黒澤映画「天国と地獄」のロケ地はどうなってる?
ココがキニナル!
黒澤明監督の映画「天国と地獄」では、重要人物の住まいが浅間台と浅間町に設定されています。浅間町は<地獄>として描かれているのですが、実際にあのような光景があったのでしょうか(maniaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
ロケ当時の面影はほとんど残っていないが、住宅地図と比較して作品を観ると、写真資料よりもリアルな横浜の街並みを垣間見ることができる。
ライター:ナリタノゾミ
1963(昭和38)年に公開された、黒澤明監督映画、「天国と地獄」。
映画公開後、模倣犯の出現により、刑法が改正されるに至るなど、社会的影響力の大きさでも知られている映画である。
横浜の丘の上にそびえ立つ、大手製靴会社「ナショナル・シューズ」社の常務・権藤金吾(三船敏郎)邸に、ある夜、一本の電話が掛かってくる。
「あなたの子どもは私がさらった。こちらの言うことを聞けば、子どもの命は保障する。3000万円用意しろ」という、竹内銀次郎(山崎努)からの身代金要求の電話だった。
竹内からの電話に耳を傾ける。左から権藤の妻(香川京子)、権藤、秘書の河西
(映画再現イラスト:ナリタノゾミ、以下同じ)
しかし、実際に誘拐されていたのは、権藤夫妻の子どもではなく、運転手・青木の子どもだった。
子どもを取り違えたにもかかわらず、「子どもが誰だろうと構わない。3000万円、お前が出すんだ」などと開き直る竹内。
実は、権藤には、そのとき身代金を支払えない理由があった。
翌日までに全財産5000万円を投げ打って自社株を取得しなければ、会社から追放されかねないという事情があったのだ。
子どもの命と、自身の社会的地位との間で揺れ動く権藤。
「考えることは何もないはずですよ。金を出したら我々は破滅です」と権藤をけしかける秘書の河西。「お願いします。進一を助けてやってください」とむせび泣く運転手の青木。「権藤はきっと払います」と、夫を信じる権藤の妻。
ついに権藤は、他人の子どもの命を助けるために、株式の取得を諦めるのであった。
「子どもさえ無事に戻ったら、それこそ犬になって追いかけてやる」
社会的地位を失ってまでも、子どもを助けようとする権藤に、警察官たちは胸を打たれ、犯人逮捕に執念を燃やす。
ロケ地マップ
作中で舞台となったのは、昭和30年代の横浜。文献やインターネット等の情報によると、横浜市西区・中区・南区にロケ地が集中している。
横浜の街にロケ当時の面影は残っているのだろうか。
ストーリーに沿って、ロケ地をめぐってみよう。
「天国」に見立てられた権藤邸と、「地獄」に見立てられた竹内宅
映画の舞台となったのは、昭和30年代の横浜。
浅間台にそびえ立つ権藤邸と、木造の長屋が並ぶ浅間町の竹内宅。
両者の対極が、本作のタイトルを物語る。
竹内からの電話に緊張感の走る権藤邸。
電話を取る権藤と、傍受する戸倉警部(仲代達矢)ら