横浜市内に趣のある銭湯はどこにある?第3弾
ココがキニナル!
西区戸部町4丁目にある銭湯「松島館」がキニナリます。銭湯裏側には大量の薪が積まれている所を見かけるのですが、ひょっとして今でも薪を燃やしてお湯を沸かしているのでしょうか?(ひろりん。さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
銭湯特集の第3弾は、まきで沸かすことにこだわった銭湯3軒を紹介。建物、水、植栽と、それぞれに特徴のある、個性豊かな銭湯が勢ぞろい
ライター:河野 哲弥
オーナーの個性大爆発、植物園のある西区「萬歳湯」
京急線戸部駅から徒歩5分ほど、住宅街の中にひっそりたたずむのが、創業1947(昭和22)年の「萬歳湯(ばんざいゆ)」。法人登記は息子さんの名前で済ませているものの、独特の存在感を漂わせるのが、実質的なオーナーでもある高木一洋さんだ。
現代風に普請がなされた、萬歳湯入口
やや直線的な「船底造り」
海に近いこの地は、かつて造船業が盛んで、負けん気の強い職人かたぎの利用客が多かったそうだ。そんな職工が好んでいたのが45度とかなり熱めのお湯で、少しでもぬるいと壁をドンドンたたいて文句をつけてきたそうだ。
男湯の脱衣所の様子、奥にいる男性が高木さん
特別に、番台の上から撮らせていただいた
そんな下町っ子の楽しみは、風呂上がりに流し込む、一杯の冷たいビールなのだとか。それぞれに好みのブランドが決まっているそうで、例えばエビスビールだけでも、金(ノーマル)、白(シルク)、黒(ブラック)と品ぞろえは多彩。
別名「萬歳植物園」ともいわれる、女湯の脱衣所
「そういうところがオレのセンス」と、高木節さく裂
開店直後から社交場としてにぎわう同湯について、常連の1人は、「オーナーの人柄にほれて何十年も通っている。柔らかく絡みつくようなお湯は、ほかの銭湯にはない魅力」と話す。
一度打ち解けてしまえば、どんなところでも見せてくれる
まきは、「間門湯」と同様、港湾で使われた廃材などを引き取って使用。そのこだわりについて高木さんは、「まきで燃やすと、いろいろなものがお湯に移るんじゃないのか。脱衣所の植物も、育ち方が全然違う」と話す。理ではなく情で沸く「萬歳湯」は、お湯だけでなく、人情もあつい。