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ココがキニナル!

横浜で昔ながらの活版印刷で名刺を作ってくれる印刷所の取材をお願いします。(小鳩さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

1919年創業、南区の「築地活字」は、神奈川県で唯一活字を鋳造している印刷会社。デジタルでは再現できない「ものづくり」の原点が今、注目を集めている

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2013年12月02日

ライター:河野 哲弥

読み物には欠かせなかった文字の原点

活版印刷とは「活字組版印刷」の略語で、文字通り、活字をひとつひとつ木枠に並べてレイアウトする印刷方法のこと。
さっそく横浜市内の活版印刷会社を調べてみたところ、現在神奈川県で唯一、活字の鋳造から印刷までワンストップで手がけている企業があった。それが、南区吉野町にある「築地活字」。
 


マンションの1階にある同社外観


一般的な印刷方法とは何が違うのだろう。投稿にあった「名刺が作れるかどうか」や、今後の展望なども含めて、取材を申し込んでみた。
 


センチュリー企業の温故知新

「築地活字」の社内に入ると、活字が壁一面を埋め尽くしている姿に驚かされる。わずかに香るのはインク独特の甘い香り、そして奥の方では、活字の鋳造(ちゅうぞう)機がメトロノームのように音を刻んでいる。
そんな昭和を感じさせる風景の中、2人の男性が打ち合わせをしていた。
 


左から代表取締役の平工(ひらく)さんと、職人の大松さん
 

まずは平工さんに全般的な話を、続いて大松さんに技術的なこだわりを、それぞれ伺ってみることにしよう。

平工さんによれば、同社の創業は、1919(大正8)年とのこと。現在では数少ないセンチュリーが、横浜にまた1社誕生することとなる。
 


創業当時の同社の様子(提供・築地印刷)
 

なお、創業時の社名は「横浜博文館」。上にある写真に「HP」のロゴが確認できるが、これは「博文館」と「プリント(印刷)」に由来する。
 


創業時から94年経った今でも使われているロゴ


その後、太平洋戦争によって社屋や工場を焼失するも、戦後に「平工商店」として復活。1968(昭和43)年には社名を「築地活字販売」と改めた。

この「築地活字」とは、かつて都内にあった「東京築地活版製作所」の閉鎖にあたり、貴重な活字を分けてもらったことに由来するらしいが、伝聞の域を出ないそうだ。同社の活字には一種のステータスがあり、同業者の憧れでもあったという。

そして2010(平成22)年、再び社名を「築地活字」に変更。今に続いている。
 


これが活字の組版、職人が活字を1文字1文字拾って作る
 

大切な活字の原版(母型/ぼけい)は金庫に保管されている

 
そう。デジタルで作る「フォント」と、アナログで創る「活字」の大きな違いは、ここにある。
「活字」は、インターネットなどで簡単にダウンロードできる「フォント」とは異なり、所有者の財産になり得るのだ。現在同社には、活字を鋳造する際の原版になる母型だけで約26万種あるそうだ。一方、常時ストックされている活字の種類はというと、「えーと、いくつぐらいあるんだっけな。いつでも作れるので、あまり使わないものは処分しますしね」とのこと。
 


母型があれば鋳造できるので、よく使う活字だけが並べられている


さて、かつては新聞や雑誌には欠かせない「活字組版印刷」だったが、売り上げに陰りが見え始めたのは昭和の終わりごろだという。活字の代わりに製版フィルムを使ったオフセット印刷が、業界の主流になり出したからだ。
それも、データから直接出力するオンデマンド印刷が出現するまでの話。現在、印刷機を使用している印刷会社は、生き残りをかけた大変厳しい状況にあるそうだ。
 


左は最も小さい4ポイントの活字、右は比較対象のようじ
 

そのような中で、なぜ同社は生き残れてきたのだろう。
平工さんによれば、活版印刷は1文字でも失ってしまうと成り立たないため、既存顧客による活字の発注は続いていたそうだ。活字の鋳造を自社で手がけていたからこそ、現在まで続けることができたのだろう。しかし、肝心の印刷会社自体が激減してきたため、一時は廃業も考えたらしい。

ところが8年ほど前から、「今までにないタイプ」の問い合わせが増え始めてきたのだという。
「広告代理店の者ですが、番組タイトルを活字で組んでもらえませんか」
「活字カフェを開きたいんですが、協力してもらうことは可能でしょうか」
「活版印刷を始めたいので、活字を発注したいのですが」
など。
 


活字の持つ独特の温かみが、再認識されてきた
 

こうした模様も「花形」と呼ばれる活字を組んでデザインしている


この点について平工さんは、「活字自体もそうだけど、文字の間隔にも職人のセンスが生かされているんですよ。ものづくりの原点が見直されてきたってことじゃないかな」と話す。無機質なデジタルより、二つとないオリジナリティを生み出すアナログに、時代が再び注目し始めたのだろう。
  
  
 
  

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