9年ぶりに横浜にやってきた!木下大サーカスで活躍中の団員はどれだけすごい?
ココがキニナル!
木下大サーカスの取材をお願いします!(恋はタマネギさん/秋沙さん/江戸川さん/タッカーさん/あずきさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
目隠しをしても空中ブランコができるほど磨かれた技を持ち、どんな環境でも自然と人を「楽しませよう」と工夫をしている団員が集結していた!
ライター:はまれぽ編集部
2月某日、編集部に入ったばかりの木下。面白い記事を出したい! と息巻いているが、鬼の編集長吉田に企画が通らず、鬱屈した日々が続いていた。
吉田をギャフン・・・いや納得させるにはどうしたものか・・・と、ウンウン頭を悩ませていると、横浜駅構内に貼ってある一枚のポスターが目に留まる。「木下大サーカスが9年ぶりに横浜公演決定」。
「これだ! 名字も同じ木下だし、取材できるのは私しかいない!」とダッシュで編集部に戻る。
木下:編集長〜、木下大サ−カスの取材をさせてください!
吉田:ただ行ってくるだけなんて甘い! 空中ブランコの一つくらい挑戦して、サーカス団員のすごさを読者に伝えろ!
さすがは鬼編集長! 一筋縄ではいかないらしい。
こうして、新人木下による木下大サーカスでの空中ブランコへのチャレンジが決定した。
しかも、今回はサーカス側のはからいで、本番中に挑戦させていただける、とのこと。「サーカス団と同じ空中ブランコを体験する」という大仕事を目前にしているにもかかわらず、のん気な木下は「高い所は好きだし、空中でブランコするくらいなんとかなるかも〜」と自分をごまかしたまま取材当日を迎えた。
9年ぶりの横浜公演、木下大サーカスの舞台裏で特訓(?)
みなとみらい線の馬車道駅前、横浜アイランドタワー横にある大きな赤いテント。ここが木下大サーカスの会場だ。JR桜木町駅寄りの入口に、トラのマークが書いてあるのが目印。
3月5日(火)、入口には長蛇の列ができていた
この日の入場者数は1661名。平日にもかかわらず、ほぼ満席!
木下大サーカスは、現在まで111年という歴史を重ねている、日本を代表するサーカス団だ。今回は、公演をバックヤードから支える、営業部の新宅(しんたく)さんに会場内を案内していただいた。
「木下さんが木下大サーカスの取材をするって、面白い発想ですね」とあたたかいお言葉をくださった
木下大サーカスは、平日は1日に2回、土・日・祝日は3回公演を行う。新宅さんの「まずは本番前にどんな感じなのか、1回目の公演を観てみましょう」とうながされ、会場内に入ると、ちょうど当日木下が挑戦する「夢の空中ブランコショー」の上演中だった。
これに挑戦するのか・・・?
たくさんの観客たちの目の前で軽々と飛ぶパフォーマンスを目の当たりにし、急に動揺する木下。「こんな風に飛ぶなんて無理だ・・・この企画、なかったことにしてもらおう」と逃げ腰に。
新宅さんに「あの・・・今日、空中ブランコをやらせていただけるとのことですが・・・(やっぱり無理です)」とおずおずと近寄ると、ニコニコしながら「さっそく今から練習しましょう!」とサーカス会場のテント裏にある練習場に向かって歩いていってしまった。逃げ出すチャンスをなくし、泣く泣くあとをついていく。
本日、空中ブランコの指導をしてくれるのは、サーカス団員の服部さん。「練習すれば大丈夫ですよ!」という服部さんのまぶしい笑顔と明るい声に、現金な木下はころっと態度を変え「頑張ります!」と元気よく返事をしていた。
忙しい公演と公演の合間をぬって、かけつけてくれた服部さん
この日トライするのは、鉄の棒を手で握り、ぶら下がったまま空中へ出て手を放し、向かい側のブランコに乗っている団員さんの手を取り、反対側に着地する、という初歩的な技。鉄の棒は「撞木(しゅもく)」という、昔ながら、日本ならではの呼び名がついている。
下半身の力を抜き、自然に台から足をすべらせて宙へ出ていくことがコツだ。向かい側に進んでいる時には体をそらし、スタート台にもどって来る時には体を「く」の字に曲げると勢いにのれるのだそう。
撞木から手を放し、空中に飛び出て相手の手を取るときには思い切り体を前に出さなければならず、ここが一番難しいポイントなのだそうだ。
ダメな例。足より手が前に出ていないと相手の手を取ることができない
風を切って空中を舞う快感で笑みがこぼれるが、一方で手と腕だけで自分の体重を支えることのつらさを思い知る。そして、体が固いせいか、しなるような動きができず、何だかかくかくしたまま宙を行き来しているので不格好だ。
苦戦しつつも「いいですね」という服部さんの言葉に勇気づけられ、5、6回ほど練習する頃にはだんだん調子に乗ってきた。
「足をそろえて下さい」とハラハラしながら見守る服部さん
服部さんが手取り足取り教えてくれたおかげ、というのにもかかわらず「素人でも少し練習すれば、なかなかサマになってくるものなんだなー」と余裕を見せてきた頃に練習終了。
取材を申し込んだ際に「一般の方は、はしごの上まで上がれれば上出来です」と言われていたので、「もしかしたら、いけるのではないか?」と内心で笑みを浮かべる。「成功しちゃったら大スターだな~」などとのんきに想像をしながら本番を待った。