コレなんて読む?市内の難読地名をご紹介!第3弾
ココがキニナル!
横浜市は難読地名が非常に多い地域。大豆戸と北&東山田以外にも山ほどあります。ぜひシリーズであちこちの難読地名の由来を調べて!(スさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
難読地名シリーズ第3弾は、これまでにコメントでもらった地名を含む、野庭町、汲沢町、笹下の3ヵ所を調査!
ライター:田中 大輔
沢で水を汲んだから?
お次は戸塚区に移動して、この地名。
町内の消化箱に書かれたこの地名は!?
初めてこの場所を訪れた人なら、“くみさわちょう”とでも読みそうな字面だが、正解は“ぐみざわちょう”と“く”も“さ”も濁る。
“沢”はともかく、なぜ “汲”という字を濁らせる必要があったのだろうか……。
町内には、以前にはまれぽでも紹介した「まさかりが淵」がある。(『横浜に滝ってあるの?』)
まさかりが淵。現在の滝は人工的に整備されたもの
このまさかりが淵には、滝の近くに住む木こりが誤ってまさかり(斧)を滝壺に落としてしまったところから始まる民話がある。
滝のそばには、民話にまつわる洒落た碑も建てられている
木こりが滝壺を覗き込むとそこにはきれいなお姫様がいて、まさかりを拾ってくれた。ただし、そこの主を名乗るお姫様は「私がここにいることは秘密に。人に話したらあなたは命を落とします」と言う。
滝の反対側は「まさかりが淵市民の森」。木こりがいても不思議じゃない雰囲気
木こりが家に帰ると、なんと彼の三回忌の法要の真っ最中。訳が分からず、お姫様のことも含めて事情を話すと、木こりはその場で倒れて死んでしまった。
という、浦島太郎に落語風のサゲを付けたような話だ。
そんな、おかしいのか恐ろしいのか分からない民話が伝わる汲沢の地名の由来だが、残念ながらこちらもハッキリとしたことは分からなかった。
まさかりが淵で散歩していた男性が「沢で水を汲んだからじゃないの?」と言っていたように、そう考えるのが自然な気もする。
でも、そうすると“汲”が“ぐみ”と濁る理由が分からない……。
沢ではないが、滝のある宇田川は思ったよりもキレイで水鳥の姿も
それに対する答えが、『角川地名大辞典』にあった。
それによれば、古くは“茱萸沢(ぐみざわ)”と書いていたものが、永禄年間(1558~1570年)に“汲沢”に変わったというのだ(皇国地誌)。
茱萸とはグミ科の植物で、食用となる実を付ける(お菓子のグミとは関係ない)。
つまり、“くむ”が濁ったのではなく、元来“ぐみ”だったところに“汲”という漢字が当てられたというのが真相のようだ。