衰退した三浦市三崎町の老舗酒店に泊まる「ゲストハウスプロジェクト」とは?
ココがキニナル!
三崎にゲストハウスをつくろうというプロジェクトが。泊まろうと思ったことはないけど、三崎には古い旅館があったり。交通が便利になった今、なぜゲストハウスを?(まさしさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
民間不動産業者が三崎町を活性させようと2015年10月に明治時代の酒店を利用しスタート。現在は「山田屋酒店」1件のみだが、今後に期待したい動き
ライター:やまだ ひさえ
三浦市三崎町にゲストハウス? そもそもゲストハウスとは何? そんなオシャレなネーミングのものが、あの三崎にできるの?
これが地元民の筆者の正直な感想だった。
三崎町にゲストハウス?(フリー素材より)
ただ、三崎町で新しい動きが起こっている。そう感じたのも事実。何やら面白そうな予感を抱きながら、現地に向かった。
ゲストハウス「山田屋酒店」の仕掛け人
三崎町で2015(平成27)年末現在、営業しているのは「山田屋酒店」一軒だけだ。
三崎港に面した好立地の場所にある。
三崎港に面している
歴史を感じさせる山田屋酒店
目の前に三崎港が広がる
三崎町の一等地ともいえる場所にある山田屋酒店で、2015(平成27)年10月にゲストハウスをオープンさせた仕掛け人である、鎌倉市に本社がある不動産コンサルタント「シー・エフ・ネッツ」代表取締役の倉橋隆行(くらはし・たかゆき)さんと、三崎エリアの統括マネージャーの鈴木雄二(すずき・ゆうじ)さんにお話を伺った。
倉橋さん(左)と鈴木さん
倉橋さんいわく、日本のゲストハウスは、まだスタイルが定まっていないという。
地域やオーナーによって考え方も形態もまちまちなものが多いとのことで、最も浸透しているのが、「素泊まり宿」とか「気軽に泊まれる安価な宿」だ。
倉橋さんによるとゲストハウスは、学生寮や下宿の延長線上にあり、英語圏で見られるB&B(=Bed and Breakfast、小規模な簡易宿泊施設)が一番近いイメージだそうだ。
英語圏に多く見られるB&B(フリー画像より)
ただ、問題点もある。ゲストハウスという分類では法律が整備されていないことだ。
宿泊施設として考えれば建築基準法、消防法などの認可が必要だが、山田屋酒店もそうだがゲストハウスは一般家庭を使ったものも多く、許可をクリアするのは困難で、無認可のところも多いらしい。
山田屋酒店は商店だが、一般的な住居だ
不動産のプロである倉橋さんが採った方法は、山田屋酒店の建物を生かしたまま営業できる簡易宿泊所という形だ。
山田屋は、元々、明治時代に万屋(よろずや:現代のコンビニのようなもの)として創業したお店。店舗になっている建物は昭和初期に建てられた入母屋屋根が歴史を感じさせる民家。併設されている蔵は明治時代に建てられたものだ。
古き良き時代を伝える山田屋酒店の建物
山田屋酒店店内 (山田屋HPより)
昭和レトロな雰囲気が残っている
障子、帳場も凝っている
永年、山田屋酒店が育んできたものを残せるものは残し、必要最小限の補修を加えることで、簡易宿泊所としての許可を取り、開業したのがゲストハウス「山田屋」だ。