大正ロマンの香り漂う老舗、「ホテルニューカマクラ」ってどんなところ?
ココがキニナル!
ホテルニューカマクラ(旧山縣ホテル)ってどんなホテル? かつて、芥川龍之介さんや、岡本かの子さんも利用した老舗だそうです。是非、突撃取材してください。キニナル。(にゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
1924(大正13)年に建てられた鎌倉初のホテル!この地で京都の料亭「平野屋」支店の貸別荘時代に芥川龍之介と岡本かの子の偶然の出会いがあった
ライター:大和田 敏子
ホテルとしてのスタートは? その歴史は?(つづき)
いよいよ、キニナル「ホテルの中」へ案内してもらう。
フロントは休日などお客様が多い時以外はあまり使われない
「ホテルニューカマクラ」は本館(14室)、新館(10室)の2棟。チェックイン後、部屋の鍵をお客さんに預け、玄関ドアはいつも空いていて出入りが自由。その気軽さや、平日1人5000円から泊まれる手ごろな価格からか、春は卒業旅行の学生などの利用も多いそうだ。利用客が一番多いのは夏で、若い人や家族連れが多い。駅に近いのでビジネスで来た人や終電を逃して利用する人もいる。もちろん、ここを気に入って何度も訪れる人も多く、客層は広いという。
ホテル全体の雰囲気をひとことで言うと「アール・デコ調」と西村さんは話す。
ロビーから階段を見上げる。アール・デコ調のあしらい、大正ロマンが漂う!
シャンデリアの上の細工もアール・デコ調?
階段右手。今は鏡があるが、昔はここがフロントだったらしい
ホテルの特徴にもなっている「上げ下げ窓」。ここはフロント前
上げ下げ窓には、下側の窓に分銅のぶら下がったヒモがついていて、重りのおかげで開ける時は軽く上がり、途中で止めることもたやすくできる。丁度良いところで止められ、勢いよく閉まってしまうこともない。昔の窓にある、人に優しい心遣いとその技術に感心する。
「松」の間の扉。なぜか船室風?
寄せ木風の床は大正時代のもの。らせん状に見える模様もめずらしい
「御成(おなり)」。ホテルの中で一番「アール・デコ」を意識している部屋かも?
スタンドも部屋の雰囲気にマッチしてる!
レトロな花柄がかわいい洗面所
次は2階へ。
2階に上がったところ。ステンドグラスのある場所は、元はドアだったらしい
柱上部の細工もアール・デコを意識して
大正時代からある照明器具
古い建物だけに常に修復やリフォームを繰り返す必要があり、メンテナンスが大変、と西村さんは話すが、実はそれを楽しんでいるようにも思える。古いものを上手く生かしながら、より良いホテルへ、より良い雰囲気の部屋へ、と常に変化している。
ちなみに、耐震補強という面からは、10年ほど前に土台や柱の補強などの大きな改築を行っており、2011(平成23)年の東日本大震災の際もガラスひとつ壊れず、物ひとつ倒れることはなかったという。
ファッション誌の撮影などでよく使われる2階廊下つきあたり
このホテルでは、CMのロケやファッション誌の撮影などが数多く行われている。そのため、有名人が訪れたり、その知人を紹介し宿泊することも多いそう。
2階のトイレ・洗面所。本館のバス・トイレは共用
ピンクで統一された「さくら」は女性に人気
窓の目の前には桜の木。部屋名の由来にも
桜の開花は目前。満開の桜をここから眺めるのは素敵だろうと思うと、とても残念!
どの部屋も窓が多く、とても風通しが良い。それに、駅のすぐ側で、外では電車の音がかなりしているのに、中にいると、ほとんどそれを感じず、とても静かだ。設計面や建材などにさまざまな配慮がなされていることを感じる。
「北紀行」は古い茶室などの木材を活かした部屋
この「北紀行」、ほかの部屋と随分テイストが違う。実は、以前、TVチャンピオンのリフォーム王選手権企画の決勝で、隣の「はいから通り」と争って優勝した部屋。
TVチャンピオンの記録写真が残っていた
天井の梁も活かして味わい深い雰囲気に。どこか北欧風!?
準優勝した「はいから通り」。竹久夢二の絵、アンティークな家具が大正ロマン風
「天空」はごく普通の和室
「雪の下」はシンプルな角部屋
鎌倉の土地を少し知っている方なら気づくことと思うが、部屋の名前には、「御成」「雪の下」などの地名が多く、今まで紹介した以外に「西御成」「小町」「笹目」という部屋もある。それでも「松」「竹」「梅」があったり、部屋から見える桜から命名した「さくら」があったりと多様。「北紀行」「ハイカラ通り」は、TVチャンピオン出場のデザイナーの意向だという。
このちょっとゆるい感じが何とも良い!
やや急な階段なので、いずれ手すりをつけたいと西村さんは話す