ目に入るのが、店内中央に突き出している板場。オープンキッチンの店は珍しくないが、こんなふうに仕切りもなく、魚をさばく板場が店の中央にある店は初めて見た。
取材に応じてくれた綾垣(あやがき)店長によると、この店は「朝獲れの新鮮な魚の専門店」であり、「綱島に漁港を作る」というコンセプトの新業態店なのだという。綾垣店長は「市場は夜中から始まり朝には閉まってしまうので、市場を通すと朝獲れた魚を提供できるのは最速で翌日の夜。うちは直接、漁港から仕入れているので、漁港近くの店と同じように朝獲れた魚をその日のうちに出せる」と店の特長を話してくれた。
店内には漁師たちから贈られた大漁旗や、市場用の帽子が置かれている
価格も漁港近くの店並なみに抑えているが、これを可能にしているのが綱島という街の特性だという。綾垣店長は「周囲に東芝など電気関係の会社や工場が多く、人の流れが非常に多い。それでいて賃料や人件費は比較的安い。同じように人の流れが多い街でも、賃料の高い桜木町や関内あたりだったら、この価格ではとても出せなかった」と綱島ならではの価格設定だと話す。
桜木町駅周辺は賃料が高い
さらに「綱島にはアップルの研究所(綱島テクニカル・デベロップメント・センター)ができて、新路線の相鉄・東急直通線も通る。これから発展するのは間違いない」と、そういった将来性も綱島に出店する理由のひとつだという。
繁盛するかどうか未知数の新業態1号店は、高単価にできない。「将来性があり、人の通りが多いわりに賃料・人件費が安い」という綱島に新業態の店をオープンする理由が分かったような気がする。
また、最後に綾垣店長は「綱島にはチェーン店が非常に多いが、なにかに特化した店が無い」と綱島駅周辺の店舗について話した。
確かに綱島には飲食店が多いが、わざわざ遠くから来てその店で食べる突出した人気店や、マスコミで話題になるような“とんがった”店が無い。だからこそ、大手チェーンも新しい、珍しい店で勝負をし、人を集めてみたいと考えるのではないだろうか。
「我こそは名店なり」という店ばかりが集まった銀座や六本木のような場所では、新業態1号店というだけで人を集めるのは難しいだろう。
取材を終えて
新業態1号店が多いことまでは調べたらすぐ分かったが、その理由はなかなかつかみにくく、なんとか納得できる理由にたどりつけた。だが今まで単純に「いい飲食店が多い」と思って見ていた綱島の街だが、この調査以降は“とんがった店が無い”という綾垣店長の言葉がよみがえるようになった・・・。
たくさんの店が軒を連ねる綱島の街
-終わり-
取材協力
パンの田島 綱島店
住所/横浜市港北区綱島東1-1-18
営業時間/(月~金)午前8時30分~午後8時(土・日)午前7時30分~午後7時
定休日/無し
やきとりスタンダード 綱島店
住所/横浜市港北区綱島東1-6-3
営業時間/午後5時~午前0時
定休日/無し
銀だこ鉄板道場 綱島店
住所/横浜市港北区綱島西1-9-9 ダイヤモンドビル1階
営業時間/午前11時30分~午前0時
定休日/無し
https://www.gindaco.com/store/result/%E9%89%84%E6%9D%BF%E9%81%93%E5%A0%B4%E7%B6%B1%E5%B3%B6%E5%BA%97
綱島漁港
住所/横浜市港北区綱島西1-11-4 2・3F
電話/050-3491-9733
営業時間/午後5時30分~午前0時
定休日/無し
https://tsunashimagyokou.owst.jp/
EGISOBA & GALETTE ISSHIN.(ヘギソバ アンドガレット イッシンドット)
住所/横浜市港北区綱島西1-9-4 1F
電話/045-710-0339
営業時間/ランチタイム:午前11時30分~午後3時、ディナータイム:午後5時~午後11時
定休日/無し
http://hegisoba-isshin.jp