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『今夜、ハマのバーにて。 vol.8』~「ニコラシカ」とバーの名脇役~

ココがキニナル!

ホテルニューグランドのバー「シーガーディアンⅡ(ツウ)」。チーフバーテンダーの太田圭介さんと、バー初心者の筆者が1杯のカクテルをとおして、「バー」という場所のたしなみ方を考えます

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ライター:はまれぽ編集部

 


今夜のカクテル:ニコラシカ

 
ニコラシカはブランデーベースのカクテル。グラスにブランデーをストレートで注ぎ、レモンスライスと砂糖をまるでフタをするように乗せる。ドイツのハンブルグで生まれたとされているが、「ニコラシカ」はロシア人男性に多い名前。名づけの由来は分かっていない。
 
「これは『口の中で作る』カクテルなんです。聞いたことないでしょ?」と「シーガーディアンⅡ」のチーフバーテンダー太田圭介(おおた・けいすけ)さん。聞いたこともないし、どうやって飲むのか分かりません!
 
 
 

ツウ好みの「ニコラシカ」


 
「はまれぽを見ていて、最初に出てくる正方形の画像に、パッと目を引く写真を載せたくて。それで今回はこのニコラシカを選びました」
 


掲載画像の見え方まで気にしてくださる優しい太田さん

 
グラスにフタをするように乗ったレモン、そしてその上には砂糖が素敵に盛られている。もう、一体何をどうすればいいのか分からない。「おすすめのカクテル、ください」なんてかっこつけて注文して、もしこれが出てきたら半泣きですね。
 
「メニューにも載ってない、知る人ぞ知るカクテルですね。最後のシメに注文する常連さんが多いです」
 


計量カップに砂糖を入れ、棒でググッとして素敵シュガーを形作る

 
早速、このカクテルの楽しみ方を教えてもらう。それがとっても新鮮だった!
「まずはレモンで砂糖を包み込んで・・・」
 


筆者「おっ、崩れちゃうっ」 太田さん「崩れてもいいですよ」
 

まるごとパクっと! モグモグして口の中が酸っぱくなったら
 

ブランデーをグイッと

 
酸っぱいレモンと砂糖が徐々に調和して、甘酸っぱくなったところにストレートのブランデーを。一気に口の中がまろやかになったと同時に、芳醇な香りがフワーッと鼻を抜ける。
甘酸っぱさとブランデーの香りが呼吸の度に混ざり合って、舌の上でその印象を変えていく。
デザート感覚で、最後にカッといただいて帰るのも良さそう。
 


下戸の筆者はこんな顔になりましたが

 
 
 

きらびやかなバー、その影の名脇役たち


 
まさにツウが好きそうなニコラシカ。変わり種のカクテルで、知名度はなくても数あるカクテルの中でもてはやされる花形的存在だろう。
 
そんなニコラシカとは対照的に、今回ご紹介したいのは「氷」のお話。
カクテルに当たり前のように入っていて当たり前のように溶けていく氷。目立たず特に気に留められることもなく地味だけど、実はバーの名脇役だって、ご存じですか?
「ツウ」に憧れる同志の皆さん、これを知っていれば「ツウ」に近づけますよ!
 


「バーにとって、氷は欠かすことのできないものなんですよ」

 
「カクテルだったり水割りだったりロックだったり、いろいろなお酒があるけど、氷はどのお酒にも絶対に使うのね。だから氷っていうのは本当に重要なんです」
 
たとえ目の前のグラスに氷が入っていなくても、お酒を冷やすためなど、カクテルを作る過程で氷はどんなカクテルにも使われている。
さらに、氷ならなんでもいいわけではなく・・・
 


キラッキラしてますね!

 
「氷にも『おいしさ』があって。まず大事なのが溶けにくいこと。溶けるとカクテルがどんどん水っぽくなっちゃう。で、堅くて、透明度がある。これはカクテルの見た目にも関係してきます」
 
カクテルの見た目も、おいしさを演出する大事な要素。
氷は氷屋さんに発注して、大きな塊で届いたものをアイスピックで割り出して使う。太田さんがそのアイスピックを見せてくれた。
 


ん? 手前のが短いですな

 
「手前は僕の、奥は若いバーテンダーのもの。アイスピックは、料理人の包丁と同じで研ぎながら使うんです。だからどんどん短くなっていくんですよ」
 
アイスピックなどはバーテンダーそれぞれに、専用のものがあるそうだ。マドラーやシェイカーなども同じく、一人ひとりのバーテンダーが自分にとって使いやすい道具を選んで使い込んでいく。
 


バーテンダーって職人なんだなぁ

 
きっと氷以外にも、一杯の美しいカクテルができるまでに隠された知られざる工程がたくさんあるのだろう。
 
それを知っていくことで、バーでどんなところに注目したらいいのかが分かるし、おいしいカクテルや良いバーの判断もできる。
 
そして、それらを知っていれば、目の前のカクテルがより大切に思えるのではないかと考えた筆者でした。
 
 
 
―終わり―
 

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