かつて横浜で盛んだった捺染文化を受け継ぐ横浜発祥ブランド「濱文様」とは?
ココがキニナル!
横浜が大好きです。以前、横浜帆布鞄さんを取り上げていましたが、横浜をモチーフにした服飾雑貨や文具、ファブリックを扱ってるショップが知りたいです。(はまっこはむさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜にこだわった「濱文様」には、地元・横浜の昔から伝わる技術で作った、ステキな商品がいっぱいあった!
ライター:濱屋 亘
ミッション「横浜をモチーフにしたものを扱うショップを探せ!」
地元大好きのハマっこが、夢中になれそうな商品を売っているショップってどこだろう。どうせ紹介するなら古くから横浜に関わっていて、横浜そのものをモチーフとした柄になっているものがいい・・・。
探すこと数日、ついにひとつの会社に行き当たった。調べてみると、どうやら横浜伝統の染め技術を使って何か作っている会社らしい。そこで早速アポを取り、9月某日、話を聞きに行ってきた。
横浜市営地下鉄ブルーライン「港南中央」駅下車、徒歩約2分
その会社は、閑静な住宅街の一角にあった。
住宅街にたたずむ、瀟洒(しょうしゃ)な建物
「株式会社ケイス」。あったあった、ここだ
今回取材にご協力いただいた、社長の加藤好男(かとう・よしお)さん
株式会社ケイスは、現社長の加藤好男さんの父親・清(きよし)さんが1948(昭和23)年に南区上大岡で始めた町工場がそもそもの始まり。
「当初はまだ、横浜の地場産業だった“捺染(なっせん)”を小さな規模でやっている工場で、言われた柄をプリントするだけの工場でした」
「捺染」とは平たく言うと、布地に型を使って模様をプリントした染物のこと。ここ横浜の捺染には140年の歴史があり、最盛期には横浜市内に130以上の捺染会社があったという。
しかし工場は1978(昭和53)年に一度火事で焼失。一時はあわやと思われたものの再興し、1989(平成元)年に父・清さんの名前をとって「キヨシ・ファブリックス」と社名を変更。
スカーフやハンカチといった商品を専門に、一時期はインドのサリーなどのいわゆる洋モノ商品を主力として展開していたが「スカーフなどの商品は段々廃れて、途中からまったく受注がなくなってしまった」と加藤さん。
唯一現存する、移転後の様子を描いた絵
困った加藤さんは「これからは自分のところで型から作り、自分で売り込む時代だ」と決意。2002(平成14)年に「株式会社ケイス」を興し、横浜発祥のブランド「濱文様(はまもんよう)」を立ち上げた。
商品はすべて捺染の手染めにこだわり「自社でデザインを作り、素早く商品化できる」という強みを生かしつつ、20~30代の若手デザイナーの若い感性も取り込みながら、横浜の遊び心あふれた商品の数々を生み出している。
型番だけでも2000種類以上もの数がある(画像はHPより)
「工場発信のブランド、というのはあまりないです。いまでは横浜捺染をやっている工場もだいぶ減ってしまったので、地場の産業をなんらかの形で残しつつ、全国に横浜を発信していきたいと思っています」とのこと。
社名のケイスは英語のCASE。デザインの詰まった玉手箱、がイメージなのだとか
聞けば聞くほど「地元ならではの」という思い入れがこもった「濱文様」というブランド。実際の商品が見たくなったので、早速、みなとみらいにある直営店へと行ってみた。