倉庫の中で撃ちまくれ! 西横浜の自動車修理工場わきにある「シューティングレンジ」に突撃!
ココがキニナル!
保土ケ谷にシューティングレンジが出来るみたいです。競技では無く趣味のガスガンを撃つ場所というのは珍しいと思います。(秋沙さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
2014年5月誕生のシューティングレンジ「Rogue Village」はスタッフが手作りで完成させたエア&ガスガン愛好家の“たまり場”。エアガンのメンテナンスも依頼可能
ライター:大野 ルミコ
「シューティングレンジの取材に行きましょう!」
編集部・山岸からそう声をかけられたとき、筆者の頭の中は「???」状態。返事をするのに数秒、沈黙してしまった。申し訳ないが「シューティングレンジ」なる言葉すら聞いたことがなかったのだ。
聞けばシューティングレンジとは「エアーソフトガン」(以降、エアガンと表記)の射撃場だという。
その昔、ハワイに行ったときに本物の銃を撃てる施設があると誘われ「行きたい!」と盛り上がったものの、結局、時間が足りなくて断念したことを思い出す。再訪する機会もなく、筆者のこれまでの射撃経験はほぼゼロ。お祭りの射的経験くらいなもんだ。
ちなみに射的は昔からかなり得意。その経験は生かせるだろうか(写真はイメージ)
今、エアガン競技やサバイバルゲームに打ち込んでいらっしゃる方や、ガンマニアの方も多く、もっと豊富な知識を持っているライターもいると思われる中、なぜド素人の筆者に白羽の矢が立ったのか若干疑問に感じつつも・・・とりあえず行って参ります!
倉庫? 自動車整備工場? いや、シューティングレンジだ!
筆者と山岸、そしてはまれぽ編集部に入りたての若葉マーク・佐藤の3人が降り立ったのは、相鉄線「西横浜」駅。駅前の歩道橋を抜けると、すぐ目の前には国道1号線が走り、線路と国道の間に挟まれるようにビルが並ぶ。平日の昼間だからかもしれないけど・・・なんだかものすごく人通りが少ない。
相鉄線「西横浜」駅下車。そこから続く歩道橋へと進む
歩道橋を下りると、目の前には国道1号線が走る
国道1号線沿いを東海道線「保土ケ谷」駅方面へと進む
今回訪れるシューティングレンジ「Rogue Village(ローグビレッジ)」は、西横浜駅から徒歩3分。国道1号線沿いにあるという。地図を見ながら進むと、そろそろあるはずなのだが・・・ビルや倉庫ばかりで、それっぽい建物が見当たらない。
地図ではこの辺りのはずなのだが・・・倉庫しかないなぁ
ビルが途切れた先には倉庫があり、その倉庫の先には敷地内に自動車がたくさん並ぶ修理場(と思われる建物)、そしてその先には牛丼チェーン店・・・あれ? 「本当にどこにあるんですかね?」と3人で悩み始めた時、その自動車修理工場の看板に「Rogue Village」との表記があることに気づく。
自動車修理工場かと思いきや、看板に「Rogue Village」の表記を発見!
よく見たら控え目に「シューティングレンジ」の看板も出ていた
自動車工場にしか見えない建物に「本当にここでいいんだよな?」と半信半疑のまま、入口のドアを開けると、ガランとしたスペースにネットが張られ、エアガンが置かれた射撃台が目に飛び込んできた。よく見ればあちこちにエアガンや、カスタマイズに使うと思われるパーツも置かれている。
真っ先に目に飛び込んで来たエアガンと射撃台
射撃台の先にはネットから下げられた大小さまざまな形の金属板が並ぶ
ちょっぴり不安顔の我々を出迎えてくれたのは、このスペースを管理している阿部秀充(あべ・ひでみつ)さん。
自動車の整備などを行う「Bad Toy’s Racing」の代表である阿部さん
もともとここは、阿部さんが2011(平成23)年にオープンした自動車工場「Bad Toy’s Racing」の一角。今でもここで競技車両の製作やメンテナンスを手掛けている。
そして、今、シューティングレンジとなっているこのスペースは、工場のオープン当初は、ダーツやビリヤード台が置かれていた。かつてお酒やドリンクを楽しむカフェとして営業していたという。
壁に設置されていたダーツは、その時に使っていたもの
しかし阿部さんいわく「立地が悪すぎた」ため、なかなか人が集まらず、やむなく2013(平成25)年に閉店。その後、このスペースは空いた状態になっていたという。
そんな時、ここを「シューティングレンジにしよう」と阿部さんに持ち掛けたのが、古くからの友人であり、この「Rogue Village」の管理人&エアガンのカスタマイザーでもある永川敏資(えいかわ・としもと)さん。
エアガンのカスタマイズ注文が増え、ちょっとお疲れ気味だという永川さん
「この場所は、前が国道、後ろは(相鉄線の)線路で周囲への騒音の心配もない。それに車の修理工場ということもあってガスガンに使えるエアーコンプレッサーも設置されていたし、シューティングレンジ向きの場所だと思った」と話す永川さん。
阿部さんもその提案を「面白そう!」と快諾、約1年後の2014(平成26)年5月に「Rogue Village」をオープンさせた。
ネットで区切られたシューティングスペースや、狙撃台、そして店内の照明や装飾もすべて永川さんを中心に、スタッフ全員でコツコツとほぼ“手作り”。今も季節ごとに店内装飾を変えたり、新たな機器を導入したりとカスタマイズに余念がない。
自動車整備で使われた金属やCD-Rなど「的」にはリサイクル部品を使用
これも「的」になるレゴの馬やアーミー人形。なんだかカワイイ
射撃台は、かつて使用していたビリヤード台を再利用したもの
そもそも「18歳未満は射撃場への入店禁止」「エアーソフトガン(18禁自主規制品)の販売店には保護者同伴でも入店禁止」など、神奈川県の条例は永川さんいわく「他県と比べてとても厳しい」ため、この周辺にはシューティングレンジの数自体、非常に少ないのだという。
「それにシューティングレンジの多くは射撃スペースが細く区切られているため、仕切りの中に籠って『ひたすら撃って帰る』という状態になってしまいます。でもそれはつまらないなと。もっと同じ趣味を持った同士で会話を楽しめるスペースも作りたかった」と語る。
レーシングカーのシート。自由に座って休憩やおしゃべりができる
各種ドリンクもあり(アルコールはなし)。飲みながらの射撃も可能だ
阿部さんも永川さんも基本的に「面白いことが好き」。そのため、このシューティングレンジも「これでお金を儲けたいという気はほとんどない」という。それよりも「エアガン・射撃好き同士で楽しめる“溜まり場”を提供したい」という気持ちが強いのだとか。
確かに永川さんとの会話をしていると、どことなく脱力というか、ゆる~い空気が漂っている。うん、この雰囲気、嫌いじゃない。