オシャレな店とカッコイイ若者たちに出会える街、はま旅Vol.102「能見台」編
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第102回は、野球部の声と鳥のさえずりが賑やかな「能見台駅」。オシャレな店とカッコイイ若者たちにも出会える街だった。
ライター:桐生 由美子
京急沿線の能見台駅といえば、野球少年たちの憧れの学校、“横高”こと横浜高校がある駅。
・・・
能見台駅に関する記者の知識はここまでだ。
駅を降りても、これといってシンボル的な目立つ建物は見当たらない。しかし、こういう駅こそワクワク感が増してくる! 「何もない」と思っていた街で、「何かおもしろいもの」を見つけたときの嬉しさを、これまでの「はま旅」の取材で知っているから。
よし、いざスタートだ!
バスを待っていた女子高生にシャッターを押してもらった
八百屋のおばちゃんにリサーチ!
とりあえず駅の西側、横高野球部のグランド方面へ向かってみることに。
すると、さっそくいいにおいが・・・。石焼きいもだ。駅からすぐの住宅街の入口付近にある、小さな八百屋さんから漂ってきている。
石焼きいも発見!
「甘いおいもだよ」と、有限会社丸功のおばちゃん
最近ちょっと甘いものを食べすぎていたので、細めの焼きいもを選ぶと、なんと80円だった!
立ち寄ったついでに、この辺りにおもしろそうなところはないかと尋ねてみると、「長浜公園があるわよ」とおばちゃん。場所を聞くと、横高グランドのすぐ裏にあるそう。
よし、そこにも行ってみよう。
住宅地を抜け、坂道を少し上ってから、次は延々と下る。すでに10分以上歩いているが、まだ長浜公園も横高グランドも見えてこない。
下り坂をリズミカルに歩いていると、「はまれぽ.com 2周年記念イベント」で覚えた、横浜市歌を口ずさんでしまう。
「今は百舟百千舟 泊るところぞ見よや~♪」。ヤバイ・・・、最近ずっと頭から離れないんだ。はまれぽの仕事ばかりしすぎて、はまれぽに洗脳されてきているのかもしれない。
気を紛らわそうとまわりを見渡してみると、“春”がいっぱい顔を出していることに気付いた。
植え込みにはかわいらしいスイセン
民家の玄関先には梅の花
カーブを曲がったら海が見えてきた!
天気もよくてポッカポカ。絶好の取材日和だ。
検疫所? 野口英世記念館?
この先のカーブを曲がれば、横高グラウンドが見えてくるはず。そんなときだった。歩道脇のフェンスの向こうに、何やら古びた小学校の校舎のような木造平屋の建物。横目に見ながら歩いて行くが、入口がいっこうに見当たらない。そうこうするうちに、大きなビルに隠れてしまった。会社か工場のようだ。
やっとの思いで入口にたどり着くと、そこはもう横高グラウンドの目の前。野球部が練習をしているのもキニナルが、さっきの古い建物もキニナル。思い切って会社の入口を入り、受付のインターホンを鳴らしてみた。
横浜検疫所の入口
野口英世博士の記念碑も立っている
ビルの中から出てきてくれたのは、業務管理室長の若松さん。建物が気になって訪ねたことを伝えると、「外観なら」と、見せていただけることになった。
古びた建物の正式名は、「横浜検疫所長浜措置場1号停留所」。横浜に入国する船内で伝染病などが流行ったとき、その病気の国内侵入を防ぐためにつくられたのが、ここ、横浜検疫所だそう。
横浜検疫所は、1895(明治28)年に40棟以上建てられたが、関東大震災でほぼ全滅。1924(大正13)年に現在の建物を再建したそうだ。その後、昭和の半ばに検疫所としての役割は終わり、市民運動によって野口英世博士ゆかりの細菌検査室を保存することに。その後も数棟が取り壊され、最終的に「1号停留所」と「細菌検査室」を残すことになったそうだ。
気になった古い建物、「横浜検疫所長浜措置場1号停留所」の正面
正面から右側にまわると出窓がある部屋があり・・・
奥にずっとつながり、また出窓がある
建物は入口を正面にして、奥に向かってつながっている。どうやら“コの字型”の建物のようだ。
普段は公開していないが、年1回(不定期)施設公開日があり、そのときは施設内の見学もできるそう(HPでお知らせ)。今回は若松さんのご厚意で、外観だけ見学させていただいたが、「突然いらっしゃっても、いつも見られるというわけではないのでご注意を!」とのことだ。
※詳しい内部を知りたい方は、過去記事「【横浜の名建築】長浜野口記念公園 旧細菌検査室」で
「写真はちょっと・・・」という若松さんだが、横顔だけ参加してくれた