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山手本通りから降りる「階段坂」の手すりにならぶ謎の金属の輪っかは何のためなのか徹底調査!

ココがキニナル!

フェリス坂(西野坂)のすぐ南側の階段の手すりにかなり大きな輪っかが並んでいます。これって単なるデザイン?それとも使用目的があるの?流し素麺ができそう(ジャン・ヨコハマさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

階段坂の名前と手すりが設置されたおおよその時期まではわかったが、手すりの上に立つ輪の存在理由は誰の記憶にもどこの記録にも残っていなかった

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ライター:永田 ミナミ

長い旅の始まり



というわけで横浜市役所に問い合わせてみると「市には該当する部署がないので、中区役所に問い合わせてみてはどうか」という。

なるほど、ということで中区役所に電話してみると「土木事務所に聞いてみてはどうか」ということで「中土木事務所」に問い合わせてみると、「実物を見ないと何とも言えない」ということなので、それなら写真がありますと伝え、中土木事務所へ向かった。
 


中土木事務所

 
所内に入り、取材内容を伝えて写真を見せると、手の空いていた職員の方が、いろいろな地図や資料を出して調べてくださった。
 


何か手がかりはつかめるのか
 

しかし「愛称道路地図ではこのあたりなんだけど」と指さす先は空白地帯

 
当然といえば当然だが、つねに増え続け膨大な量になる工事関係の資料は、重要なものを除いて定期的に廃棄しているとのことで、残念ながら階段の工事についての資料は残されていなかった。

とはいえ、階段坂について重要なこともわかった。鉄輪坂がある一帯は「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されており、「急傾斜地崩壊危険区域」は市ではなく県の管轄になるというのである。
 


急坂を探す先々で待ち構えていた、もはや急坂の案内板ともいえるこの看板だ

 
というわけで、紹介してもらった、洪水や崖崩れなどの自然災害を未然に防ぐ各種工事を行う、神奈川県横浜川崎治水事務所に問い合わせてみた。

すると、過去の資料から、1987(昭和62)年に県が法面工事(のりめんこうじ:道路工事や宅地造成などの開発にともない、山地を削ったり、盛土をすることによって造られる人工斜面、または自然斜面が崩れるのを防止する工事)を行っていることがわかった。
 


階段横の法面はなるほどコンクリートやブロックで覆われている
 

こういった斜面をコンクリートやモルタルで覆う工事方法は吹付工(ふきつけこう)と呼ばれる

 
しかし、記録に残っているのは法面工事についてだけで、階段の工事については記録がないという。さらには「民地の可能性もある」という話も出てきた。民地、つまり私有地の可能性があるというのだ。

「市に働きかけて階段をつくってもらった」というAさんから始まった旅は、めぐりめぐって「私有地なのではないか」というねじれの位置で振り出しに戻ってきた。



というわけで旅は続く



近隣の住民が市に働きかけて階段を作ってもらったという話があるということも話したが、「記録としては法面工事しか残っていない」という回答に変わりはなかった。当時を知らない職員が記録にある以上のことを答えることができないのはしかたがない。

そこで、階段坂周辺にお住まいの方と、階段を通りかかった人のなかで「階段をよく利用する」という方、それぞれ5人ほどに話を聞いてみたが、手すりの上の輪の存在にすら気づいていない人も少なくなかった、というかむしろ多かった。そして、近隣のみなさんはやはり「階段の工事は市がやったから役所にきいてみたほうがいい」と言う。

この手すりの輪は、気づかなければまったくキニナらないが、一度キニナルとキニナってしかたがない、箱男のようなものか。
 


あるいはこう見えて始まりも終わりも表も裏もないメビウスの輪か

 
鉄輪坂に隣接するフェリス女学院にも問い合わせてみたが、やはり分からないという。そしてやはり「市に問い合わせてみては」という話だった。

そこで今度は角度を変えて「山手まちづくり協定運営委員会」の委員長と、委員長からの紹介で副委員長に問い合わせてみたが、どちらも手すりのことはご存じないということだった。ただし、「ひょっとして手すりの輪が装飾として、街並みや景観の種類に入るとすれば」と、運営委員会とも関連がある横浜市都市整備局をすすめられた。

ということで横浜市都市整備局に問い合わせてみると「都市デザイン室なら知っているかもしれない」ということになった。現場を見ていると、実際の風景や錆びた手すりと「都市デザイン」という言葉はあまり馴染まないような気もしたが、一縷の望みをかけて、都市デザイン室へ問い合わせてみた。
 


風が吹き抜けると草木が揺れ、葉が擦(す)れあう音が広がるのはかつての住宅跡か

 
電話で取材内容を伝えて鉄輪坂の写真を数点送ると、古い資料を調べたり山手について詳しい職員の方に話を聞いてくださったり、せめて写真でもあればといろいろと調べてくださったが、残念ながらやはり階段の資料は一定期間以上は保存されないということで、ここでも有力な情報は得られなかった。