【横浜の名建築】横浜郵船ビル(日本郵船歴史博物館)
ココがキニナル!
横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第20回は、横浜郵船ビル(日本郵船歴史博物館)。豪華客船が次々横浜港を航行していた時代を彷彿とさせる、威厳に満ちた建物だった。
ライター:吉澤 由美子
威厳に満ちた外観と、機能的な中に華やかさがある室内
(続き)
正面玄関の入口ドアには、二重円に放射状の線が入った意匠がある。
船の舵を取る舵輪(だりん)のようなデザインで、海運業者らしい雰囲気がある。
陽が射してドアの舵輪のようなアイアンワークの影ができた
表側は大オーダーを一直線に並べている関係で、入口は中に引っ込んでいる。
そのため、室内に風除室(ふうじょしつ)が作られている。
室内に建てられた風除室
建物に入る前に風除室でワンクッション置くことで、来客に「特別な場所に招かれる」気持ちを持たせ、威厳や風格を感じさせる。
通用口の風除室も小ぶりながら同じような作り
室内は当時流行していたアール・デコのスタイルを取り入れたもの。
6メートルの天井には、ロゼットの飾りが並んでいる。
天井の梁回りを囲むロゼット
現在は美しく補修されているが、以前にはこの天井飾りがいつの間にか欠けて、デスクの上に白く積もっていたこともあったらしい。
オフィスだった頃の室内。奥から入口を向いた角度※日本郵船歴史博物館所蔵
天井の梁がアーチを描いている部分は来客用だったスペース。直線の梁が渡っているのは、支配人室や事務室があった場所だ。
アーチ状の梁は来客スペース
事務室などのスペースは直線の梁。ベンチ前のモニタにはこの建物の解説も流れる
天井から下がるペンダントライトは創建当時のものを写真や図面で確認して再現したもの。
オフィスとして使われていた時には、明るい蛍光灯がつけられていた。
天井から鎖で吊るされたペンダントライト