漁業の名残と気さくな商店街のある街、はま旅Vol.89「子安編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第89回は、首都高速と第1京浜沿いに佇む小さな駅「子安駅」。漁業が盛んだった頃の名残と、気さくな商店街のある街だった。
ライター:桐生 由美子
やっと出会えた人、ねこのおやじ
「おやじ、いるか?」
連なる家の真ん中あたりのドアを開けて、おじさんが声をかけた。
「おーう」
いたようだ!
取材だというと、快く話を聞かせてくれた。
ねこのおやじこと、電気屋の渡辺さん
―入江川沿いの家に人は住んでいるんですか?
「今は住んでないね。みんな近くの家に住んで、ここは倉庫に使ってるんだよ」
―その方たちがずらーっと並んでいる船の持ち主ですか?
「そうだよ。船だけ残してどこかに引っ越しちゃった人もいるけどね」
(そのあたりはあまり深く追求しないことに・・・)
―なんでねこのおやじ?
「この辺は野良ねこが多いんだよ。みんなここに住みついちゃってね。ココにいるねこはみんな去勢手術させてるよ。どんどん増えちゃうからね」
―渡辺さんが病院に連れて行ってるの?
「そうだよ。だから貧乏になっちゃったよ(笑)」
この3匹のほかにもぞろぞろ集まってきた
お玉とフライ返しの上に寝ている・・・
―渡辺さんはいつもここにいるの?
「いつもじゃないよ。でもココが俺の会社だよ!」
世間話程度の取材だったが、渡辺さんの答え方は端的でわかりやすい。よくよく聞くと、結構いろいろな媒体やテレビ局の取材を受けているのだとか。
そのうえ、隣の橋や近くの倉庫では、よく刑事ドラマなどの撮影をしているようだ。
そんな異国の風景「子安浜」は、入江橋付近から、仲木戸駅のあたりまで続いている。
大口商店街の端っこは子安駅の目の前!
子安駅の北の方へ行くと、すでにはま旅で掲載している大口方面に行ってしまう。かといってここでストップすると、読者に楽しんでもらえそうなネタがない・・・(汗)。
よし、子安駅から徒歩圏内ということで、少しだけ大口方面に足を踏み込ませてもらうことにしよう。
駅前から地下道をくぐって北の方へ出ると、まず目の前に大きなお寺が現れた。浄土宗 吉祥山 相応寺だ。
駅前の地下道入り口。線路の下を通って北口へ
お地蔵さまがたくさんいるお寺らしい
そのまま右を見ると・・・、なんとそこには「ohguchi 1番街」のアーケードが! 大口商店街は、大口駅から子安駅の目の前まで通っていたのだ。
それならば問題ない。堂々と大口商店街は「はま旅子安駅」のエリアだ。
安心してアーケードをくぐり歩いていくと、いきなりキニナル光景が・・・。大きなお鍋で炊き出しをやっている。
「やきとり 竹澤商店」。鍋の中身はモツ煮だ!
寒い日にはたまらない、湯気といい香り!
焼き鳥は100円から。安い! しかも大きい!!
モツ煮をたくさん買った常連さん。「これから打ち上げなんだ!」と嬉しそう
年末に向けて今日は休みのお店も多いようだ。
そんな中で、紅白ののれんが風になびいている。福引会場だ。
「さっき特等賞が出たのよ!」と福引会場のお母さん。特等賞はなんと「現金つかみ取り」
大口1番街で1000円お買い物をすると福引券が1枚もらえる。
さっきお買い物をしたときにもらった券を片手に、記者もチャレンジ!
カメラ目線で気合を入れて・・・
結果は、緑色の玉。5等・・・、大口1番街で使える10円券だった。
次に目についたのは、石碑。「足洗川」と書いてあるが、川は見当たらない。
脇の路地が川だったようにも見える
あとで調べると、昔、浦島太郎が足を洗ったと伝えられる川が流れていたらしい。
またしばらく歩くと、第二京浜にぶつかる。そろそろ子安駅と大口駅の中間地点あたりまで来たか? 地図を見ると、まだ半分にも達していない。もう少し歩いても良さそうだ。
第二京浜を渡ると、その向こうは大口2番街